2018年3月議会 一般会計等予算審査特別委員会討論

議案第41号 伊丹市職員退職手当支給条例の一部を改正する条例の制定に対する反対討論

議案第15号 平成30年度伊丹市一般会計予算に対する賛成討論

2018年3月 日本共産党議員団

 議長の発言許可を頂きましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議案第41号 伊丹市職員退職手当支給条例の一部を改正する条例の制定に対する反対討論及び、議案第15号 平成30年伊丹市一般会計予算に対して賛成の立場から討論を行います。

 まず、議案第41号に対してです。

 本条例は、2018年4月1日以降に退職する本市職員の退職手当を、現行の100分の87から100分の83.7に引き下げ、平均78万1千円の引き下げを行おうとするものです。退職手当は、人事院の見解にもある通り、退職後の生活を支える重要なものであり、職員は現行の退職手当の支給を見込んで生活設計を立てています。すでに2013年の条例改正で400万円の引き下げを行い、その上に今回、一方的な減額を行うことは職員の生涯設計に大きな影響を及ぼすものです。

 今回の見直しの根拠とされたのが、法的に民間準拠とは定められていない退職手当に関して、人事院が政府の求めに応じて行った民間との比較調査です。それは法的な権限を持った勧告ではなく、単なる意見にすぎません。しかし、退職手当は、最高裁判例でも賃金とされ、賃金の後払い的性格を有しているもので、労働条件性を有しているものです。その労働条件としての退職金を単なる意見によって、政治主導で決めることは公務労働者に対する人権侵害と言っても過言ではありません。

 さらに問題なのは、雇用保険による退職給付適用がないという公務の特殊性を無視した比較調査方法です。官民比較調査は、公務員にはないが民間には支給される雇用保険による退職給付をカウントせず、退職手当だけで比較して、78万1千円公務員が上回るというものです。しかも、厳しい再就職規制と退職後も科せられる守秘義務など、公務の特殊性を踏まえた官民比較にはなっていないこの調査は不当と言わざるを得ません。

 今回の条例改正は、その国家公務員法改正に準じて行おうとするもので、認めるわけにはいきません。よって本条例改正に反対するものです。

 次に、議案第15号に対してです。

 来年度の伊丹市民をめぐる情勢は、市税の審議で明らかになった通り、個人市民税では、給与収入は前年度対比で0.34%の増、年金収入は0.1%の減、事業収入はプラスマイナス0%と予測され、消費者物価指数が0.5%増となることで、市民の実質の収入はマイナスとなる見込みです。一方、中小法人の業績は、欠損法人が約300社減少することが見込まれ、一定のプラスとなっています。いずれにしましても、アベノミクスによって市民の暮らしが向上したわけではなく、逆に実質的な収入が減少することや固定資産税、介護保険料等の社会保険料の負担が増大することで、暮らしは大変になっていくというのが来年度の状況です。

 市長には、来年度、このことを踏まえた市民の暮らしを守る施策が求められています。この立場から、来年度予算に関して、本会議、委員会で指摘した点について述べます。

 初めに、問題点として指摘した点に対する見解です。

 第1に、幼児教育の無償化と公立幼稚園、保育所の統廃合等の幼児教育推進計画に関する議案に関して、1月臨時議会で市長提案の議案を修正して可決したことについてです。市長は施政方針の中で、市民から「施策の進め方が拙速すぎる」という意見が寄せられるとともに「更なる説明の機会を求める」という請願が可決されたことなどを真摯に受け止め、請願や常任委員会での付帯決議を尊重して施策を進めていくとされました。具体的にどのような形で説明が行われ、保護者や地域住民との話し合いが行われるのか未定とのことですが、付帯決議のとおり推進計画にこだわらず、熟議をもって真摯に話し合いがされることを求め、市民参加による見直しがされることを期待するものです。

 第2に、中央公民館の機能移転についてです。

 党議員団は、社会教育の中心的施設である公民館は他の施設に機能移転するのではなく、現地での建て替えを主張してきました。利用団体からも建て替えを求める要望書名が集められ、市長と教育長に提出されるなどの運動もされてきました。しかし、利用団体との話し合いの中でも、先ほどの答弁でも、貸室の使用料での配慮や公民館としての活動が従来通り行われること、教育委員会直営で運営がされることなどが確認できました。しかし、労働福祉会館の一定の貸室の増がされても、明らかに二つの施設における貸室の合計数は減少することとなり、一定の混乱が生じることは避けられません。市民の生涯にわたる教育権を保障し、学習活動を支援する施設としての役割を十分果たすことができるよう市民参加による運営を要望するものです。

 第3に、都市計画道路山田伊丹線についてです。

 この問題でも党議員団は延伸に反対の立場をとってきました。しかし、周辺住民が立ち退きやそれに伴う補償の問題に直面する中で、関係自治会や補償の対象となる当事者の間で、賛否両論の意見が出てきています。このことから昨年12月議会での予備設計委託料と、常任委員会における地元住民への十分な説明と権利者への丁寧な相談と納得を得ることを求める旨の付帯決議に賛成しました。改めてこの付帯決議の立場を尊重して、拙速なやり方ではなく、周辺住民や権利者が納得できるように慎重な対応を求めておきます。

 第4に、政府が進めている生活保護の生活扶助引き下げに伴う就学援助費の所得基準への影響について質したところ、現在の所得基準は変更しないとの考えが示されました。引き続きこの立場を堅持されるととともに、更なる充実を求めるものです。

