2019年9月議会 上原秀樹:市立伊丹病院検討特別委報告

2019年9月議会 「市立伊丹病院検討特別委員会」報告

2019.10.23
日本共産党伊丹市議会議員 上原秀樹 上原秀樹

1)10月23日 議会「市立伊丹病院検討特別委員会」での伊丹市の報告

伊丹市と公立学校共済組合(本部=東京)との協議の結果、「中間報告」として以下のことが報告された。

①二つの病院を統合して1つにし、高度急性期医療を担う病院として、病床数は600床とする。
②新しい病院は、現地で若干土地を広げて建て替えをする(桃寿園、松風園は移転して新築)。
③協議の中では、近畿中央病院は現地には病院は残らないとの結論を出している。

2)質疑の中で出した「中間報告」の問題点

①近畿中央病院がなくなること。

・中間報告では二つの病院を統合するという説明だが、南部地域から病院がなくなるということについて1万筆を超える署名も提出されている。身近なところで医療にかかりたいというのが市民の声。市内の診療所も患者が通いやすいところを紹介するといわれている。市民病院は市内中心部に位置するが、今まであった南部の急性期医療を提供する病院がなくなることは、大変不便になる。その認識はないのか。
新病院は両病院の入院患者はすべて受け入れられる。立地場所も市内の中心地になるので利便性もよい。
近畿中央病院では、患者数が減少することで建て替えを断念した。

近畿中央病院を一定の規模で残し、市民病院と連携することで維持できるのではないか。
市民病院も入院在院日数が減れば患者も減っていく。そのことで医師が減ればチーム医療ができなくなる。働き方改革もしなければならず、そうなれば救急もできない。たとえ200床規模の病院を残したとしても、当直も救急もできない。そんな病院とは連携できない。

近畿中央病院は「職域」は外せないといっているが、どうなるのか。現地にはそのことも含めて全く近畿中央病院の機能はなくなるのか。
まだ調整中で、詳細はこれから詰める。近畿中央病院の機能がなくなるかどうかは現時点では答えられない。

・近畿中央病院の地に病院を残すかもしくは新たな病院を誘致するか、現在の協議の中で、また兵庫県との調整会議の中で伊丹市南部と尼崎市北部の医療需要を踏まえて検討することを要望する。

②病床数約800床から600床へ200床減少でいいのか。

・伊丹市の人口推計に関して、社人研の推計では2030年には18万8千人、市の地方創生人口ビジョンでは20万人で、その1.06倍となっているが、600床で十分か。
6%増で想定して585床が620床になるが、2040年までに在院日数が減れば600床で対応できる。

・在院日数が10年間で3日減ったというが、今後も同様のことが言えるのか。短縮できたとしても、新病院になったとたんに減るわけではない。
医療技術の進歩で必ず減少する。

・現在2つの病院に入院されている「回復期」の一部の患者(退院調整中の88名)を切り捨てようとしているのではないか。
一時的にはすべての患者を受け入れることを想定している。回復期の患者も様々な症状がある。時間をかけてこのような形にしていく。

・市内の回復期の受け入れ先はあるのか。
現在320床で稼働率70%、100床は空いている。個々人様々で、回復期、リハビリ、在宅、地域包括ケアなどに移行していくことになる。

・新病院の病床稼働率を90%と見込んでいるが、高すぎる見込みと考える現在の稼働率で割り戻すとどうなるのか。
659床になる。

・(新潟県の例)一般的に高度急性期は75%、急性期は78%を想定している。尼崎の総合医療センターは82%になっているではないか。90%はありうるのか。
箱が先で計算するとそうなるが、今回はマーケットで計算して箱をつくる。加古川のケースでは91%92%となっている。尼崎の場合は、特定集中治療室があり、施設基準で病床数が決まっているので空きが存在する。

・高度急性期医療に対応する病院となると、宝塚や川西からも患者が来ることになるが、そのことは想定されていないのではないか。
現在市外の患者は35%、対応可能と考える。市内完結率80%を想定していて、すべて見るのは難しい。(阪神)圏域内で考えないといけない。

③今後の進め方について

・現在協議中の議事録は公開しないのはなぜか。公開すべき。
突っ込んだ話し合いや不安を与える内容もあるので、公開する気はない。
(市長)外交の駆け引きを公開しないのと同じ。いろいろ問題もあるので駆け引きもある。結果的に公開すれば不利になることもある。合意点だけあればいいと思う。どこまで出せるか検討しなければならない。
両者合意のできた内容で発表する。協議の上整理していきたい。

・今回の「中間報告」の説明会が3回だけとなっている。地域から要望があれば説明会をするのか。
様子を見ながら検討する。

・結論を12月に出すとなっているが、拙速すぎるのではないか。
4年間検討してきたので今年度中に結論を出したい。

・再編ネットワークの関する財政上の特例措置との関係は。
2020年までとなっているが、国に延長を要望している。

・方針案を策定するというが、近畿中央病院はどうなるのかも示すのか。
両病院の形を示したい。
近畿中央病院は新たな病院として現地に作ることは組合員のためにならないとの考えを聞いている。

〇建設費はどうなるのか。
姫路播磨734床で350億円かかっている。
県の補助に関しては、再編ネットワーク債、基金の活用を県に要望している。

〇完成時期はいつか
来年度基本設計、詳細設計2年、工事3年で新病院完成は5~6年後。
(市長)西宮市の完成が2025年なので、西宮より先にしたい。

〇運営形態はどうするのか。独立行政法人は議会の関与がないのでやめてほしい。
(市長)公営企業法の全部適用(現在)か独立行政法人化いずれか。

2019年9月議会 上原秀樹:一般会計決算討論

2019年9月議会 一般会計決算討論

2019.10.7
日本共産党議員団 上原秀樹

 日本共産党議員団を代表して、報告第10号平成30年度伊丹市一般会計歳入歳出決算に対し、その認定に同意できない立場から討論します。

 2018年度における市民をめぐる情勢は、一人当たりの個人市民税では、給与収入は前年度対比で0.33%の増、年金収入は0.1%の減、事業収入は0.67%の増となりましたが、消費者文化指数が0.5%を上回る増となったことから、実質的に市民の収入は減少することになりました。高齢化社会の中で年金支給額が減らされ、実質賃金がマイナス続きで、アベノミクスで景気が良くなったという実感が持てない中、固定資産税や介護保険料などの社会保険料の負担が増大することで、市民の暮らしが大変になっているというのが実態です。この中で市民の暮らしと権利を守る市政が求められました。

 以下、問題点を述べます。

 第1に、市立伊丹病院のあり方の検討に関する問題です。

 問題の一つは、「市立伊丹病院あり方検討委員会」におけるアンケートの内容が市立伊丹病院と近畿中央病院の連携・統合を誘導する質問項目が設定されていたことで、昨年の6月議会で指摘したとおりです。

 二つ目には、「あり方検討委員会」を非公開にしたことです。数か月後に議事録はホームページで公開されましたが、市民にとって命と健康を左右する二つの病院のあり方に関して、リアルタイムで検討の内容を傍聴することができないことは、市民参画と民主主義において問題です。

 三つには、「あり方検討委員会」の結論として、市立伊丹病院と近畿中央病院を統合し、高度急性期医療を担うことができる500~600床規模の病院をめざすべきとして、両病院の統合を前提として協議をすることを求めたことです。このことは、特に近畿中央病院がなくなるという不安を市民に与えるとともに、明確な病床需要調査を行わずに病床規模を示したことによって、ベッド数が減らされるという不安も市民に与えました。改めて正確な医療需要調査による市内における必要なベッド数の確保と近畿中央病院の現在地における医療機関の存続を求めるものです。

 第2に、幼児教育推進計画についてです。

 公立幼稚園と保育所の統合再編が市民の間で大きな議論となりました。この計画を策定するにあたって市民から「施策の進め方が拙速すぎる」「さらなる説明を求める」との請願が提出され、採択されました。このことを踏まえ、市長は予算の提案説明の中で、このことを真摯に受け止め、これら請願や常任委員会で可決された付帯決議について、その趣旨を尊重しつつ施策を進めるとされました。問題点の一つは、付帯決議における「市民への説明責任を果たすために、伊丹市幼児教育推進計画に固執することなく市長も含めた当局と保護者、地域住民等で十分協議すること」についてです。当局は昨年度、この項目に基づいて各小学校区では2回にわたって説明会を開催されました。しかし、協議という形式ではなく、当局が説得する会議になり、付帯決議での「推進計画に固執することなく」「十分協議すること」を市長は尊重されたとは言えません。二つには、「公立幼稚園が閉園となる場合、跡地は教育、子育てのために活用すること」ですが、この点では跡地利用については教職員、保護者、地域住民との協議を十分行うことが要望されていました。この点では今議会でも様々な意見が出されたとおり、これら関係団体・住民と十分協議されているとは言えません。

 第3に、市営住宅の建て替えはしないことを改めて結論を出したことです。

 昨年、旧耐震住宅のうちの一部の住宅で耐震診断がされ、今後の市営住宅のあり方として、建て替えは行わず、旧耐震住宅のうち198戸(入居世帯は141世帯)は用途廃止で他の住宅に住み替えする、他の536戸は耐震改修をするという方針を出されています。しかし市内の県営住宅や尼崎市等周辺の公営住宅の建て替えが進み、バリアフリー化された住みよい住宅に変わっています。一方伊丹市は建て替えずに住み替えを進めるため、その住み替え対象となる住宅の募集は停止されることで市営住宅の枠が狭くなるとともに、耐震改修等修繕する住宅のほとんどがエレベーターのない住宅として残ることになります。中野北県営住宅の土地があるときが建て替えの機会となります。改めて検討を求めます。

