2019年12月議会 久村真知子:一般質問 生活保護の運用/体罰と子どもの権利条例

2019年12月議会 一般質問

2019年12月6日
日本共産党議員団 久村真知子

1.生活保護の運用について

 最近の生活保護受給者の状況についてお伺いいたします。

 総務省統計局の高齢者人口統計では、2016年(平成28年)には33,461万人で過去最高となっていると発表されています。今後も増える予想となっています。高齢者が増える状況について様々な問題が指摘されていますが、生活面での経済的な心配が多くあるのではないでしょうか。

 健康問題は病院に相談することが常識となっていますが、仕事ができない年齢が近づくと、生活をどうすればいいのかと多くの方が不安に思っている状況だと思います。60歳以上の方々と話をすれば多くの方が、今後どうやって生活していこうかと真剣に悩みを語られます。厚生年金の方は何とか切り詰めれば生活ができそうな話のようですが、手取り平均5万円での国民年金の方は、どうなっていくのか大変心配に思いますので、数点お聞きいたします。

① 伊丹での生活保護受給者の状況ですが、高齢者の生活保護受給者は、全体の生活保護受給者の占める割合はどうなのでしょうか。また若くても非正規で働く方々や、低賃金で生活が困窮している方々の相談などはいかがでしょうか。状況をお伺いいたします。

② また今後についてですが、高齢者がしばらくは増加する状況ならば、今まで以上の方が相談に訪れるのではないかと思われます。今後の相談状況に対してどのような見解をお持ちでしょうか。お伺いいたします。

③ ある方からお聞きしましたが、「昨年度の事ですが、市内でアパートを出なければならなくなり、何件も入居の相談に行ったが、高齢で一人暮らし、では断られてばかりだった。」ということでした。まだまだ高齢者の一人暮らしの方の入居や生活保護の方の入居に関してのイメージに問題があるのかもしれません。緊急連絡先がない。生活受給者の家賃滞納のトラブルや、孤独死で遺品整理などのトラブルなどに関して、市内での状況はどのように把握されておられますか。お伺いいたします。

④ このようなことを解決するために、家賃に関しては、平成18年3月31日付けで厚生労働省社会・救護局保護課長から「民間の住宅をお借りするための家賃滞納のトラブルを防ぐために、家主に直接、住宅扶助費を支払う、代理納付の制度を、生活保護法の特例に係る留意事項」として通知されています。

 また「全国賃貸住宅経営者協会連合会」からも、家主さん向けに、生活保護受給者に安心した生活を送っていただくためのガイドブックを厚生労働省や国土交通省の協力、内閣府の後援で作成されておられます。

 家賃滞納の心配に対しては、代理納付の手続きなどを紹介し、緊急連絡先がない方に対しては、緊急連絡代行サービスなどの紹介、また孤独死での遺品整理についてのサービスの利用をパンフレットで案内されており、家主さんに対して、生活保護受給者の住居の確保のために協力してほしいとパンフレットには書かれています。

 「住まいの安全安心」を実現するためにも、またトラブルを防ぐための方法として示されているのですが、この内容をきちんと関係者が知っていただくことは大変大事なことだと思いますが、この内容を家主さんに知っていただくための方法を伊丹市としては、今日までどのようにされてこられたのでしょうか。現状では、市内の不動産関係者や、家主、また保護受給者自身や関係者には、どのくらいどのくらい知られているとお考えでしょうか。お伺いいたします。代理納付は公営住宅などはされているようですが、民間の賃貸住宅にはどの程度実施されていますか。お伺いいたします。

⑤生活保護受給者のDV対応に関して。

 DVは生活保護受給者にも当然起こります。転居を決心したときに、転居費用が当然必要です。危険な状況なら当然転居費用が出るのではないかと考えますのでその点をお聞きしたいと思います。

 あるDV被害者の方が、何年もかかりやっと家を出る覚悟をして、相談に訪れました。暴力を振るわれたときに警察にも届け、告訴するか聞かれましたが、家族の事を考え告訴はしませんでしたが、家を出る決意は固まり、転居費用を出してもらえると思い相談に支援課に来ましたが、転居費用は出してもらえませんでした。その日泊まるところもなく大変不安を抱えられていましたが、なんとか友人のところに一泊させてもらいましたが、このような対応の仕方は、ことはDV被害者の人権を守る立場に支援課が立っていないと思います。友人宅は、加害者も知っているところですので大変危ないと私は思いましたが緊急のため仕方ありませんでした。このような状況の方に、転居費用を認めないということは、全く危険なところに押し返してしまう危険性がありますし、たすけてもらえないという孤立感と、生活への不安がより一層高まりこころのバランスを崩しかねないことです。

 様々な複雑な問題があるのかもしれませんが、暴力に傷ついている被害者に対して配慮が欠けた対応だと思います。被害者が安心できる対応が必要だと思います。幸い彼女は大変しっかりされていますので、前向きに生活されていますが、気の弱い方ならどうなってか大変心配です。

 彼女の場合、身近に信頼でき、助けてくれる友人が身近にいたから、心細い事や悩みを相談できたために今は自立して頑張れているのではないかと思います。このような状況に関しての対応は、本人とよく話し合い様々な条件も本人が納得のいく方向で支援をしていただきたいと思います。DVに関しては、DV相談担当だけの仕事では解決できないことも多くあると思います。どの部署でも様々に関係してくるのではないでしょうか。その中でも生活支援課は、その方の生活をしっかりと保障するという大きな役割があります、窓口を訪れる方々の相談は、その人の命に係わることだと思います。私はそのように思いますので、今後はぜひ、本人の意見を最大限尊重しながらの支援を行っていただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうかお伺いいたします。

