2020年6月議会一般質問 上原秀樹議員:新型コロナウイルス感染対策 医療・教育

2020年6月議会 一般質問

2020年6月11日

日本共産党伊丹市議会議員団 上原秀樹

 議長の発言の許可を得ましたので、私は、日本共産党議員団を代表し、新型コロナ感染症対策に関して質問をします。
 はじめに、新型コロナウイルス感染によってお亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げるとともに、感染された方々にお見舞いを申し上げます。また医療・福祉分野をはじめ、各分野で頑張って頂いている関係各位に心より敬意を表します。

1.新型コロナウイルス感染対策における検査・医療体制の強化を求める

 安倍政権は5月26日、新型コロナウイルス感染症対策の緊急事態宣言を全国で解除しました。感染状況の変化などを分析・評価し、「総合的に判断」したものとされています。しかし感染は完全に収まっておらず、次の感染の波がいつどのように起きるか予断を許さない状況にあり、第2波への備えを急ぐことが不可欠となっています。なかでも、医療・検査体制の抜本的拡充は、国民の命と暮らしを支え、経済活動を軌道に乗せるうえでも本格的な仕組みづくりに真剣に取り組む必要があると考えるものです。

 緊急事態宣言が出された4月7日から約50日間、国民は感染拡大を抑え込むために、外出自粛・休業要請などに応え、生活の先行きに強い不安を抱えつつ、人との接触を極力減らすよう我慢と忍耐の生活を続けてきました。感染を減少させてきたのは、国民の大変な努力によるものであり、医療関係者が昼夜をわかたず尽力してきた結果です。

 一方、検査・医療体制に関しては「発熱が続き不安な中でもPCR検査につないでもらえない」「熱が続いても病院にも行けない」など、市民から不安の声が相次いで出されていました。このことは、医師が必要と判断したらPCR検査が受けられる体制が万全とはいいがたい状況にあることを示しています。

 経済活動が始まり、状況が落ち着いている今こそ、第2波の端緒を早くつかむためにも、検査・医療体制の強化が求められています。次の二つについてお聞きします。

1)保健所を通さず医師の判断ですぐに検査が受けられるよう、PCR検査等の検査センターと検体を採取できる機関を兵庫県や医師会と連携して増設することを求めるものですが、見解をお聞きします。

2)発熱患者が安心して医療機関にかかれるようにするため、これも兵庫県と医師会と連携して「発熱外来」を早急に市内に設置することを求めるものですが、見解をお聞きします。

2.新型コロナウイルス感染症に対応した学校園の再開後の対応について

 緊急事態宣言が解除され、6月1日から伊丹市も含めて全国の学校が3カ月ぶりに再開しました。 しかし、学年と各学校の締めくくりと新たな学年・学校のスタートの時期の3カ月もの休校は、子どもにはかり知れない影響をあたえています。それは長期の休校による子どもの学習の遅れと格差の拡大であり、かつてないような不安やストレスです。国立成育医療研究センターの「コロナ×こどもアンケート」によりますと、76%の子どもが「困りごと」として「お友だちに会えない」ことをあげ、「学校に行けない」(64%)、「外で遊べない」(51%)、「勉強が心配」(50%)と続いています。各種のアンケート調査には「イライラする」「夜眠れなくなった」「何もやる気がしない」「死にたい」などの子どもの痛切な声が記されています。また、コロナ禍による家庭の困窮は子どもにもさまざまな影響を与え、家庭内のストレスの高まりは児童虐待の増加などをもたらしています。

 こうした子どもを受け止める手厚い教育が必要です。

 かつてない学習の遅れと格差に対しては、子ども一人ひとりに丁寧に教えることが欠かせません。学習が遅れた子どもへの個別の手だても必要です。子どもの本音を受け止め、かかえた不安やストレスに共感しながら、心身のケアをすすめていくには、手間と時間が必要です。休校の中で特別な困難をかかえた子どもには、より立ち入った心理的、あるいは福祉的な面も含めた支援も求められます。子どもたちの心身のケアをしっかり行うことは、学びをすすめるうえでの前提になります。

