2013年6月議会代表質問:上原ひでき 市営斎場・市営住宅への指定管理者制度を導入について

2013年6月14日 上原ひでき議員

4.議案第64号市営斎場、66号市営住宅のそれぞれの条例改正で、指定管理者制度を導入することについて

 2003年の地方自治法改正で導入された公の施設の管理運営を民間企業等に委ねる指定管理制度は、小泉内閣の「官から民へ」の「構造改革」政策の重要な柱として制度化されました。しかし総務省の調査では、「民」とされる株式会社等の指定は10%台に過ぎず、ほとんどが公共的団体にとどまっています。このことは、地方自治法の「公の施設」に関する条項が、住民の権利を基底に置いたもので、住民の福祉を増進する目的を持って公の施設を設置することになっているところに起因しているものと思われます。

 数年前の総務省の指定管理者制度導入調査でも、民間企業等への指定管理者の指定取り消し等が2,100件にもおよんで入ることにもそのことが現れています。そして、総務省による「行政指導」においても、2003年当初は「経費削減」が「住民サービスの向上」と並んで強調されていましたが、2008年、2010年の文書では「経費削減」がなくなり、「公共サービスの水準の確保」という観点が中心となっています。すなわち、「経費削減」を目的にした民間企業等への指定管理者導入が限界にきていることを、総務省自身が認めているといえます。

 このような状況の中で、今回、伊丹市営斎場並びに伊丹市営住宅の管理に関して、指定管理制度を導入する条例改正の議案が提案されました。言うまでもなく、地方自治法第244条の2第3項は「公の施設の目的を効果的に達成するため必要があると認められるときは」指定管理者に施設の管理を行わせることができるとし、直営が原則、住民サービスにつながる場合に、例外として指定管理者制度を取ることができるとされています。そこでお伺いします。

 一つは、それぞれの施設において、直営で管理するよりも、その施設の目的を効果的に達成でき、住民サービスの向上につながるとされた理由は何でしょうか。

 二つには、個人情報の保護という点で、斎場においては、現在火葬業務は民間に委託されていますが斎場事態は直営であり、個人情報は伊丹市が管理していますが、今後民間にゆだねられてしまいます。また市営住宅においては、公募から選考、退去までの事務や相談業務等、所得状況も含めてあらゆる個人情報が民間にゆだねられることになります。問題が多いと考えますが、見解を伺います。

 三つには、市営住宅においては、入居者に低所得者や生活上困難を抱える家庭が多く、生活相談から入居者同士の問題等も含めて相談業務が日常化しており、その対応が福祉的要素が多いことから、健康福祉部が所管していると理解しています。このような業務を民間にゆだねることはできないと考えるものですが、見解を伺います。

 さらには、市営住宅の維持管理も指定管理者の業務になっている問題です。現在、修繕を行う場合には伊丹市の登録業者に、伊丹市が定めた単価で発注していますが、指定管理者にゆだねられると、その単価も発注業者も民間任せとなり、単価の切り下げや公平性の担保に問題が生じるのではないかと危惧するものですが、あわせて見解を伺います。

(2回目の発言)

 私たちは、今まで、公の施設の指定管理者制度の導入に関して、それぞれの施設ごとに検討して、賛否を判断してきた。

 回の市営住宅に関しては、その目的、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、住宅に困窮する低所得者に対して低廉な家賃で賃貸することに よる、国民の生活と社会福祉の増進に寄与する、ということから、憲法25 条の生存権の保障にあり、その権利を保障する義務のある伊丹市が直接行うサービスであると考える。

 市民サービスの向上に関して、24 時間管理体制、受付18 時まで延長・・・。しかし一方では、住民から日常的に相談があり、内容によってはたらいまわしになる可能性があり、安定した生活を営み、社会福祉の増進に かなうものなのか。また、修繕等維持管理業務にしても単価の切り下げや公平性の担保について疑義が残る。

 そこで質問です。

○ 先ほどの答弁で、修繕に関して適切な業務水準の設定とモニタリングを行うとされたが、具体的にどうするのか。

 たとえば、修繕工事等は指定管理者が 直接業者に発注することになる。そうすると品質管理は大丈夫なのか、または労務賃金はきちんと保証されるのか。

 また、指定管理者が直接発注することで、決 まった業者に偏ってしまい、一部の業者の利益を保証することにならないか、という公平性の観点では具体的にどう担保するのか。