 第5に、国において改訂された幼稚園教育要領等の問題点とともに伊丹市が作成される教育ビジョンへの反映について質しました。

 今回の幼稚園教育要領等の特徴は、幼児教育が改めて「学校教育の始まり」として位置づけられ、「接続の強化」として三つの資質・能力と幼児教育の終わりまで育ってほしい10の柱が打ち出されました。その問題は、あまりにも高いハードルを設定することで、幼児が遊び、生活が充実し発展することを援助するという幼児期にふさわしい教育がゆがめられるのでないかということです。教育委員会として、この内容の教育ビジョンへの反映としては、小学校への接続は小学校教育の先取りではないこと、遊びや生活などの実体験を通すことによるものであること、三つの資質・能力や10の柱は到達目標ではなくすべての幼児が同じように育つものではないことなどの見解が示されました。この立場を堅持されるように求めるものです。

 次に、来年度予算で評価する主な点について述べます。

 第1に、子どもの医療費助成が拡大されたことです。党議員団は中学卒業までの医療費の無料化を主張してきていますが、一定の改善がされたことは評価します。引き続き高校卒業までの拡大等更なる充実を求めます。

 第2に、手話が言語であるという認識に基づき、手話への理解の促進及びその普及並びに地域において手話を使用しやすい環境の構築に関する基本理念をさだめた手話言語条例を制定され、啓発事業を新設されたことです。

 第3に、保育所の待機児童解消に努められ、4月1日の待機児童ゼロのめどが立ち、さらに180名の定員増を図るための予算措置がされたこと、民間保育所における保育士確保のための新たな施策を講じられること、民間保育所における統合保育を実施されようとしていること、幼稚園における預かり保育、プレ保育が一部で実現することです。保育に関しては、年度途中の待機児童をなくすために引き続き充実を求めます。

 第4に、重度の障がい等により外出が困難な障がい児に対する居宅訪問による発達支援サービスを創設されることです。

 第5に、不登校や問題行動等の未然防止や早期対応のため、スクールソーシャルワーカーを1名増員して4人体制にし、すべての中学校への配置と小学校への対応が実現することです。また、かねてから要望をしてきました介助員を増員されることで、障害を持つ子どもの学習権を保障し、教職員等の負担を軽減されることは評価します。

 第6に、引き続き空き店舗出店促進事業や商店街活性化事業補助が行われること。また、農業の分野では生産緑地の指定要件の300㎡への緩和と農業者への支援を行うことによって、伊丹における都市農業の発展に寄与されることです。

 次に、来年度以降に向けた要望についてです。

 第1に、住生活基本計画が策定されようとしていますが、その中での市営住宅の建て替えに関して10年間は原則として建て替えはしないとされている問題です。

 来年度予算で旧耐震住宅の中でも比較的新しい住宅に限って耐震診断がされます。しかし、最も古い住宅は診断もされず放置されたままとなります。住み替えを進めるといわれていますが、民間住宅の借り上げは予定通り進まず、数年間にもわたって耐震性の低い住宅でしかもエレベーターもない住環境の悪い住宅に住み続けることになりかねません。改めて公営住宅法の立場に立ち返り、市営住宅の建て替えを求めるものです。

 第2に、職員と教員の働き方改革についてです。

 職員に関しては、昨年に比べて時間外勤務は減少するとされていますが、今年度も年間700時間を超える時間外勤務をされる方がおられるとおり、十分改革できているわけではありません。

 教員に関しては、昨年11月の実態調査で、月当たりの時間外勤務が、教諭で45時間の厚生労働大臣告示を超えるとともに、管理職では「過労死ライン」と言われる月80時間以上を上回る実態が明らかとなっています。一定の改善がされているといわれますが、この調査結果を踏まえて早急に改善する必要があります。職員も教員も改めて正確な勤務時間を掌握するとともに、教員に関しては早期に35人学級、30人学級の実現等による教員の数を増やすことが急務となっています。国に対する要望を強められるとともに、伊丹市でできる限りの勤務時間軽減策を求めます。

 第3に、新庁舎建設に関しては、今までの議論を経て基本計画策定には賛成をしてきました。

 しかし、現在の試算による工事費が約135億円と見積もられたことに対して、市民から驚きの声が寄せられています。来年度基本設計が行われる中で、市民フォーラムやパブリックコメント等により改めて市民の意見を聞く機会がありますが、概算工事費の検討のなかでの経費縮小の是非も含めて市民に対して丁寧な説明と理解を得る努力が必要となります。特に、幼稚園・保育所の統廃合の議論と重なることもあることから、より慎重な対応を求めておきます。

 第4に、現在の女性・児童センターへの南部こども園建設に関して、この施設を利用されてきた個人・団体の活動が継続できるのかという不安があります。

 女性センターの機能は移転するとされていますが、児童を含めた市民活動の場は、これらの施設と一体のものとして活用されてきました。このことを踏まえて、南部こども園が建設されることで今までの活動は保障されるのか、工事中はどんな制約があるのかなど、関係者との情報共有をする中で、その意見を十分反映されるよう求めるものです。

 以上、そのほか本会議、委員会で様々な意見・要望をしましたが、これらを来年度も含めて実現されますよう要望しまして、賛成の意見とします。