 第4に、職員の人事評価です。

 公共を担う公務員には、全体の奉仕者の立場から、市民の声を聞き、提供する市民サービス、人権保障のあり方を職場で自由に議論し、決定する権限が与えられています。そのような場に「働きぶり」や「能力」「業績」などという測ることが困難な尺度で5段階評価することは、単純なことではありません。課長等による面談によって業務内容等で話し合いがされることには意義はありますが、評価によっては公務員の労働意欲の向上や創意工夫の発揮を阻害することにもつながります。この点に関しては、人事評価の問題点を十分認識していただき、5段階評価はやめることなどを含めて、職員の力が十分に発揮され、市民福祉の向上に向けて働きやすい職場とされるよう改善を求めます。

 第5に、伊丹空港における国際便就航を求めていることです。

 関西3空港懇談会が今年5月に開催されました。その結論として、伊丹空港に関しては、発着時間の拡大や国際便就航のための規制緩和は、騒音に配慮して見送られることになりました。伊丹空港の存続協定では、安全性と環境を守るため、21時から翌朝7時までの飛行禁止と一日370便に限定、国内線に限ることとされ、航空機に係る環境基準達成に向けて不断の努力をすることがうたわれました。騒音値は一定軽減することができましたが、依然としてここ数年騒音値にほとんど変化はなく、環境基準達成には程遠い状態です。市長は「安全性と環境を大前提にする」といわれますが、その大前提が不十分なままで国際便就航を求めることはやめるべきです。

 第6に、教育の分野では、全国学力テストへの参加と市独自の学力テストの問題です。

 テストの結果は「学力の特定の一部分」「教育活動の一側面」でしかないと言われてきました。ところが、教育委員会は「全国の平均点より上に」などと学校と教師を結果としてあおり、「教育活動の一側面」という割には大々的に分析して「傾向と対策」まで出して、結果として点数アップを現場に押し付けることになっています。文科省も2年前、「数値データの上昇のみを目的にしているととられかねないような行き過ぎた取り扱いがあれば、それは調査の趣旨・目的を損なう」とする「通知」を出さざるをえなくなりました。しかし、「行き過ぎ」は、全国の子どもにテストをして点数で比べるという制度そのものに原因があります。学力調査が必要な場合、数年に一度の抽出調査で十分です。改めて検討を求めます。

 次に評価すべき点です。

 第1に、子どもの医療費助成が拡大されたことです。党議員団は中学卒業までの医療費の無料化を主張してきていますが、一定の改善がされたことは評価します。引き続き高校卒業までの拡大等更なる充実を求めます。

 第2に、保育所の待機児童解消に努められ、認可保育所の増設で2019年4月1日の待機児童ゼロを実現されこと、民間保育所における保育士確保のための新たな施策を講じられたこと、民間保育所における統合保育を実施されたこと、幼稚園における預かり保育、プレ保育を実現したことです。保育に関しては、年度途中の待機児童をなくすために引き続き充実を求めます。

 第3に、生活困窮者自立相談支援事業において、昨年度、新規相談件数437件、自立支援計画策定112件で、本事業の支援による就職も80人、生活保護にも60件つなぐことができました。生活不安や格差と貧困が広がる中で、生活困窮者等を支援する仕組みを発展されていることには評価をするものです。一方、相談支援員3人と就労支援員1名では、継続相談者を含めると年間500名前後の相談に乗り、支援を続けることには人員体制に不安があります。相談支援員の増員を求めます。

 第4に、不登校や問題行動等の未然防止や早期対応のため、スクールソーシャルワーカーを1名増員して4人体制にし、すべての中学校への配置と小学校への対応が実現したことです。また、かねてから要望をしてきました介助員を増員されたことで、障害を持つ子どもの学習権を保障し、教職員等の負担を一定軽減されたことは評価します。引き続き児童・生徒をめぐる様々な困難を解消するための支援体制を強化されるとともに、教職員の働き方改革のためにも定数改善による35人、30人学級実現に向けて国に対して要求されることを求めます。
 
 次に、次年度に向けて先ほど述べたこと以外に要望する主な案件についてです。

 一つに、「公文書管理条例」制定で、公文書が市民共有の知的資源であることを位置づけ、市民の知る権利の保障に寄与するものであること等を明記するとともに、行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程、事業の実績を検証することができるような文書の作成を義務付けることも必要です。このことによって、情報公開条例と表裏一体で市民の知る権利を保障することになります。

 二つに、職員の働き方改革に関して、一定の努力はされていますが、年間360時間を超える時間外労働をされている職員が103名おられるとことに対しては、正職員の増員も含めて早急に改善することを求めます。

 三つには、性的マイノリティの人たちの人権と生活保障のために、同性カップルの権利保障を進めるパートナーシップ制度を制定されることを求めます。

 四つには、国による幼稚教育・保育の無償化に伴う2号認定こども(3歳以上の保保育園児)に対する副食費実費徴収に関して、国に無償化を求めるとともに、市独自に支援することをもめます。

 以上、その他本会議、委員会で要望しましたことについて、是非次年度以降で実現されますことを求めまして、同決算の認定に同意できない立場からの討論とします。議員各位のご賛同をお願いします。

2019年9月議会 上原秀樹:代表質問

2019年9月議会 代表質問

2019.9.17
日本共産党議員団 上原秀樹

1.総務省「自治体戦略2040構想研究会」報告に対する市長の見解を問う

 総務省の設置する「自治体戦略2040構想研究会」から、昨年の4月に1次、7月に2次の報告が出され、すぐに第32次地方制度調査会への諮問に引き継がれました。この「構想研究会」の戦略目標は、「人口縮減時代の新たな社会像の構築、基本施策の開発、自治体行政の大胆な書き換え」であり、その中身は市町村行政のフルセット主義からの脱却、スマート自治体への転換、「圏域」単位での行政の推進です。

 急速に進む人口減少社会への対応、持続可能な地域・自治体づくりは、喫緊の課題であり検討が必要なことは言うまでもありません。問題はその報告、中身、進め方が正しいのかどうか、検討する必要があります。これに対しては様々な諸説がありますが、問題と思われる点を取り出し、市長にその見解をうかがいたいと思います。

 一つは、「2040年頃に迫り来る危機」と言っていますが、これらはすでに提起され、「地方創生」政策として伊丹市も含めて国も自治体も一定の対策を講じています。報告書はその努力や成果を考慮せず、「危機」ありきで今から自治体のあり方を大胆に「書き換える」先取り的な改革が必要と提起しています。福島県相馬市長は「地方創生にがんばろうとしている努力に水を差す以外何物でもない」「努力の成果も検証できないうちに2040年にはダメになるからという議論は適切か」と提起しています。

 二つには、「「迫り来る危機」を強調し、政府側の戦略・手法に沿った全国画一的な対応を上から押し付けようとしていることです。熊本県嘉島町長は「上からの押し付けではなく、選択可能な制度や仕組みを準備することが重要だ」と提起しています。

 三つには、スマート自治体への転換、自治体の執行体制のスリム化(半減化)です。報告書では、2040年ごろには現在の半数の職員でも業務に対応できるようにする」「AI・ロボティクスによる自動処理」ができるようにするとしていますが、自治体の事務・事業の性格、内容を踏まえた検証が必要です。安倍政権の狙いは、自治体・公務の民営化、外部化、産業化の推進であり、すでに様々な手立てが講じられ、各地で問題となっているところでもあります。

 四つには、人口減少・少子高齢化の問題についてです。日本の出生率低下は以前から指摘されてきました。政府は幼児教育・保育の無償化を打ち出しましたが、消費税増税とセットです。1993年1.66から2010年2.0に上げたフランスや1999年1.5から2010年1.98に上げたスェーデンのように、なぜ日本の場合は家族給付や出産・育児と就労支援の両立支援など、若い世代の生活実態に寄り添った措置を講じて、計画的、系統的に改善を図ってこなかったのか、このことが今日の「危機」を作り出しています。一方、各自治体では子どもの医療費無料化など様々な施策や住民参加の取り組みで、持続可能な自治体に向けて努力をしています。このことに目を向けず、国民の税金をアメリカいいなりで武器を爆買いする一方で少子化対策には十分な税金を使わず、規模のメリットやサービス提供の効率性をことさら強調し、小規模自治体の自治の機能、役割、権限を縮減し、再編を迫るのは本末転倒です。

 いずれにしても、この報告は今後の自治体のあり方をめぐって重大な問題を提起していると思います。市長はどうお考えでしょうか。見解をお聞きします。

2.財政問題について

 2018年度決算による各種基金残高を見ますと、財政調整基金は73億600万円で標準財政規模に対して17.8%、公債管理基金は20億5,700万円、公共施設等整備保全基金は50億6,100万円となっています。順調に、ほぼ計画通りに基金の積み立てをしてきたとされますが、市庁舎の建設費に加え市立伊丹病院の建て替えも重なり、行革プランの財政計画に新たな問題が生じることになりますが、このことに対する認識についてお伺いします。

3.2018年度予算審議で問題点として指摘した主な事業から

1)幼児教育施設の再編について

 2017年度から2018年度にかけて、公立幼稚園と保育所の統合再編が市民の間で大きな議論となりました。結果として修正された再編計画が可決されるとともに、この計画を策定するにあたって市民から「施策の進め方が拙速すぎる」「さらなる説明を求める」との請願が提出され、採択されました。このことを踏まえ、市長は、このことを真摯に受け止め、これら請願や常任委員会で可決された付帯決議について、その趣旨を尊重しつつ施策を進めるとされました。当初予算における市長のこの提案説明通りに進めてきたのかということです。付帯決議の主な内容に関してお聞きします。