⑥ リバースモーゲージ制度の今後について

 今このような制度が民間でも宣伝していますので、ご存知の方が増えてきているのではないかと思いますが、要保護世帯向けで公的な支援としてこのような制度があることは、まだまだ市民の方はご存じないのではないでしょうか。特に持ち家はあるが生活が困窮しているという高齢者には大変喜ばれる制度ではないかと思います。

 この制度に関して支援課でお聞きしましてもまだ詳しくは説明がもらえないような状況でしたが、持ち家のある方が仕事を退職された後は、厚生年金であっても、生活ができない不安を抱えておられます。まして国民年金の方は全く生活のめどがなく不安を抱えておられます。家があれば生活保護は受けられない、しかし高齢になり仕事も、もうできないという方に対しては、持ち家があってもこの制度が利用できるという方は、喜ばれるのではないでしょうか。

 今後特に高齢者の方で家はあるが生活費がなく困っている方が増えると思いますので制度の内容もお知らせいただきたいと思います。現状では市民にこの制度は、どの程度知られているとお考えでしょうか。この制度の利用はどのような状況でしょうか。お伺いいたします。(伊丹ではまだ利用されている方はいないとお聞きしていますが)。

 今日までは、家があれば生活保護は受けられないと一般的に思っておられます。住宅があるが生活困窮者や、高齢者の方でリバースモーゲージ制度に該当される方の相談に対しては、内容は少し複雑ですので、きちんと正しく知らせながら、生活支援課での対応をしていただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。

2.体罰問題と子どもの権利条例について

(1) 初めに、学校法で禁止されている体罰はあってはならないことであるが、なぜ根絶できなかったのかに関してお伺いいたします。

 体罰の根絶に対して2013年3月の定例議会で質問を行いましたが、その時は大阪市立での体罰による生徒の自殺問題がニュースで大きく取り上げられていました。そのような中で、教育長は、答弁の中で、「今後体罰がないようにしていく」と言われ、同時に「教育は人を幸せにするために行うものであり、被害者も加害者も不幸にする体罰は絶対にあってはならないと考えていると」言われました。私は大変頼もしく思っていました。他市では子どもの虐待や学校での体罰問題がまだまだ頻繁に起こっていますが、伊丹は大丈夫だろうと、教育長の言葉を信じておりました。しかし先日新聞に伊丹での体罰が載ってしまいました。このような事態がなぜ起こってしまったのでしょうか。個人の問題だけとして納めることはできないと思います。様々な理由があったとしても、教育長が言われますように、生徒、子どもに対しての体罰は絶対にやめるべきです。

 教育長としては、学校での体罰はなくし起こらないようにするというあの時の決意はどうだったのでしょうか。当時も様々な研修を行ってきたことも報告されていました。「体罰禁止に関する教職員への指導の徹底強化について」「部活における体罰禁止の徹底について」の教育長通知を全学校園にだし、各学校長には、「体罰禁止に係る研修会を実施するように」という事なども行われていました。あれから、5年も6年たてばこのような大切な取り組みは忘れられてしまっていたのでしょうか。体罰禁止は言い続けないと学校内では徹底できないのでしょうか。せっかく体罰防止に関して様々なことをされてきたことが引き継がれていないのでしょうか。体罰がなぜなくならないのか大変疑問に思います。

①体罰は根絶するといわれている教育長の決意が変わらないのならば、「なぜこのような事態になってしまったのか、なぜ根絶できなかったのか」に関してきっちりと検証すべきだと思いますので、どのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。    

*子どもたちの痛みは、目には見えない心の痛みとなり一生消えないかもしれません。子どもたちの成長での人格形成に関しての影響も大きくあると思います。このようなことを考えますと、体罰が子どもたちに与える影響については、取り返しがつかないことではではないかと心が痛みますが、どのようにお考えなのでしょうか。お伺いいたします。

*体罰をなくすには家庭や地域の協力の中で、認識の一致も大切な要素だと思いますが、その点は今日までどのようにされているのでしょうか。

*2013年以降も体罰のアンケートを行うとは言われていましたが、そのような調査はされているのでしょうか。今日までの体罰の状況は把握されているのか。取り組みはどうであったのか。お伺いいたします。

 また今後このようなことが起こらないためには、どのような手立てが改めて必要とお考えなのかお伺いいたします。

(2) 次に子どもの権利条例を策定することに対しての見解をお伺いいたします。

 今日まで何度か質問を行い、伊丹市でも「子どもの権利条例」の制定を求めてきましたが、体罰を起こさないようにするためにも、条例を制定し、条例内容を生徒も、大人も理解できるようにしていくべきと思います。そのことから「子どもの人権条約」に定められている子どもの人権とは何かなどを理解することができるのではないでしょうか。権利条約には児童に対するあらゆる形態の身体的もしくは精神的な暴力、虐待からの保護についてなども定義されています。

 このような内容は、すべての子ども達、また大人にもしっかり理解できるようにすべきと思います しかし国連の児童権利委員会からは、学校における体罰が法律によって禁止されていながら、学校における体罰の禁止は、効果的に実施されていない。家庭での体罰は法律によって完全に禁止されていない。等の勧告を行っています。このような内容につながる条約をすべての人々が関心を持ち、子どもたちにも理解できるようにすることは、体罰をなくすことに大きくつながることだと思います。

 体罰からは何の教育もできないと思います。子どもたちの体も傷つき、心までも傷つくのではありませんか。今後も伊丹の家庭や教育からは体罰、暴力、いじめ、虐待が起こってはならないと思います。そのためにもぜひ子どもの権利条約の内容がよくわかるように、皆さんが深く理解できるようにすべきではないかと思います。そのためには、「子どもの権利条例」を伊丹でも制定していただくことが必要ではないかと思います。どのような見解をお持ちなのか、お伺いいたします。