 このような中で伊丹市教育委員会は、保護者向けに「新型コロナウイルス感染症に対応した伊丹市立学校園の再開後の対応について」を出されていることから、その中からいくつかの問題をお聞きします。

1)学習の遅れと格差にどう対応するか

 学校は課題プリントの配布等によって家庭学習を促す努力をされました。しかし、家庭学習の習慣が十分でない児童生徒もいる中で、またネット環境のないところもある中で、まだ習っていない基本的な知識を、いろんなやり取りがされる授業なしに理解することには無理があります。

 「対応について」では、アンケートや宿題の点検などによって学習の到達を把握されるようですが、このことを克服するためには、一人ひとりに対する丁寧な指導と個別の手立てが必要です。学習の到達を一定把握される中で、どのような工夫がされるのでしょうか。

2)不安やストレスにどう対応するか

 子どもたちの心身のケアをしっかり行うことは、学びを進めるうえでも欠かせません。ストレスを抱えた子どもが、子ども同士、また教師との関係を築きなおしていくことも、今後の学校生活に欠かせません。ストレスチェックをされていますが、その結果どんな問題があるのでしょうか。そしてその対応はどうされるのでしょうか。

3)学校行事の中止、縮小をどう考えるか

 「対応について」では、体育大会や音楽会、修学旅行等の中止を打ち出しました。「3密」を避けるためにはやむを得ない行事はあるが、今すべて中止にしなければならないのか。その代替となる行事は考えられないのか、お聞きします。

(一問一答方式での2回目以降発言メモ)

1.新型コロナウイルス感染対策における検査・医療体制の強化を求める
先ほど質問の中で言いましたが、検査・医療体制に関して安倍首相は、医師の判断で検査が受けられる体制をつくると、4月ごろから言いながら、実際には検査が受けられず、やっと検査が受けられると思ったら、手遅れで緊急入院という事態も生まれている。これをどう充実・拡大していくのかが問われています。このことは、安心して経済・社会活動を再開していくうえで、感染者を早期に発見し、症状に応じた医療と隔離を行う必要があるからです。

②PCR検査に関して「兵庫県対処方針」では、「地域外来・検査センター」を8ヶ所など、臨時外来の設置について、関係市町村及び医師会等関係団体と協力して対応するとされている。答弁では、そのことを踏まえて伊丹市としても医師会と協議を進めていくとされた。では、その協議の中でどんな課題があるのでしょうか。

・様々な課題はあると思う。しかし、第2波に備えて、また今後の新たな感染症対策も含めて、落ち着いている今こそ、「地域外来・検査センター」を設置しておくべきと考える。できるなら、伊丹市と川西市に一つずつ設置できるように、国・県の財政を思い切って出動できるように要望していただきたい。
 「地域外来・検査センター」とは、医師が必要と判断したら医師が直接「センター」に電話で予約をして、PCR検査が受けられる医療機関とされ、PCR検査に特化したセンターであるとともに、さらにもう一つの類型は、診察・検査機能を有するものとされている。

③そこで、二つ目の質問で「発熱外来」の設置を求めた。答弁では、結局帰国者・接触者相談センターに相談することとされた。もちろん、発熱トリアージは現行の仕組みで担うことはできる。しかし、この間、市民が発熱はあるがコロナ感染以外の別の病気ではないかとの不安がある場合、すぐには診察してもらえない、そのことによっては重症化する危険に対して不安がある、そこを何とかしてほしいというのが市民の願い。なかなか現行の仕組みでうまくいっていないのがコロナ感染。この設置の困難さは、もちろん医療機関の感染リスクや医師・看護師の確保や発熱のある患者の動線の確保等であろう。

 先ほども言いましたが、「地域外来・検査センター」の診察も兼ねることができる類型ならば、検査と同時に診察もできるわけで、仮に他の病気の可能性があり、別の医療機関にかかることが必要ならば、紹介もしてもらえるになる。
様々な課題はあるが、結局、公立・公的病院が担わなければならないのではないかと考える。前向きに協議を進めていただきたい。