 一つは、「市民への説明責任を果たすために、伊丹市幼児教育推進計画に固執することなく市長も含めた当局と保護者、地域住民等で十分協議すること」についてです。当局は昨年度、説明責任を果たすといって各小学校区では2回にわたって説明会を開催されました。しかし、協議という形式ではなく、当局が説得する会議になっていたのではないでしょうか。付帯決議での「推進計画に固執することなく」「十分協議すること」を市長は尊重されたのでしょうか。

 二つには、「公立幼稚園が閉園となる場合、跡地は教育、子育てのために活用すること」ですが、この点では跡地利用については教職員、保護者、地域住民との協議を十分行うことが要望されていました。十分協議されているのでしょうか。教育委員会があらかじめ跡地利用を決め、説得されることはないのでしょうか。

 三つには、「3歳児の希望者全員が幼稚園に入園できるようにすること」「特別に支援が必要な子どもは、全員が身近な幼児教育施設に入園できるようにする」ことです。見通しはどうでしょうか。

 四つには、「施行日は当該地域の関係者の声を聞くとともに、当該地域の保育ニーズまたは幼児教育ニーズを的確に把握したうえで決定すること」です。施行日は7月1日に決められました。関係者の声を聞き、保育・幼児教育のニーズを把握されて決められたのでしょうか。

2)教職員の働き方、教員の増員について

 党議員団は、当初予算への討論で、一昨年11月の調査によって月当たりの時間外勤務が教諭で45時間の厚生労働大臣告示を超えるとともに、管理職では「過労死ライン」といわれる月80時間以上を上回る実態が明らかになったことから、その改善を求めるとともに正確な勤務時間の把握、35人、30人学級の実現を国にも要求することなどを求めました。また12月議会では、日本共産党の提案を具体的に示す中で、答弁では、伊丹市における時間外勤務は、月当たり小学校で39時間、中学校で82時間、教頭も80時間を超えていること、このことに対して伊丹市として「学校における働き方改革基本方針」を策定し、様々な取り組みすることで、2020年までに月45時間以内の時間外労働をめざし、2020年までに現在の時間外労働時間を20%削減するとされました。小中学校におけるこの間の働き改革の成果はどうでしょうか。何よりも、子どもに向き合う時間を増やすことができるような改革となっているのでしょうか。お伺いします。

 党議員団は、教職員にとって子どもに向き合う時間を増やし、教員としての初心が生かされ、働き甲斐のある職場にするためには、学校における有効で具体的な改善を徹底して行うとともに、教職員の定数改善、教職員の増員が最も重要であるとして、このことを要求してきましたし、教育委員会も同様に国に求めています。しかし安倍政権は十分この声に応えていません。

 さらに、党議員団は小・中学校における非正規の教職員よりも正規の教職員を増員することも求めてきました。現状での正規の教員と非正規の教員の数はどうなっているのでしょうか。この5年間で見ると正規の教員の割合は増えたのでしょうか。お聞きします。

 また、働き方改革改善のためにも全国学力テスト、市独自の学力テストの廃止も求めてきました。毎年毎年同じような学習状況調査をして全国平均に一喜一憂、テストの問題に対しては平均点にも一喜一憂し、その出題傾向と対策が出されるということをされていますが、当たり前のことが書かれているようです。毎年しなければならないのか。数年に一度、抽出調査で十分ではありませんか。改めて見解を伺います。

4.市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編について

 この問題に関しては毎議会、過去5回の質問を行ってきました。先の6月議会では、①救急医療や高度急性期医療を担う病院の必要性は認めながら、病床数は別として二つの病院を残し、連携によって地域医療を充実させること、②2040年までは入院医療需要は増加すること、県の医療構想でも急性期病床数は現存させて、その後回復期等への転換の必要性に言及していることから、二つの病院の病床数約800床は減らすべきではないこと、③統合等の連携後の経営主体は地方独立行政法人とされる可能性があることから、議会の関与がなくなること等の問題点を指摘し、質問しました。しかし、近畿中央病院・公立学校共済組合との協議中であること、病床数は医療需要調査の結果によるものとして、明確な答弁はありませんでした。
 そこで今回お聞きすることは次の点です。

①この間、地域への説明会、シンポジウムを行ってこられましたが、それらを通して、当局は市民の要望をどう捉えたのでしょうか。

②医療需要調査の方法について6月議会でもお聞きをし、レセプトデータや両病院の診療報酬データを活用して患者数の分析を行うとの概略は答弁いただきましたが、将来の医療需要の予測はどう調査されるのでしょうか。調査方法を具体的にお示しください。

③6月議会では、地方独立法人化について、議会の関与がなくなることを指摘しました。すなわち、3年以上5年以内の中期目標に関しては市長が定めて議会の議決は必要ですが、中期計画は市長への許可、年度計画(予算)は市長への届け出、決算にあたるものは市長に提出するとともに議会には報告だけとなり、明らかに議会の関与は極端に減少することになるのではないでしょうか。

④10月には両病院との協議の中間報告をされるとお聞きしています。どこまで協議の内容と市の考えを明らかにするのでしょうか。
 以上のことに対する見解をうかがいます。

5.外国人労働者受け入れと自治体の役割、多文化共生政策について

 昨年12月に外国人労働者政策を大転換する出入国管理及び難民認定法改正が成立し、今年4月に施行されました。いわゆる特定技能制度を規定する同法の法案は、具体的な制度内容の大半が省令にゆだねられるとともに、現在の外国人労働者の労働基準法や最低賃金すら守られていない過酷な働かせ方に対する反省も改善策も不十分なまま、政府が資料として提出したデータの根本的な誤りや改ざんが指摘される中での強行でした。

 大きな問題を残して施行された法律ですが、いずれにしましても、海外からの労働者とその家族は全国的に増加する傾向にあり、現在でも、市内に約50カ国、約3,200人の外国人が居住され、この人たちに対する様々な支援が行われており、今後、より充実した取り組みが必要です。

 第5次総合計画の中の「多文化共生のまちづくりと国際交流」の中で、外国人市民の審議会委員への登用、多文化共生の教育、利用しやすい相談体制や情報提供、災害時等での情報提供等が盛り込まれています。そこで、今後多文化共生政策を充実していくうえで、次の点をお聞きします。

①市民・事業者(企業)・ボランティア団体などと協力して外国人市民に関わる施策などを体系化して推進していくために、改めて「多文化共生社会推進方針・計画」を策定する必要があるのではないでしょうか。「社会的包摂」の立場で、市民と一緒に方針・計画をつくることが、市民の理解と協力も増えることになります。

②その際、伊丹市の歴史的経過から在日コリアンが多いことを踏まえ、ここでも改めてその歴史的経過も明らかにして「内なる国際化」の方針を明記することが必要です。特に政治の上で韓国、北朝鮮との関係が複雑化されているもとで、市民との交流は大事です。

③今年度のことば蔵における多文化共生事業はどうだったか。また、今後伊丹マダンの位置づけをどうされるのでしょうか。
 以上、お伺いします。

6.情報公開条例と公文書管理のあり方について

 国において、森友学園や加計学園問題や陸上自衛隊南スーダンPKO派遣部隊の日報問題、裁量労働制データー、毎月勤労統計不正など、安倍政権のもとで、政権にとって都合の悪い文書の公開を拒否し、さらには公文書の違法な隠蔽、改ざん、破棄、ねつ造が行われてきました。国民に真実の情報を公開することなくして、民主主義は成り立ちません。

 情報公開制度は、何人からの請求にも、政府が保有するすべての情報を原則として開示する制度です。それは、国民の知る権利を保障すると同時に、政府に対してその諸活動について国民に説明する責任を課すものです。すでに情報公開法と公文書管理法が制定・施行され、公文書を「国民共有の知的資源」と位置付け、行政機関に「政策決定過程を記録に残すこと」を義務づけています。

 伊丹市における公文書管理はどうでしょうか。伊丹市は「伊丹市情報公開条例」において、市民の知る権利の尊重、公文書の公開を請求する権利の保障が明記され、第22条では「この条例の適正かつ円滑な運用に資するため、公文書を適正に管理する」とされています。伊丹市は「伊丹市公文書取扱規則」を定めておられますが、情報公開条例と連動した公文書の位置づけが不足しているのではないかと考えます。

 国における公文書管理法は、公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置付けたうえで、「現在及び将来の国民に説明する責務」を果たすため、行政機関が「経緯を含めた意思決定に至る過程」を「合理的に跡付け」「検証する」ことができるよう文書を作成することを義務付けています。そこで次の点をお聞きします。

①伊丹市においても、国の公文書管理法を参考に、公文書の位置づけをきちんと明記し、市民の知る権利の実現の趣旨も併せて「公文書管理条例」を策定してはどうでしょうか。

②行政機関の職員が職務に関して作成・取得した文書、記録、データなどはすべて行政文書として位置づけられているでしょうか。もしそうでなかったら、その位置づけを行い、公文書として公開の対象にすること。

③公文書の保管期限が切れる際、破棄する文書を公開し、市民のチェックを受けるようにすること。

④行政機関に設置されている審議会、専門委員会、ワーキンググループ、今回の病院再編に関わる協議事項等はすべて議事録に記録し、市民がインターネット等で閲覧できるようにすること。

 以上、見解を伺います。

7.国民健康保険事業について

 国民健康保険は、加入世帯主の4割が年金生活者などの無職、3割が非正規労働者で、低所得者が多く加入する医療保険です。ところが、平均保険料は、4人世帯の場合、同じ年収のサラリーマンの健康保険料の2倍になります。

 全国知事会、全国市長会、全国町村会など地方団体は、加入者の所得が低い国保が、他の医療保険よりも保険料が高く、負担が限界になっていることを「国保の構造問題」だとし、これを解決するために、公費投入・国庫負担を増やして国保料(税)を引き下げることを国に要望し続けています。

