2017年12月議会 一般質問
日本共産党議員団 服部好廣
みなさん、おはようございます。
わたくしは、通告に従い、日本共産党議員団を代表して質問をいたします。
【1】
1番目の質問は、「幼児教育推進計画」(案)に関連してです。
「伊丹市幼児教育の充実に関するパブリックコメントは9月19日から10月31日の間実施され、873名の方から貴重な意見が寄せられました。今回市が行った幼児教育推進計画の発表が市民に与えた衝撃の大きさが想像できます。
この市民公募意見に対して市は意見を分類整理して「405件の意見が寄せられた」と発表しています。
【1-1】 873名の市民の意見が405件とされた意味をまず、伺いたいと思います。
そして、これら405件のご意見に対して市は回答をそれぞれ作成し、公表していますが、 その方法は「伊丹市パブリックコメント制度指針」第4条2項に基づき行われるとされ、
(1) 所管課の窓口、まちづくり推進課、各支所・分室、消費生活センター、市民まちづくりプラザ、図書館本館、人権啓発センター、行政資料コーナーへの備付け
(2) 市のホームページへの登載
となっています。
この、公表の方法について、パブリックコメント応募者へはどのように周知されているでしょうかお尋ねします。
寄せられた意見はすべて住所氏名その他個人が特定できる情報が付いておりますが、応募された各市民に対してお知らせされているのでしょうか。お尋ねします。
意見提出者873名のうち741名の方が文書で提出されておりますが、ホームページではわかる情報が伝わっているのでしょうか。また、ホームページ上では「案件が閲覧できる場所」という箇所で4条2項の各窓口が案内されていますが、回答がこの場所に設置され閲覧に供されることは案内されていません。
これらの方法で、市民や意見応募者の皆さんに市の回答が周知されているとは到底思えないと思いますが、市の見解を伺います。
【1-2】「幼児教育推進計画案」に関する二つ目の質問です。
市は、パブリックコメントなどの市民意見や2万2千筆を超える市民の署名を添えた要望書を受けて、当初の計画の見直しを実施中で、一連の関係条例案の12月議会への提出を断念し、年明け早々に議会に提出すると発表しました。
今回の幼児教育推進計画(案)は7月26日の委員協議会提案から4か月以上経過している今日でさえいまだに計画そのものをご存じない市民が多数いる状況が一方であります。
「幼児教育推進計画」について我が党議員団は発表後直ちに市議会報告を作成し市内全戸に配布し内容をお知らせしアンケートで意見を募集しました。市民の自発的な署名活動も展開され、市や自治会等による各種の説明会も実施されました。市の広報やホームページでも公報されましたので一定程度周知されたのではないかと思っていたのですが、11月末に市民団体の皆さんが駅頭で署名を集めていると「子育て世代」や「これから子育て世代」の方が何人も「初めて知った。新聞は購読していないし、自治会にも入っていない。市の広報は目を通していない。たいへんだ」という反応だった。と聞きました。
このように計画そのものをまだご存じない市民はどの程度存在するとお考えでしょうか。
先に述べましたように、7月26日の文教福祉常任委員協議会で提案された計画が、あれだけの取り組みをしても4か月たっても多くの市民に周知できていない状況で、わずか数日でどれだけの市民に周知できるとお考えでしょうか。当局の皆さんは「市民への丁寧な説明を実施する」と繰り返し述べていますが、12月22日に議会が終了したのち、年末年始のあわただしい時期を経て、年明け早々の議案発表です。まったく時間的余裕のないこの時期に市民への「丁寧な説明」を含む周知の方法をお示しください。
市長にこれだけ短期間に2万2千筆を超える署名が提出されたということは市民生活や子育てにとって重大な影響が生じる恐れがあると多くの市民が感じられているからと思います。
これだけ市民生活に大きな影響を与える計画にもかかわらず、このように性急な手続きを行うことは到底容認できませんが、あくまでもこの計画を予定通り推進するお考えかお聞きします。
市民への周知の問題で、「伊丹市パブリックコメント制度指針」第7条4項に「政策等の案を修正したときは、実施機関はその修正内容も併せて公表するものとする」とありますが、今回の修正案というのはこの項目に該当するのではありませんか。その場合、現在公表されているパブリックコメント「回答」は修正が反映されておらず不適切となるのではないでしょうか。また「併せて公表」への対応はどうするおつもりですか。見解を伺います。
【1-3】「幼児教育推進計画(案)に関する3つ目の質問です。