2.新型コロナウイルス感染症に対応した学校園の再開後の対応について

1)学習の遅れと格差にどう対応するか

②夏季休業中の授業日設定や放課後等で個別の指導を行うこととされている。夏季休業の短縮はやむを得ないところもあるが、教科書を駆け足で消化するやり方では子どもは伸びないとの意見もあるとおり、授業の遅れを「詰め込み式」で行うことは、かえって学校嫌いになる恐れもあると思うが、どうお考えか。

・教育委員会の、今年度中につけるべき資質・能力を育成しなければならないという「構え」が答弁された。最初の答弁で言及したが、心的ケアが必要であったり、格差が広がったりしているもとでは、教育委員会の「構え」だけでは逆効果になることも考慮していただきたい。

③休業中のプリントはまだ習っていない内容が配布された。いろいろやり取りのある授業なしで理解することには困難があるし、家庭学習の習慣のあるなしで格差は広がっていると見なければならない。先ほどの答弁では個々の学習状況を把握して興味・関心を引き出す工夫が考えられるとのことだが、個別のきめ細やかな指導も必要となる。答弁では、新たに学習指導員を配置するとされているが、どの程度の配置になるのか。

④その人数で十分一人ひとりに丁寧な指導ができるのか。

・一人ひとりの教員が子どもの学習状況を把握して丁寧な指導を行うものと。それにしても、現在の状況で、各校1人で週当たり5時間程度では十分なはずはない。今後国の2次補正で少しは増員される可能性はあるが、さらなる要望が必要。

⑤一人ひとりの学習状況に応じて丁寧な指導ができる環境は、少人数教育。12日までは学級の半数による半日の授業。15日からは通常になる予定。感染防止も含めて、2週間程度で通常の授業に戻れるのか不安があるのではないか。

・スモールステップによる移行に努められたことは事実。しかし、学校においてはクラスの状況に応じて対応することが必要。すなわち、

⑥分散登校も状況に応じた柔軟な対応が必要と考える。授業内容に関しては、文科省は「学習活動の重点化」を打ち出している。その学年での核となる学習事項を見定めて深く考え、それ以外は教科横断で学んだり、次年度以降に効果的に学んだりできるようにする方法。このように、詰込みにならず、子ども同士の関わり合いによって学ぶことができる工夫をどのようにお考えか。

・答弁されたとおり、子ども同士の関わり合いによって学ぶことを今まで通り実践するためには、「学習活動の重点化・精選化」が必要ではないかという提起。学校によって、また学級によって状況は異なるので、一律的にはいかない面が出てくるのではないか。その中で、特に低学年で、必要あれば、人間関係の形成や遊びも休憩も取り入れながら柔軟な教育ができるように、学校現場の創意工夫を保障することとともに、教育委員会の支援も必要と考える。

⑦学校行事については、心のケアとも関連している。文科省も「学校行事等も含めた学校教育ならではの学び」を進めることが大切だとして、授業最優先とはせず、学校教育の目標自体は変わらずに持ち続けるように求めている。答弁では、各校において今後の実情に応じて検討するとのこと。子どもにとって、中止となる学校行事は大きな楽しみのひとこま。「3密」を回避できる代替の行事は各校とも工夫して早めに子どもに知らせることが必要と考えるが、どうされるのか。

⑧最後に要望。学校行事に関しては、保護者向け「対応について」では、明確に「中止する若しくは縮小する」とだけ書かれている。教育委員会は関わらいということなら、各学校で状況を見ながら代替の行事の有無も含めて検討するということを保護やに伝えるべき。必要ならば、保護者との協議を踏まえることも考えていただきたい。

 そして、全体として、子どもへの手厚く柔軟な教育を進めるためにも、感染症対策のためにも、学校の教職員やスタッフを思い切って増やすことが必要。教員は連日、消毒、清掃、健康チェックなど今までにない多くの業務が生じている。20人程度の授業ができるように教員10万人増などの教育条件の抜本的整備をするための、国の思い切った措置が求められる。国の第2次補正予算における教員増ではあまりにも不十分。このことは、国に対して学校の現場の実情を訴えて教員の増員を求めていただきたい。伊丹市としても、可能なところで学習指導員や学校スタッフの増員を求める。