 伊丹市の国保加入世帯も、所得のない者16.1%をはじめ、年所得150万未満の世帯が60.9%を占め、その世帯では滞納世帯の74.7%を占めるに至っています。国保税は4人世帯、年収360万円、これは保育の無償化に伴う副食費免除世帯に重なりますが、その世帯で年間約44万円の課税となり、とても払いきれる金額ではありません。 日本共産党は、さらに1兆円の公費投入増で国保料(税)を協会けんぽの保険料並みに抜本的に引き下げ、国保制度を立て直す改革を提案しています。

 そこで次の点をお聞きします。

①国・県へ、公費投入・国庫負担を増やして国保料(税)を引き下げることを要望されているのでしょうか。要望されながらも国が実現できない理由はどこにあると考えているのでしょうか。国が県単位化に移行する際、3400億円を公費投入されましたが、この金額は自治体が法定外繰り入れを行って高すぎる国保料(税)を抑えるためのもので、この金額を公費投入しても、高すぎる国保料(税)は下がりません。

②応能割保険料に、多子・母子・障がい者などの独自の減免制度を、応益割保険料に子どもの均等割り保険料軽減を行うことを求めるものです。

③保険料を納付することによって生活保護基準以下になる場合の軽減制度を求めます。

 以上、見解を伺います。

8.介護保険事業について

 2018年度は、第7期介護保険事業計画が始まった年であり、介護保険料の引き上げに加えこれまでの訪問型基準緩和型訪問サービスに加えて基準緩和型通所サービスを導入し、さらに所得が一定額を超える高齢者の利用料負担を2~3割に引き上げてきました。高齢者世帯においては年金の金額が引き下げられ、その上に介護の負担も増やされれば、生活費が圧迫され、受けたい介護サービスも受けづらくなってしまいます。

 厚労省の見通しによれば、給付削減の改悪がこれだけ繰り返されるもとでも、現在、全国平均で月5,500円である65歳以上の介護保険料は、2025年には月8,100円にまで引き上がります。保険料・利用料の高騰を抑えながら、制度の充実や基盤の拡充を図り、本当に持続可能な制度とするには、公費負担の割合を大幅に増やすしかありません。

 日本共産党は、介護保険の国庫負担割合をただちに10%引き上げ、将来的には、国庫負担50%(公費負担75%)に引き上げることを提案しています。

 そこで次の点をお聞きします。

①基準緩和型サービスの実態(生活援助ヘルパー等)についてです。決算報告書によりますと、要支援1,2の人は18年度決算では2,771人、要介護認定者に占める割合は30%となっています。この人たちへの介護サービスが介護保険給付から外され、介護予防・日常生活支援総合事業へと移行されました。このことによって全体として介護報酬(主に人件費ですが)はどのくらい引き下がったのでしょうか。また、実態として生活援助ヘルパーが足らなくて通常のヘルパーを派遣されているところが多いと聞いていますが、そのことによる介護報酬引き下げで介護事業所の経営が圧迫されているとお聞きします。その実態をどう認識されているのでしょうか。

② 高齢者のサービス利用をはばむハードルとなっているのが自己負担の重さです。ところが、安倍政権は、高齢者の利用料負担を2~3割に引き上げるなど、利用者負担増の改悪を連打してきました。
 これらの改悪を撤回し、利用料の軽減・免除をすすめることが求められています。住民税非課税世帯など低所得者の利用料を免除する国の制度をつくり、経済的な理由で介護を受けられない人をなくすこと。施設の食費・居住費負担の軽減をすすめ、自己負担から保険給付へと戻していくことが必要です。
 また、高齢者の3人に2人は住民税非課税であり、65歳以上の介護保険料(第1号保険料)の負担が生活圧迫の大きな要因となっています。
高齢者本人や家族の貧困が深刻化するなか、国に対してこれら利用料・保険料の軽減措置を求めるとともに、低所得者に対して利用料・保険料が軽減・免除となるよう、市独自の利用料軽減制度をつくることを求めます。
 以上に対する見解を伺います。

9.加齢性難聴者への支援について

 聴力が規定以下で身体障がい者の認定を受けた場合、障害者総合支援法によって補聴器購入時に補助を受けることができます。ただし、認定される規定聴力は高度難聴レベルなので、軽度・中度の難聴では障がい者と認定されません。児童の場合は中程度の難聴であっても、市町村が実施主体となる補聴器購入時の補助制度があります。

 高齢者の加齢による難聴はほとんどの場合、規定聴力に該当せず、法による補助の対象外となりますが、近年、高齢者人口の増加や生活状態の悪化の中で、購入時の補助を実施する自治体も生まれています。

 高齢者は、70歳代の男性の23.7%、女性では10.6%、80歳代では男性36.5%、女性は28.8%の人が難聴者となっているといわれています。難聴になると家族や友人との会話が少なくなり、会合出席や外出の機会が減り、コミュニケーション障害がおこるとされています。さらに、認知機能低下が、正常聴力の人より32~41%の悪化がみられています。現在14.4%しか補聴器をつけていないとの推計もあり、理由の一つが補聴器の価格です。補聴器は3万円くらいから30万円以上のものがあり、平均で15万円と、「価格が高すぎる」との声が多くあります。そこでお聞きします。

①市内における加齢性難聴者の実態を当局はどう把握されているでしょうか。
②検診項目への追加による初期段階からの対応が必要と考えます。
③伊丹市として、補聴器購入助成制度創設を求めます。
 以上、見解を伺います。

10.若者の力をまちづくりに生かすために

 少子高齢化の進行、人口の減少が進む中で、自治会活動等地域の課題解決に困難な側面が生じてきています。その中で、次世代を担う若者が、まちづくりにおいて自らの力を発揮する姿も出てきています。伊丹市においても様々なイベント・行事に企画から携わって力を発揮されています。

 一方、18歳からの選挙権が始まり、高校等における主権者教育も様々な取り組みがされてくるようになりました。しかし、若者全体としての投票率は低い水準で推移しています。

 このような状況で、全国では「若者会議」「若者議会」などという名称で、主権者としての若者の参加を基盤に、若者の視点からまちの現状や将来について議論や提案を行い、時には実践も行うとともに、まちのあり方に決定権も与えるという取り組みが出ています。愛知県の新城市では2015年に若者条例・若者議会条例が制定されています。「若者議会」は、市長の諮問機関としておおむね16歳から29歳の委員20人以内で組織され、任期は1年(再選可能)という形で組織され、そこで提案された施策には年間1000万円程度の予算がつけられるというものです。その中で、教育ブランディング事業が生まれ、小中学生に、若者議会から主権者教育を働きかけるということにも波及しています。そのほかの自治体では自治体のそれまでの取り組みに合わせて創意工夫がされているようです。そこで次の点をお聞きします。

①伊丹市において、「若者会議」若しくは「若者議会」を設立し、若者の提言を市政に反映する仕組みをつくったらどうでしょうか。権利主体として自分が活動する社会に参加し、自分たちが望むまちのあり方を意見表明し、決定に影響を及ぼすしくみです。この取り組みは小中学生の主権者教育にも結び付く可能性もあります。
 見解を伺います。

伊丹民報 2019年8月号

 日本共産党伊丹市委員会の活動と見解をお知らせします。

上のバナーか右をクリック市立伊丹病院と近畿中央病院の存続と充実を求めるWeb署名

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伊丹民報 2019年8月号

安倍政治の方針+県の計画 ➜ ベッド数削減を計画!
市立伊丹病院と近畿中央病院「統合を視野に入れた協議」開始

 伊丹市は市立伊丹病院と近畿中央病院の統合を視野に入れた協議を開始しました。

その問題点は

❶ 二つの病院が一つになれば、身近な病院がなくなります。
とくに伊丹南部地域から病院がなくなる可能性があります。

❷ 二つの病院のベッド数約800床を500から600床に減らせ
ば、入院しにくくなり、入院しても早期の退院を促されることになります。

❸ 市民は「長期の入院に対応」できる医療機関を求めているのに、統合された病院に「回復期」の病床を創ることは考えられていません。

❹ 設立母体が異なる病院の統合では民営化も考えられ、市立伊丹病院も近畿中央病院もなくなるのではないかとの議会質問に、当局はそのことを否定しませんでした。

参議院選挙で示された国民の意思
兵器爆買いより公立病院守れ

消費税増税は中止
暮らせる年金

 参議院選挙では、日本共産党が7議席を獲得するとともに、1人区での野党共闘で10人が当選し、自民公明維新の改憲勢力に3分の2議席を許しませんでした。
 安倍政権は、選挙結果を受けても改憲、消費税増税、年金削減を進めようとしています。さらに国の医療費削減を目的に公立病院の統合再編をベッド数削減の数値目標を示して押しつけを強化しようとしています。
 市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編や民営化を許さない、市民共同の取り組みが一層重要になっています。

伊丹市も尼崎市も病院ベッド数少ないのに近畿中央病院と統合してさらに病床削減を検討しています

市立伊丹病院と近畿中央病院の存続と充実を求める署名
すすめています ご協力ください

10月に署名提出予定です。伊丹市議団ホームページでネット署名もできます。

連絡先 日本共産党伊丹市委員会
TEL.072-779-3256
FAX.072-779-2828
伊丹市千憎6-218

Q.伊丹病院は民営化されるのですか

A.病院事業管理者が「経営形態見直し必要」「県の計画によって影響受けている」と語っています

 市立伊丹病院の事業管理者は、病院のホームページで「市立伊丹病院の今後の方向性については地域医療構想調整会議(*1)での決定事項に影響を受けることになり、(略)兵庫県や各市の医療行政や関連大学からもご意見をいただき、経営形態の見直し(*2)についての検討をお願いする必要が生じてくるかもしれません」としています。