市民意見公募では「幼児教育無償化」に対しては賛否が分かれていますが、「就学前施設再編計画」に対しては圧倒的に反対意見が多く、また個別具体的な要求も多く寄せられています。市長マニフェストで表明されているのも「幼児教育無償化」であり、幼児教育の充実のために再編が必要との認識にはまだ市民の賛同は得られていないと思います。どうしても「幼児教育の無償化」を国に先駆けて実施しようとするなら別途財源の調整を行い「施設再編計画」は切り離し、さらに論議を深めるべきだと考えますが、見解をお聞かせください。
【2】
次に、女性児童センターの再配置計画についてお聞きします。
「就学前施設再編計画」に関連して女性児童センター内施設の再編計画が11月28日の都市企業常任委員協議会に提案されました。提案は具体的ではなく、今後時間をかけて当事者や利用者、市民の意見をお聞きして具体化するとのお考えかと思いますが、現時点でのスケジュールと計画につきお聞きします。
女性児童センター内には児童館やグラウンド、幼児向けプールが配置され、長年多くの市民に利用され親しまれています。特にグラウンドやプールの利用率は非常に高く、この機能を維持するには現地での再配置新設が何より求められているところです。幼児教育推進計画への市民意見でも多くの意見がこの施設に関連して寄せられています。
現在は「就学前施設再編計画」に基づく(仮称)こばと認定こども園の設置場所として白羽の矢が立ち、利用者の市民から不安の声が上がっています。
女性センターの「機能移転」問題も絡んでおり、慎重な対応が求められると思いますが、まずは、市民の主体的な取り組みが優先されるべきと考えます。したがって市民による「ワークショップ」を立ち上げ、検討をゆだねるべきと考えますが見解を伺います。
【3】
最後に、伊丹市の歴史遺産と伝統的建造物群保存地区に関してお聞きします。
文化庁は伝統的建造物群保存地区制度を制定し、地域に根差した文化財保護と地域の活性化を図っています。伊丹市内には旧御願塚村のように現在も江戸時代の村落の名残を残す地域が現存しています。また、御願塚古墳を中心とした陪塚古墳群も存在します。有岡城跡も総構えの城跡の名残が現存します。さらにその地下には大型の古墳群が存在することが知られていますが、これらの歴史遺産は現在どのように記録や管理がされているのでしょうか。
御願塚を中心として南小学区では御願塚史跡保存会が活動し、史跡の保存と同時に史跡を生かした地域づくりに取り組んでいます。
例えば、御願塚古墳の整備維持管理にとどまらない「つつじの植樹」活動や、古代米の作付け・刈り取りを地域の農家に指導を依頼し、史跡保存会が子供会と連携して取り組むなどが行われ、地域の史跡が現在の住人や後継者に身近な存在として日常生活に根付いていく活動が取り組まれています。
こうした地域おこしの先進事例は「大宰府市民遺産」の取り組みにも見られます。
伊丹には御願塚古墳群以外にも有岡古墳群もありましたが、現存するのは鵯塚古墳のみで、それも民有地の中にあり、市民や訪問者が気軽に見学できる状況ではありません。
旧西国街道には、解説や地図が添えられた統一した案内板が随所に設けられていますが、旧村落や古墳群にはそのような見やすい表示がありません。主要な鉄道駅前に周辺の歴史遺物の存在を示す案内板や地図が設置されたら、またVRによる視覚化も考えられ、市民や訪問者に伊丹の魅力をさらにアピールする効果を発揮するものと思われます。
現存する史跡や遺跡を保存・顕彰し、存在を広く知らせ市民とともに現在に生かす取り組みを行うべきと考えますが、市の見解を伺います。
以上で、1回目の質問を終わります。
当局のご答弁をよろしくお願いいたします。
【2回目】
2回目は再度の質問と要望といたします。
まず、「幼児教育推進計画」の見直しに関してです。
答弁では、市民へのパブリックコメント回答は「伊丹市パブリックコメント制度指針」に基づき行われているとのことです。
しかしながら、市民の側からすると、この方法では周知できないのではないか?との意見が出ていることも事実です。そのことについて再度お伺いします。
答弁では70回の説明会で延べ1800名の市民に説明し、さらに「これまでにない手法を用いて」就学前のお子様をお持ちのご家庭に焦点を当てた周知を図りたいとされました。それは具体的にどのような方法を指しているのでしょうか。また、今はまさにその原案を修正した案を練り上げている真っ最中であり、一日も早く原案を周知しなければならない時期と思いますが、「考えております」では遅いのではありませんか。この点についてご答弁をお願いします。
パブコメの以前から「多くの市民から期待の声を頂いている。」との答弁ですが、「特に3歳児保育・預かり保育・プレ保育など新たな取り組みへの期待」は「就学前施設再編計画」を前提にしたものではなく、2年間18回実施してきた「幼児教育の在り方を考える市民講座」の席上、もっぱら「公立幼稚園の入園者激減」という事態の打開策として、また魅力ある公立幼稚園の在り方を考える中で、市民・保護者の強い要望として出されてきた意見にほかなりません。ところが、答弁では、当局は保護者の皆さんの「今ある園をなくさないでほしい」という思いと、就園前保護者の意見が対立しているように受け取っているように思えるのですが、「歩いて通える身近な公立幼稚園を残してほしい」という思いは就園児、未就園児の保護者に共通した強い思いであり、その思いを素直に受け取ってもらいたいと思います。
