2018年6月議会 服部よしひろ:「核兵器禁止条約」批准を求める意見書に賛成討論

請願第8号―「核兵器禁止条約」に署名・批准を求める意見書提出のお願い の賛成討論

2018年6月28日 日本共産党議員団 服部よしひろ

 議長の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、請願第8号に賛成の立場から討論を行います。

 広島・長崎の原爆被爆から72年目の昨年7月、国連で122か国の賛成のもと「核兵器禁止条約」が採択されました。そしてこの核兵器禁止条約に調印した国は今年6月7日ドミニカ共和国を含めて59か国となり、批准した国は10か国となっています。

 世界はいま、核兵器のない世界に向けて歴史の新しいステ-ジに立っています。核兵器を明文上も違法化した核兵器禁止条約が成立し、「核兵器のない世界」への新たな展望が開かれようとしています。

 3月2日に可決した長野県議会の意見書は、禁止条約が核兵器廃絶の担い手として被爆者を明記したことは「核兵器のない世界を求めてきた日本と世界の世論に誠実に応えるものであり、歴史的な前進」だと評価し、「日本が禁止条約に参加しないことに失望や批判の声が広がっている」と述べ、「唯一の戦争被爆国であるわが国には、率先して核兵器禁止条約に参加し、核保有国と非保有国との橋渡しを行うことが求められる」として署名と批准を求めています。
原水爆禁止日本協議会の調べによりますと、核兵器禁止条約が国連で採択された昨年7月7日以降、日本政府に対して禁止条約への署名や批准、参加などを求める地方議会の意見書可決が、今年4月1日現在、239に上っており、全自治体数(47都道府県と1741市区町村)の1割を超えています。

 日本政府はこうした声を真摯に受け止め、唯一の戦争被爆国として地球上の核兵器廃絶に向けて主導的な役割をはたすべきだとの請願主旨はまことに妥当であり、賛成するものです。

 昨年7月7日に国連で採択された「核兵器禁止条約」はどういう特徴を持っているか。

 1つには、この条約は必ずしも実際に存在する核兵器を直ちになくすものではありません。そうではなく、核兵器は残虐兵器であり、残虐兵器である核兵器を非合法化するという点です。

 2つには、核不拡散条約(NPT)条約の欠点である保有国と非保有国の不平等性を改めた、という点です。

 3つには、核兵器に関わる主要な活動、生産・保有・移転・移転の受領・使用と威嚇・支援と勧誘など、ほとんどを明確に非合法化し、同時に核兵器被爆者、被害者への支援が締約国に義務付けられている点です。

 4つには、核兵器保有国が一つも参加しなくても条約が発効するという点です。日本政府は「核兵器保有国も同意できる内容でないと非現実的だ」「コンセンサスが必要だ」と署名も批准も拒否しています。確かにNPT条約は核保有国5か国を含む44か国の批准で発効することになっており、核保有国の同意がなければ発効しませんが、この条約では核保有国に関係なく50か国の批准で発効することになっています。保有国が参加しなくても核兵器禁止が法的に効力を発揮します。

 あえて言うなら、日本政府のいう核兵器保有国も含む合意は、NPT締結で核兵器はかえって増大し、1995年以来のNPT再検討会議での交渉は20年経てもほとんど進展せず、核兵器廃絶は実現できていません。

 日本政府に求められているのは、唯一の「戦争による被爆国」であり、多くの被爆者の苦しみをわが事として受け止めることであり、その思いを国際社会に向けて発信し、世界から核兵器の脅威をなくすために努力することではないでしょうか。そのためにも、世界の核兵器禁止の流れに遅れることなく、速やかに署名・批准すべきと考えます。

 今回、「伊丹市原爆被害者の会」から提出されている請願は、被爆の当事者からの請願であり、当、伊丹市議会として、「私たちの苦しみをほかの人に味あわせたくない」という思いを重く受け止めるべきと願っています。

 重ねて、議員各位のご賛同をお願いいたしまして、請願への賛成討論といたします。

以上

杉一議員の反対討論要旨

1、 政府が進める核軍縮、核不拡散の立場が一貫している。その実現のために保有国・非保有国の実践的に取り組みを進めていることに賛同している。

2、 保有国が参加していない、非保有国だけで進めることは対立をより深めることになるのでは、との意味で両者の協力を重視する政府の立場から考えても合致しない。対立増進の効果になる

3、 日本政府は、CTBTにおいて調整国、共同議長国を務めてリードしている。核分裂物質禁止専門家パネル21か国の一つに選ばれた。G7広島宣言でイニシアティブ発揮し、日本政府は先頭を切ってリードしている。

4、 被爆地、ヒバクシャをかかえる唯一の国であり、ヒバクシャの声に耳を傾け努力を続けなければならない。その中での政府の立場は重要。現実的、実質的な不拡散の努力を進めている政府の決断に賛同する。

談話 

歴史的な米朝首脳会談を心から歓迎する

朝鮮半島の非核化と平和体制の構築へ合意の実行を

一、6月12日、シンガポールで米国のドナルド・トランプ大統領と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正恩国務委員長による米朝首脳会談が歴史上初めて行われ、両首脳は共同合意文に署名した。

 「合意文」は、米朝両国がこれまでの敵対的関係ではなく、「平和と繁栄のための両国民の要望に基づき、新しい米朝関係を構築する」こと、「朝鮮半島における持続的で安定した平和体制を構築する」こと、「朝鮮半島の完全な非核化のために努力すること」など4ツの項目からなっている。

 日本原水協はこれまで一貫して、平和的手段による問題解決を主張し、また、朝鮮半島の非核化は、北東アジア地域の平和体制の構築を一体的・包括的に進めるべきことを提起してきた。両者が、こうした点に立って、「両国間の数十年におよぶ緊張と敵対関係を越え、新しい未来を開く」ことを決意し、「共同合意文の項目を完全に、そして迅速に履行することを約束」していることを心から歓迎する。

 我々は、両国が、速やかに「合意」を具体化し、誠実に履行することを強く求める。

一、今回の歴史的な首脳会談を通じて、対話による問題の平和的解決こそが、真に問題の解決に通じる手段であることが改めて示された。「話し合いは時間の無駄」、「最大限の圧力を」という、日本政府の力ずくの対応の危険性と破たんは明らかである。

 政府は、「日朝平壌宣言」などこれまでの合意に基づき、朝鮮半島の平和と非核化、日朝関係の正常化のために誠実に努力するとともに、唯一の被爆国として、アジアのこの地域でも核兵器のない世界の流れを強めるよう力を尽くすべきである。

一、4月の南北首脳会談と今回の米朝首脳会談によって開始された、朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和体制の構築、平和のプロセスを実らせるためには、関係各国と国際社会の協調、なによりも核兵器のない世界を求める世界諸国民の世論と運動が重要である。日本原水協は唯一の被爆国の運動として、目前にせまった原水爆禁止2018年世界大会の成功をはじめ、世論と運動の前進に全力を尽くすものである。

2018年6月13日   原水爆禁止日本協議会事務局長 安井正和