 つまり、伊丹病院と近畿中央病院が市民の要望から始まったのではなく、国や県の方針にしたがったものだとしているのです。その上で、伊丹病院は市直営ではなく、独立行政法人化など民営化の可能性を示しています。

 *1 地域医療構想調整会議:県の定める医療圏ごとの計画にもとづく病床利用を調整する会議

 *2 経営形態の見直し:市が直接責任を持って運営する形態から、独立行政法人運営など経営の担い手を変更すること。

いのち守る政治
身近な総合病院守れ
市民団体が説明会の開催申し入れ

 6月11日に、市立伊丹病院と近畿中央病院の存続と充実を求める会が、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編問題に対し、広範な市民にひらかれた説明会や意見交換会を適宜開催することを市長に申し入れしました。

VOICE
伊丹病院が民営化されるのですか

 伊丹病院と近畿中央病院を統合すると、伊丹病院は民営化されるのですか。市直営の公立病院だから安心して利用できるのです。民営化はしないで。

近畿中央病院が必要です

 近畿中央病院は伊丹市民だけでなく、尼崎市民もたくさん利用している、身近な総合病院です。伊丹病院と統合して、伊丹南部から近畿中央病院がなくなるのは困ります。

伊丹の地域医療守っている二つの病院
どうなる どうする➜5つの論点

1 近畿中央病院はなくなるのですか
2 市立伊丹病院は民営化を考えているのですか
3 ベッド数が減らされるのですか
4 高度医療病院になれば早期の退院を迫られませんか
5 国や県の方針で決めるのか、市民の声で決めるのか

病院統廃合と民営化、入院ベッド削減、悪政のおおもと安倍政治は退場させよう
日本共産党

市立伊丹病院と近畿中央病院の存続と充実を求める要望書(署名用紙)

上のバナーか右をクリック市立伊丹病院と近畿中央病院の存続と充実を求めるWeb署名

 この署名用紙のダウンロードはこちら(PDF)

伊丹市長 藤原保幸 様

市立伊丹病院と近畿中央病院の
存続と充実を求める要望書

要望趣旨

 伊丹市が設置した「市立伊丹病院あり方検討委員会」は2月5日、市立伊丹病院は近畿中央病院と統合し、高度急性期医療を担う500から600床規模の阪神北圏域における基幹病院を目指すべきとする「報告書」を市長に提出しました。これを受けて市長は、統合を前提として近畿中央病院(公立学校共済組合)と協議をするとしています。

 しかし、2つの病院が1つになれば身近な総合病院がなくなり、ベッド数を現在の約800床から減らせば、市内で必要な入院治療・療養を受けられなくなる事態が広がります。

 私たちは、両病院の建替えにあたっては、統合を前提とした協議ではなく、高齢化社会に向けて必要なベッド数を確保するとともに小児科、産婦人科を充実し、高度な医療も担うことができるように、両病院が存続してさらに連携を強め、地域医療を充実する方向で協議をすべきと考えます。

要望事項

一、市立伊丹病院と近畿中央病院の存続と充実を求めます。

一、二つの病院のあり方の協議にあたっては、広く市民の声を聞き、情報を公開することを求めます。

氏   名 住         所
   
   
   
   
   

市立伊丹病院と近畿中央病院の存続と充実を求める会
(伊丹市大鹿7丁目99 伊丹民主商工会内 TEL 072-781-1284)
取り扱い団体 日本共産党伊丹市委員会

2019年6月議会 上原秀樹:市立伊丹病院と近畿中央病院の統合/伊丹マダン

2019年6月議会一般質問

2019.6.10.
日本共産党議員団 上原秀樹

1.市立伊丹病院と近畿中央病院の統合を視野に入れた共同調査について

 市立伊丹病院と近畿中央病院の統合に関しては、昨年6月議会以来、毎議会で質問をしていますが、3月議会の質問と答弁を踏まえて改めて質問をします。
今年2月に提出された「市立伊丹病院あり方検討委員会」の報告書では、市立伊丹病院は近畿中央病院と統合し、高度急性期医療に対応できる500から600床規模の阪神北圏域における基幹的な病院を目指すべきとされました。そして今年度、伊丹市はこの報告を受け、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合の可否を判断するために伊丹市と公立学校共済組合が共同して調査研究を実施するとされています。これは、これら二つの公的・公立病院が建て替えの時期を迎えるにあたって、伊丹市の呼びかけで統合を視野に入れた再編を打ち出したことによるものです。

 そもそも伊丹市と同様に、全国的に病院の統合とベッド数削減が行われている背景には、安倍政権による病床の供給を減らすことによって入院患者を減らし、入院医療費を抑制するという方針があります。すなわち、安倍政権は高齢化のピークとなる2025年までに本来必要とされるとしていた152万床から33万床減らし、119万床にするというもので、すべての都道府県に地域医療構想を策定させ、その実現のためにガイドラインを打ちだしています。このような流れを診療報酬の改定と地域医療計画によってつくりだしているのです。

1)市民にとって一番いい連携方法は何か

この間市民から様々な意見をうかがいました。一つは、市民病院が建て替えによってベッド数が増え、高度急性期医療に対応できる病院になるのでいいことだという考えです。もう一つは、病院が良くなることはいいことだが、全体のベッド数が減れば、高齢化社会に向かう中で入院するところがなくなるのではないかという考えです。さらに二つの病院が一つになればいずれにしても不便になる。とくに南部地域から総合病院がなくなってしまうという不安です。

 私たちの独自のアンケート調査でも、「伊丹市にどのような医療機関が必要ですか」の問いに、①救急医療②高度な医療とともに③身近な医療機関となっています。また、ベッド数削減に対しては「反対」「どちらかといえば反対」の合計が83.3%を占めました。身近なところで高度医療に対応できる病院があり、今までのベッド数は最低確保できることを市民は望んでいます。

 そこでお伺いします。それぞれの病床規模は別にして、市立伊丹病院も近畿中央病院も建て替えた上でさらなる連携を強化し、将来必要な医療需要を満たし、高度急性期にも回復期にも対応できる地域医療体制をつくることが最善策と考えますが、この可能性についてどうお考えでしょうか。

2)医療需要調査について

 3月議会での質問で、医療需要調査の方法について伺いました。答弁では、「報告書」で「500~600床規模の基幹病院」とした数字はあくまでも大まかな規模感を示したもので、改めて回復期の医療需要も含めてデータ等を精微に分析したうえで。必要な病床を確保したいとされました。

 お伺いします。「500~600床規模の基幹病院」とした規模感の根拠は何でしょうか。それは将来の需要をどの程度考慮したものでしょうか。またこの数字は、市内における二つの公的・公立の基幹病院のベッド数約800床を削減することになります。今後高齢化社会の中で入院患者が増えることは確実視されているにもかかわらず、ベッド数を削減することは、公的・公立病院の伊丹市における役割を後退させることになるのではないでしょうか。そのことに関する認識はいかがでしょうか。

3)市立伊丹病院あり方検討委員会と地域医療

 「市立伊丹病院あり方検討委員会」の報告書は、名前の通り市立伊丹病院のあり方を検討した報告書です。阪神北準圏域の基幹病院とするからには、その地域の医療需要を明らかにし、それぞれの自治体の基幹病院、民間病院との連携をもとに、市立伊丹病院と近畿中央病院のありかたの検討が必要となりますが、どのように検討されてきて、今後どんな検討をされるのでしょうか。

4)統合した場合の経営主体の問題

 3月議会でも質問した問題です。すなわち、異なる設置主体の病院の統合となると、民営化も視野に入り、市立伊丹病院も近畿中央病院もなくなる可能性もあるのではないか、という質問です。これに対する明確な答弁はありませんでした。答弁では「現在供給できていない高度な医療をより身近に提供し、かつ安定した提供体制を構築するという責務を、2病院の統合により果たすことができるかを見極めたうえで、可否の判断を行う」と言われました。「現在供給できていない高度な医療をより身近に提供」することは、今の市立伊丹病院でもその努力はされていることでもあり、さらなる高度急性期医療の提供は市民の要求でもあります。この答弁では、統合を前提とした議論の結果、高度な医療を安定的に提供することができるならば、地方独立行政法人化や民営化も含めた統合の結論を出すということになります。地方独立行政法人化や民営化ともなれば、議会の関与がなくなるかもしくは縮小され、今よりより独立採算性が求められるとともに、地方交付税の算入のもとに伊丹市が出している補助金もなくなる可能性があります。これでは不採算部門を担っている公立病院の地域医療に果たす役割が縮小されてしまいます。このような検討はすべきではないと考えますが、見解をうかがいます。

2.伊丹マダン企画運営事業について

 この問題に関しましては、大津留議員が質問されましたので、簡潔に質問します。

 今年度予算において「伊丹マダン実施委託料」997千円が計上されながらも、伊丹市国際・平和交流協会に「多文化共生事業」600千円を委託することになった理由は何か。また、この方針変更において伊丹マダンを市民力で担ってきた経過が軽視されているのではないか。以上に関する当局の明確な答弁を求めます。

(2回目)

1.市立伊丹病院と近畿中央病院の統合の問題
1)二つの病院を残したうえでの連携の可能性について

 先の答弁は、現在の二つの病院を同規模で建て替えた場合の三つの課題について述べられた。

①同規模で建て替えた場合、先ほど答弁された、同じ診療科を重複して保有することになる、という問題が出るとのことだが、例えば、市立伊丹病院を現在の病床数を増やした上で高度医療を担う病院とし、近畿中央病院では病床数を減らしてでも二つの病院で連携して地域医療を守ることは考えられないのか、再度答弁を。