何よりも市民の皆さんが違和感を持たれているのは、2年間かけて市民講座で丁寧に説明してきた「学教審答申」に対して、7月26日に提案された「再編計画」が大きくかけ離れて、広範な幼稚園の廃園と公立保育所の移転を伴っていたことにあるのではありませんか。2年間かけて市民の納得と合意を形成するために努力してきたのに、また、鈴原、神津のように地域住民との合意を積み上げてきた実績を持っているにもかかわらず、わずか数か月で計画を押し通すことは許されることではありません。
今、市長には2万2千筆もの請願署名が提出されています。その請願項目をご覧ください。
「伊丹市幼児教育推進計画(案)」への請願項目
1、 市民参加が不十分なままに計画を策定するのではなく、地域住民、現在の保護者、これからの保護者、保育所の保育士、幼稚園の教諭の意見を聞いて見直すこと
2、 今後の公立幼稚園・公立保育所・公立認定こども園のあり方について、地域によって事情が異なる小学校区毎に市民に対して丁寧に説明を求めます。
この請願に対してどのようにお考えなのでしょうか。
このことについての当局の見解を伺います。
「就学前施設再編計画」と「幼児教育無償化計画」を切り離すべきとの質問に対し、「就学前施設再編計画」は「幼児教育無償化計画」の前提となっている。との答弁でした。
9月議会で、各会派から様々に「幼児教育の無償化のために施設の再編を行うのではないか」との質問を行いましたが、その時の答弁では全く逆の「幼児教育の充実のために施設の再編を行うのであって、その結果生まれた遊休地を有効に利用して無償化の財源にするだけ」との言い方をされています。いったいどちらが市の本意なのでしょうか。明確な答弁をお願いします。
女性・児童センター関係施設の今後の展開について伺いました。先日の都市企業常任委員協議会で説明頂いた内容の再確認をさせていただきました。
現時点では明確な決定事項はないことが明らかとなりました。広範な世代の市民や未就学児を含む児童が利用する施設として親しまれている施設の今後は、広範な市民を含む利用者や登録団体と市当局が一体となって「ワークショップ」等を立ち上げるなど、市民主体で推進していただくよう、要望いたします。
女性センターの機能移転についても今後の「男女共同参画施策」のセンターとして、利便性が高く気軽に利用できる機関として機能するよう、市民・関係者・当局で十分な審議が尽くされるよう期待を表明しておきます。特に、市民意識調査で明らかなように、伊丹市では「男は仕事女は家庭」という考え方が全国平均より10ポイントも高くなっており、女性センターの果たす役割が特に重要であることを申し添えておきます。
伊丹市の歴史遺産の活用についてお聞きしました。日頃より多くの活動をされていることがわかりました。残念なことにそういう活動が市民の目にはなかなか留まらないことだと思います。そういう意味でも市民の自発的な顕彰活動への支援が重要ではないかと思います。それを引き出す手段として、身近なところでのわかりやすい目につく表示板の設置が重要かと思いますので、その点の予算措置も含めてご検討いただきますよう要望します。
以上で2回目の質問とします。
【3回目】
3回目は要望とします。
「幼児教育推進計画(案)の見直しに関する2回目の答弁に対し、発言します。
「これまでにない方法」とおっしゃるので何か新しいことを導入する気かと期待をしておりましたが、現状のツールの使い方を少しいじることでした。これでは到底全市民的に周知を拡大できるとは思えません。 「パブリックコメント制度指針」の抜本的手直しも含めて周知方法を検討するよう要望します。
次に、「就学前施設再編計画」と「幼児教育無償化計画」を切り離すべきとの指摘に対するご答弁についてです。「幼児教育の無償化」に対する国の方針変更に伴い、財源の再検討が迫られていると思いますが、それにはお構いなく一度描いた再編計画に固執しているように市民は見ています。そのことに正面から答えることを求めておきたいと思います。
まだまだ聞き足りない点もありますが、この件では他の議員も質問を予定されておりますので、委ねたいと思います。よろしくお願いいたします。
1点だけ、答弁は不要ですが、指摘をしておきます。
文教福祉常任委員協議会で表明された再見直し案の最終案はまとまり次第公表すると答弁されましたが、それはいつなのかということです。師走に入って公表し、年明け早々に臨時議会を開催し、市民の皆さんにも我々議員にも検討期間が極めて短い。全く遺憾であることを表明して、質問を終わります。