2018年6月議会 上原秀樹:伊丹市病院 「紹介状なし」の値上げに反対討論

議案第70号「および手数料条例の一部を改正する条例の制定」に対する反対討論

2018年6月 日本共産党議員団 上原秀樹

 日本共産党議員団を代表して、議案第70号「伊丹市病院事業使用料および手数料条例の一部を改正する条例の制定」に対して反対の立場から討論します。

 本条例案は、第3条「使用料等の額」第3項に「初診時選定療養費・再診時選定療養費」を追加し、別表の使用料の項目、「初診時保険外併用療養費 1回2,408円」を、「初診時選定療養費・再診時選定療養費として保険医療機関及び保険医療養担当規則第5条第3項第2号の厚生労働大臣の定める金額」に改めるとともに、「備考2」も改定しようとするものです。このことによって、紹介状なしに市立伊丹病院を受診した患者の初診時に5,000円、歯科口腔外科に3,000円、再診時には2,500円、歯科口腔外科については1,500円の定額負担を徴収することになります。現在、紹介状なしによる初診時の保険外併用療養費が消費税込で2,600円であることから、大幅な引き上げになります。

 今回の条例改正の背景は、安倍政権による今年4月の診療報酬改定において、大病院の外来は紹介患者を中心とし、一般的な外来受診は「かかりつけ医」に相談することを基本とするシステムを普及・定着させるための保険医療機関及び保険医療用担当規則の改正が行われ、その病院の規模を病床500床以上から400床以上に拡大したことによるものです。

 一方、市立伊丹病院では、当病院と地域の診療所の努力によって、紹介率は約80%となっており、一般的外来患者は「かかりつけ医」に相談するというシステムは一定定着しているといえます。にもかかわらず、国の規則により一方的に紹介状なしの外来患者に対して初診時に5,000円を徴収することは、市立伊丹病院への受診を控えることになり、市民の受診の権利を奪うことにもつながりかねません。また、伊丹病院にとっても収入のメリットはなく、逆に患者が減少することにもなります。さらに、診療所による紹介状発行の診療報酬も引き上げられており、3割負担で4,350円も払わなければなりません。これでは重症化する恐れがあっても、診療所による紹介でも、直接市立伊丹病院に行く場合も、お金の心配で医療を受けることをためらい、重症化することにもなります。

 したがって、今回の改正が安倍政権による全国一律的な規約改正及び一連の診療報酬の改正によるものとはいえ、市立伊丹病院と市民にとって不利益となる要素が大きく、市民の受診権を奪うことにつながることから、本条例改正に賛成することはできません。

 委員各位のご賛同よろしくお願いします。