・連携の4つのパターンで検討すると答弁。1回目の答弁で紹介されたアンケートの結果も、市外、市内の病院との連携で高度医療を提供してほしいという人が85.7%。特に、市内南部地域から総合病院がなくなるということは周辺住民にとっては大問題。近畿中央病院が果たしてきた役割を十分踏まえた協議をしていただきたい。

②県の地域医療構想で、統合再編によって病床転換が進むということはどういうことか。

・県の医療構想でも、急性期病床は現状を追認するといっている。追認せざるを得ないのは、今後20年くらいは入院患者が増えるという予測があるから。としたら500~600床は足らないということになるのではないかと考える。この問題は後程触れる。いずれにしても医療需要調査は正確にし、これを確保していただきたい。

2)医療需要調査について

①「500~600床規模の基幹病院」とした根拠について、一つは急性期患者や市外流出患者数を試算したとされた。「報告書」では、その合計が554名。二つは疾患別医療需要の予測とされたが、「報告書」では2040年までの予測が折れ線グラフで書かれているが、全体としてどのくらい需要が増えるのか明確にされていない。554名に加えて2040年までに必要とされる入院患者数の推計を医療需要予測に基づいてどうされたのか。

・今後共同調査の中で推計する答弁された。要するに「500~600床規模」というのは大した根拠はないということ。2018年3月に出された「調査報告書」では、阪神圏域全体で、2040年には28.6%増加するとなっている。となると、700床が必要となる。「500~600床規模の基幹病院」という根拠がよくわからない。

・さらに、1回目の答弁で、病床規模に関しては将来に過大な負担を残さず、経営的な側面からも検討を進めるといわれたが、結局1つに統合することを前提としているために医療需要が多くても病床数を抑えるということになるのではないかと危惧をする。先ほど言ったとおり、医療需要調査は正確にし、統合にこだわらずこれを確保していただきたい。

②回復期に関する需要の問題で、3月議会の答弁では「回復期病床についても必要とされる病床規模を分析していく」「医師会との連携を図り、十分な協議を進め、…必要な医療を提供できる体制の構築に努める」とされた。「報告書」では現状221床の回復期病床とされている。県の地域医療構想では大幅に回復期が不足することになっているが、回復期は民間に任せるということか。

・いずれにしてもこれも調査まちということ。「検討委員会」の議論である委員から、病床数は全体として800床は必要、600床の高度急性期病院となると、200床は回復期となる、二つの病院は一定回復期の病床を抱えているので、これをどうするかが課題、という意見だがされた。急性期でありながらも回復期を抱えなければならない事情がある。この部分を削減するとなれば、民間との連携ということになるしかないのでは。

・県の医療構想でも、民間も含めた高度急性期から回復期等を含めたすべての病床数は、現在の6,692床から2040年には7,074床が必要になるとされ、約400床が不足するとされている。もちろん民間も含めた連携は必要となるが、統合して一つにし、病床数を減らすということは県の構想の数字からも逆行していると考える。

3)地域医療との関係で、他市の自治体病院、民間病院との連携の問題

 答弁では他の公立病院の管理者、他市の医師会長も参加して議論してきたとのことだが、改めて議事録に目を通したが、それぞれの公立病院との連携の仕方に関してはほとんど議論に至っていない。ただ、高度急性期に対応する病院ができることは北圏域としても安心できるということ。さらに、各委員から連携に関して意見が出されているが、必ずしも統合が最適という議論が一貫して出されていたわけではない。統合もありうるという程度。この点は、協議の中で十分考慮すべきこと。要望しておく。

4)経営主体の問題について

 答弁では、異なる経営主体同士の統合が考えられ、その選択肢は今年度慎重に検討するとのこと。統合によって地方独立法人化や民営化も視野に入っているということ。

①答弁で、仮に統合という結果になったとしても、市の関与は維持していくこと、不採算部門にかかわる医療の提供も確保することとされた。しかし、地方独立法人化された場合、公務員型といわれる「特定地方独立行政法人」になったとしても、行政と議会の関与は限定的となり、公営企業法全部適用に比べてもより独立採算性が求められるとともに、今のような伊丹市からの補助金ではなくなり交付金となり、自治体に対する交付税措置も減らされることとなるのではないか。

伊丹民報2019年4月号外 署名にご協力ください

伊丹民報2019年4月号外 署名にご協力ください

病院の存続で 安心して
医療が受けられる伊丹市を

署名にご協力ください

  

署名用紙はこちら 上原ひでき版 かしば優美版

  

署名用紙はこちら ひさ村真知子版 服部よしひろ版

 

署名は072-779-3256までご連絡いただくか
   072-779-2828にFAX、もしくはもよりの共産党事務所までお寄せください。

日本共産党伊丹市委員会 伊丹市千憎6-218 TEL072-779-3256

---キリトリ線---

【要望趣旨】

 伊丹市が設置した「市立伊丹市民病院あり方検討委員会」は2月5日、市立伊丹病院は近畿中央病院と統合し、高度急性期医療を担う500から600床規模の阪神北圏域における基幹病院を目指すべきとする「報告書」を市長に提出しました。これを受けて市長は、統合を前提として近畿中央病院(公立学校共済組合)と協議をするとしています。

 しかし、2つの病院が1つになれば身近な総合病院がなくなり、ベッド数を現在の800床から減らせば、必要な入院治療・療養を受けれなくなる事態がひろがります。

 私たちは、両病院の建て替えにあたっては、統合を前提とした協議ではなく、高齢化社会に向けて必要なベッド数を確保して両病院の存続・連携を前提として協議をするべきと考えます。

市立伊丹病院と近畿中央病院の存続と充実を求める要望書

伊丹市長 藤原保幸 殿

【要望事項】

1、市立伊丹病院と近畿中央病院の存続と充実を求めます。

 

2019年3月議会 久村 真知子:議案第12号「平成31年度伊丹市一般会計予算」討論

2019年3月議会 久村 真知子:議案第12号「平成31年度伊丹市一般会計予算」討論

2019年3月25日

日本共産党議員団 久村 真知子

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議案第12号、議案27号、関連する議案32号、並びに議案28号に、反対の立場から討論をおこないます。  

 初めに議案12号「平成31年度伊丹市一般会計予算」についてです。

 市長は、2019年度予算の提案説明の中で、本年10月に予定されている消費税が
10%に引き上げられることについて言及されました。しかし、安倍政権による消費税引き上げに関しては、毎月勤労統計の不正・偽装問題で、10%増税の根拠としていた景気判断そのものが誤っていたことがはっきりしました。すなわち、この不正調査によって、2018年の実質賃金がかさ上げされていた問題で、実質賃金の増減を前年と同じ「共通事業所」で算出すると、年間平均マイナス0.5%となったことが明らかになったことです。さらに、総務省「家計調査」の2人以上世帯の実質家計消費支出の推移をみても、8%増税前の2013年平均363.6万円から18年平均が338.7万円と、年額約25万円も落ち込んでいます。こうした経済状況のもと市民のくらしがいっそう悪化することが予想される時、市政に求められているのは何よりも市民の暮らしを守ることを第一にすることでありました。以下この立場から意見を述べます。

 2019年度一般会計の総額は759億円で、前年度当初予算に比べて64億円、率にして9.2%の増となり、過去最高の規模となっています。特に労働福祉会館大規模改修事業など普通建設事業費が前年対比で約40億円増えているこが主要な原因となっています。

 2019年度当初予算案では、市税の内市民税は対前年度比6億1千万のプラスとなり、その内個人市民税は対前年度比約3億6千万のプラスとなっています。要因は納税者が1700人余り増加することにあるとしていますが、給与所得で1.34%の伸びを想定しているものの、営業所得、年金所得はプラスマイナスゼロと依然として厳しい状況となるとしています。さらに今年10月から消費税の10%への増税が実施されれば市民の暮らしに計り知れない深刻な影響を与えるものとなります。政府に対して増税中止を強く求めていくべきであります。

 一方当初予算における一般財源の確保の面では、前年度対比で市税全体では8.5億円の増となっているものの、普通地方交付税が4億円増、臨時財政対策債は7億円減の差し引きで3億円の減となっています。

 こうした情勢の下、市長は市民のくらしを守り、福祉や教育の充実をめざすことや、施策の実施に当たっては十分に市民に寄り添うことが求められましたが、これらの点でいくつかの重大な問題を含んでいます。

 第一に、自衛官募集事務への協力の問題です。

 伊丹市の場合、2011年から2016年まで電子データによって15歳の子どもも含めて対象者の名簿を自衛隊に提供していました。この電子データ提供に関して市長は本会議で、「自衛隊とは非常に良好な関係を築いてきていることから、これまで行ってきている協力事務については、これからもできる範囲で協力をしていく」と答弁されています。自衛官募集事務への協力の問題で当局は、自衛隊法第97条と同法施行令第120条の規定によるものと答弁されていますが、日本共産党議員団は、この政令はあくまでも防衛大臣の任意による自治体への資料提供の依頼であり、自治体がその資料を提供する義務はないと主張してきたところです。

 しかし安倍内閣のもと安全保障法制の改悪により、自衛隊がより危険な地域・任務に派遣されることになっている情勢であります。伊丹市民である自衛隊員、若者を危険にさらさないためにも名簿提出、閲覧は拒否をすべきであります。

 第二に、市立伊丹病院と近畿中央病院の「統合」を視野に入れた共同調査についてであります。

 昨年設置された「市立伊丹病院あり方検討委員会」の報告書は、市立伊丹病院は近畿中央病院と統合し、高度急性期医療に対応できる500から600床規模の阪神北圏域における基幹的な病院を目指すべきとされました。そして来年度、伊丹市はこの報告を受け、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合の可否を判断するために伊丹市と公立学校共済組合が共同して調査研究を実施するとし、調査費用9,900千円を公立学校共済組合と折半し、4,950千円を計上されています。

 今回の「あり方検討委員会」は、全市民的な意向を踏まえた検討とはほど遠いものであり、「報告書」が出されて市民の間では驚きと不安が広がっています。市民にたいして、「統合再編」だけでなく、「連携」や「機能分担」などの選択肢も示しながら議論する必要があり、また公開の場で審議していくべきであると考えます。
 しかし当局はあくまでも「統合再編」を視野に、しかも今年度と同様の体制で協議を進めるとしています。市民にたいしては「丁寧な説明を行う」とするものの、関係市民の新たな協議の場への参加には「否定的」であり大きな問題であります。

 第三に、空港問題についてです。

 大阪国際空港について、市長は空港需要の高まりへの対応や関西経済の浮揚に向けて、伊丹空港の果たす役割は大きいこと、市民からも国際線就航を希望する声があることから、「伊丹空港の国際化」を県や関西エアポートに働きかけていくとされました。しかし航空機にかかる騒音値がLdenに変わった2012年からみても、騒音値が減るどころか逆に増えています。このことは環境基準達成に向けて不断の努力をするとの「存続協定」にも逆行する状況になっているといえます。「安全と環境の確保を前提とした上で」といって国際便の復活を打ち出しても、日々環境基準を超える騒音にさらされている地域、市民からは理解は得られるものではありません。

 第四に、プレミアム付き商品券事業にかかる経費2億7400万円が計上されていることです。

 全額国庫補助金とはいえ、「平成30年度伊丹市一般会計補正予算(第9号)」で指摘した通り、「税金のバラまき」はやめるべきであります。

 第五に、2019年度も参加を予定している全国学力テストと市独自の学習到達度調査の問題です。

 市教育委員会は「学力テストはすべてでなく、あくまでも学力の一つの側面だ」としながら、学力テスト至上主義的姿勢を年々強めています。しかし仮に学力テスト全国平均が下がれば、伊丹の学力水準が前年と同じだった場合、伊丹の平均は数字的には上がるということにすぎません。よって学力の到達度は数年に一度のテストで十分認識できるものであり、毎年の全国学力テストへの参加および学習到達度調査は必要ありません。

 次に日本共産党議員団が以前から要望し今回実現の運びとなる、評価すべき点であります。

 一つは、洪水ハザードマップ更新事業です。国・県による洪水浸水想定区域の見直しですが、今後減災対策に有効活用されるよう要望します。

 二つは、3歳児検診における眼科検査精度向上事業のため、新たに検査機器を導入されることです。

 三つは、今まで日本で一番高かった2歳以下の保育所保育料の引き下げを行うことです。引き続き子育てに関する負担軽減を求めます。

最後にいくつかの要望事項です。

①子ども・子育て支援について

 伊丹市が全国に先駆けて幼児教育の無償化をおこなったり、来年度予算の中で保育料軽減の提案がされたりしていることには評価をしますが、一定充実したとはいえ子どもの医療費無料化には背を向けたままです。再三にわたって中学卒業までの医療費無料化を要求していますが、子育てアンケートの中にも多くの人が書かれている通り、無料化を実現することが必要と考えます

②閉園となる公立幼稚園の跡地利用についてです。

 伊丹市独自の幼児教育無償化の財源として財政調整基金を取り崩したことに関して、閉園となる幼稚園の跡地を売却してその穴埋めにするとの方針が出されています。しかし、新たな認可保育所の場所の問題やボール遊びができる公園が欲しいなどの子育て世代からの要望もあり、跡地利用に関する付帯決議を考慮することを求めるものです。

③児童虐待への対応について

 2017年度行政評価報告書によれば、新規児童虐待通告件数が2016年度に392件、2017年度は559件と増加。家庭児童相談室への相談年間相談件数は16年度が801件、17年度は846件となっています。対応する職員は、正規のケースワーカーが3人、嘱託職員5名で対応されていますが、継続も含めれば1000人を超える相談に十分対応できる状況ではありません。専門職としての職員を育てるためにも正規職員を含む職員の増員を強く求めておきます。

 ④党議員団は、中学3年生まで35人学級の実現を国に求めていますが、国がやらないのであれば、当面県の制度として実現を求めています。伊丹市議会も小学校6年生までの35人学級の実現を求めて意見書を県に送っています。少人数学級の実現は、不登校や児童虐待など子どもの変化にも目が行き届き、スクールソーシャルワーカーなどとも連携した対応をすぐにとることが可能です。当面小学校6年生まで少人数学級、35人学級に足を踏み出していただきたいと考えます。

 その他本会議や委員会で指摘・要望いたしました内容についてはぜひ検討実施していただくことを求めるものです。

次に
 議案第27号「伊丹市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の制定について」および議案第32号「伊丹市職員定数条例等の一部を改正する条例の制定について」であります。

 2017年第193回通常国会において地方公務員法と地方自治法が改正され、2020年4月から自治体の非正規職員に「会計年度任用職員」が導入されることになりました。その背景として、地方公務員法の特別職非常勤および臨時的任用で要件にそぐわない任用が広がっているため、任用要件を厳格化するとしたものです。今回の法改正の内容は、住民のいのちと暮らしを守り地方自治の担い手である地方公務員制度の大きな転換でもあります。各自治体では、総務省の「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルに沿って、準備がすすめられ、伊丹市でも今議会に条例提案されています。今回会計年度任用職員の導入が、自治体労働者や公務に与える影響には大変大きいものがあります。

 今回の法改正の主な内容は、第一に、臨時的任用・特別職非常勤の任用の厳格化、第二に、会計年度任用職員制度の創設、第三に、会計年度任用職員にかんする手当支給既定の創設です。特別職非常勤職員と一般職非常勤職員は、任用根拠や賃金・手当の定めが法律上あいまいでしたが、会計年度任用職員に移行することによって明確にされます。また法の定めにより従来の非常勤職員には支給できなかった手当てが支給できるようになったことです。

 しかし問題点も多く指摘されています。

 一つは、相変わらず有期の任用であることです。会計年度任用職員は一会計年度末日をもって毎年度任用期間が終了する「任期の定めのある職員」であり、「雇用の安定化」の面で根本的な解決になっていないこと。さらに会計年度任用職員の条件付き採用期間を1カ月とする特例をもうけることになっています。

 二つは、会計年度任用職員の2タイプの間で、支給される手当に格差があることです。フルタイムは正規職員と勤務時間が同じで、正規職員と同等の諸手当の支給が可能とされているのに対して、短時間・パ-トタイムは期末手当のみの支給にとどまり、大きな格差があることです。

 三つ目には、臨時・非常勤の正規化や正規職員の定員拡大など根本的な改善策が示されていないことです。伊丹の現状をみても、本会議で答弁でありましたように、今年3月1日時点で正規職員は市長部局、教育委員会、消防局合わせて1308名、非正規職員が1307名半々となっているとのこと。根本的な改善どころか以前に比べても非正規職員の割合が一段と大きくなっています。大きな問題であります。

 給与・報酬の面でも大きな違いがあります。答弁でも明らかなように、ほとんど勤務時間は変わらないにもかかわらず、嘱託職員は正規職員の84%~68%、臨時職員は正規職員の50%半分という状況です。

 非正規職員の強い要求とは、賃金アップと雇用の継続です。今回の条例がこうした願いに根本的に答えることになっていない点を指摘し、議案第27号と関連する議案第32号に反対するものです。

 次に、議案第28号「伊丹市立男女共同参画センタ―条例の制定について」です。

 本議案は伊丹市に新たに男女共同参画センタ―設置するため条例を制定しようとするものです。この施設の目的は、男女共同参画社会の形成を促進するためとされており大変重要なものであります。よって条例3条にある事業の内容・目的は調査・研究、人材育成、ハローワークとの連携など、専門性の高い事業等重要なものばかりです。また第6条ではセンターの休館日は、日曜日としていますが、働いている人は日曜日が生きやすいと思う方もおられるだろうから、日曜日の休館日は見直すべきだと思いますが、「当面の様子を見て検討する」との方向を出されていますので、この点についても、また全般的な状況についてもより使いやすいセンターにするために、ぜひ市民の意見を丁寧に聞きより良いセンターにするよう努力すべきと要望いたします。

 しかし、第4条においては「指定管理者にセンターの管理を行わせる」とされています。今日先進国の中でも日本の男女平等指数は最低の順位となっている状況ですのでこのような問題点を解決し、男女共同参画社会を促進するために、この施設は、重要なものであるとともに、労働行政等市の他の施策との連携が必要なこと等から、指定管理者による管理運営ではなく、市の直営とすべきであります。よって、議案第28号は反対といたします。

2019年3月議会 加柴優美:非正規職員、介護保険事業

2019年3月議会

非正規職員、介護保険事業

2019年3月6日

日本共産党伊丹市議団  加柴優美

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、日本共産党議員団を代表して通告通り質問します。

会計年度任用職員について

 初めに、制度の創設となる会計年度任用職員について―議案第27号「伊丹市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の制定について」及び議案第32号「伊丹市職員定数条例等の一部を改正する条例の制定について」に関連して質問します。

 2017年第193回通常国会において地方公務員法と地方自治法が改正され、2020年4月から自治体の非正規職員に「会計年度任用職員」が導入されることになりました。

 その背景として、地方公務員法の特別職非常勤および臨時的任用で要件にそぐわない任用が広がっているため、任用要件を厳格化するとしたものです。今回の法改正の内容は、住民のいのちと暮らしを守り地方自治の担い手である地方公務員制度の大きな転換でもあります。

 各自治体では、総務省の「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルに沿って、準備がすすめられ、伊丹市でも今議会に条例提案されています。今回会計年度任用職員の導入が、自治体労働者や公務に与える影響等について以下数点質問します。

(1)現在、市長部局、教育委員会、消防局等で正規職員及び非正規職員はそれぞれ何人となっていますか。また嘱託職員、臨時職員が多く占める職種はなんでしょうか。今回の地方公務員法・地方自治法の改正による「会計年度任用職員」導入によって、現在の非正規職員つまり嘱託職員、臨時職員の任用はどのようになるのかまずうかがいます。

(2)制度整備をおこなう準備期間で何をどのように検討してきたのか—総務省の制度設計・運用のマニュアルとの関係についてうかがいます。

(3)「会計年度任用職員」は議案第27号として提案されているように、フルタイムとパ-トタイムに分けられるとしていますがその基準は何か。また伊丹市では来年4月以降フルタイムとパ-トタイムそれぞれ何人程度と想定しているのですか。

(4)競争試験または選考を経て任用され、任期は採用の日が属する一会計年度内(最長一年)で任命権者が設定するとしています。「1会計年度内を超えない範囲」と任用期間を明確にしたことで、更新しないことにも根拠を与えるものになっていることについての見解を求めておきます。

(5)「会計年度任用職員」は、今回の改正で手当ての支給対象にされていますが、現状と比べて支給内容が改善されるのかどうか。改善するとしたらどの程度になるのかうかがいます。 

(6)会計年度任用職員」は一般職地方公務員とされることにより、地方公務員法で規定された公務上の義務・規律、人事評価が適用されます。労働条件面で正規職員との格差を残したまま、義務・規律、労働基本権の制限、処罰だけは正規職員並みということは問題だとの声もありますが、これに対する当局の見解をうかがいます。

介護保険事業

 次に介護保険事業についてうかがいます。

 第一は(仮称)ケアプラン検証会議の設置に関してであります。

 2019年度介護保険事業会計当初予算に地域支援事業を充実のひとつとして、(仮称)ケアプラン検証会議を設置するとしています。この内容として、ケアマネジャー等の資質向上のため、多職種によるケアプラン検証の場であるとの説明を受けています。

 しかし一方、2018年10月から、ホ-ムヘルパーが自宅を訪問し、1カ月の基準回数以上の生活援助サ-ビス(調理、清掃、洗濯など)をケアプランに盛り込んだ場合、ケアマネによる市町村への届け出が義務化されました。市町村は「地域ケア会議」でケアプランの内容を検証し、「不適切」と判断すれば変更を促す場合もあるというものです。届け出基準については、平均利用回数にもとづく統計処理上の数字で決めようとしています。届け出が義務付けられる生活援助の1カ月あたり基準回数は、要介護1は27回、要介護2は34回、要介護3は43回、要介護4は38回、要介護5は31回となっています。

 そこで

 ① 生活援助において仮に規準を越えたヘルパ-派遣回数をケアプラン検証会議で検証する場合、ヘルパーも利用者・家族もいない中でそれを「不適切」と判断できるのかどうかお聞きします。 

 ② 生活援助の基準回数やケアマネによる市町村への届け出の義務化は明らかにサ―ビス利用の制限を狙うものではありませんか。当局の見解を求めておきます。

 第二に、国庫補助金である保険者機能強化推進交付金31,313千円についてであります。

 2019年度予算に新たに国庫補助金収入として保険者機能強化推進交付金が計上されています。厚生労働省の通知文書を見ますと、「国は市町村に対して、自立支援・重度化防止等に関する取り組みを支援するために交付金を交付する」となっています。各市町村の取組みを評価・点数化してそれに比例して交付金が支払われるというものです。

 そこで

 ① 今回の交付金の目的、補助金額31,313千円の内訳・内容についてうかがいます。

 ② 一般的に「自立支援・重度化防止」の取り組みを否定するものではありませんが、国が点数によって評価した上で補助金額を決めるというやり方は、自治体に財政的インセンティブをつけることで給付削減を推進させるものではありませんか。当局の見解をうかがいます。

 ③ 今回の「交付金」の目的として「市町村に対して、自立支援の取り組みを支援するため」とあります。この「自立支援」に対する考え方ですが—「要介護になった人をもう一度以前の自立状態に引き戻すこと」ではないということです。

 介護保険法第1条では「加齢にともなって生じる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護および療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サ-ビス及び福祉サ-ビスにかかる給付を行うため。」とうたっています。つまり必要な介護サ-ビスの提供こそ自立支援そのものであると考えます。「自立支援」に対する考え方について当局の見解を求めておきます。

 以上で一回目の質問を終わります。

[2回目の質問]

■会計年度任用職員(制度の創設)について

(2-1)さきほどの答弁によると、3月1日現在市長部局、教育委員会、消防局合わせて、嘱託職員が418名、臨時職員が888名で「非正規職員」は合計で1309名。この間「非正規職員」が大幅に増えているのが特徴です。今回「ほぼすべての職が会計年度任用職員へ移行する」とのことですが、常勤職員と同様の業務をおこなう職があった場合、臨時・非常勤職員制度・会計年度任用職員制度ではなく、常勤職員への活用を検討したのかどうかうかがいます。

(2-2)議案第32号「伊丹市職員定数条例等の一部を改正する条例の制定について」の第1条で、職員の定数に会計年度任用職員を含めないこととした理由をうかがいます。

(2-3)市長部局の場合、来年4月時点での任用はすべてパ-トタイム会計年度任用職員になると答弁がありました。理由は、市長部局で週5日勤務する嘱託職員や臨時職員の週当たり勤務時間が37時間30分で、正規職員の38時間45分より短いからとのこと。これは1日あたりで考えればわずか15分の違いであります。一分でも短ければパ-トタイムに分類するというやり方は、国家公務員の場合の判断基準・つまり常勤の4分の3を超える場合は「常勤とみなす」という基準から大きく後退していると考えるが、見解を求めておきます。

(2-4)「待遇改善」についても質問しました。常勤職員とほとんど違わない週当たり37時間30分勤務する嘱託職員の場合、任用初年度のモデルで年収を3,4%程度増額となる。パ-トタイム職員は期末手当の支給対象となり、週20時間以上30時間未満勤務のものは年間1.56月分することになるとしています。それでもパ-トタイム職員に支給する報酬は、事務補助の臨時職員から移行する職の場合、任用初年度のモデルで月額15万円ほどと聞いています。もともと臨時・非常勤と正規職員との間には大きな待遇格差があるわけで、今回の制度見直しを契機にして、抜本的に待遇改善する必要あるのではないでしょうか。当局の見解を求めます。

(2-5)国は地方自治体に対して、地方交付税の算定方法などをつうじ、引き続き人件費の抑制を求めています。財政的な制約が大きい現状では、会計年度任用職員制度導入によって臨時・非常勤の待遇改善に踏み出すことができるのか、当局の見解をうかがっておきます。

■介護保険事業・2回目の質問

②「生活援助の回数基準がしめされ、基準回数以上となった場合ケアマネによる市町村への届け出の義務化はサ―ビス利用の制限を狙うものではない。」との答弁でした。しかし「(仮称)ケアプラン検証会議」の中でケアプランの「変更や是正」を求められた場合、ケアマネが利用者を説得する役割を担わされます。そんなことをしたらケアマネと利用者・家族との信頼関係は崩れてしまうのではないか。「そんな大変なことになるなら」と、基準未満に自主規制することになりかねません。結果としてサ―ビス利用の抑制になっていくのではと危惧しますが,改めて見解をうかがいます。

[3回目―要望等]

 最初の答弁でありましたように伊丹市では正規職員は市長部局、教育委員会、消防局合わせて1308名、非正規職員が1307名半々となっています。少し以前に比べても非正規職員の割合が一段と大きくなっています。正規職員の増員・いまいる非正規職員の正規化と合わせて、現行の臨時・非常勤職員の待遇改善を求めていくことが大事になっていることを特に強調したいと思います。

○厚労省が公表した自治体調査結果でも、生活援助を月90回以上、一日平均3回程度利用している事例では、8割が認知症で7割が独居だったとしています。

 —ケアマネが届け出たケアプランを医療・介護関係者らによる「地域ケア会議」にかけて「検証」する。ヘルパーも利用者・家族もいない中で判断するなど言語道断。

○在宅で独居、歩行困難、重度の人は1日複数の生活援助は当たり前。洗面、服薬、買い物、食事準備、掃除,洗濯、ポ-タブルトイレの処理など。最低でも月60~70回。しかしこのことにより在宅で生活ができている。

○ケアマネ対象のインタ―ネットアンケート(『ケアマネジメント・オンライン』、回答609人)では、同制度導入後、17%が「常に基準を超えないようにしている」と回答。「規準に近い回数のケ―スなどは少しだけ気にするようになった」が42%で、6割が「届け出」義務がケアプラン作成に影響していると答えています。

◎保険者機能強化推進交付金や、生活援助に制限をかける給付抑制のためのしくみは、当事者のくらしの基盤をゆるがすものであり中止・撤回すべきであります。

○日本共産党が反対した理由

①臨時・非常勤の正規化や正規職員の定員拡大など根本的な改善策が示されていない、

②任用の条件が限定されない「会計年度任用職員」の創設で、臨時・非常勤の職を「人員の調整弁」として利用している現状が合法化され、「無期限の任用の原則」を掘り崩すことになりかねない、

③特別職非常勤の会計年度任用職員への移行で、地公法が全面適用され、労働基本権の制限や条件付採用期間(1カ月)が生じること。

2019年3月議会 上原秀樹:代表質問

2019年3月議会 上原秀樹:代表質問

2019年2月16日

日本共産党議員団 上原秀樹

1.市長の情勢認識を問う

1)今年10月からの消費税10%増税について

  市長は、来年度予算の提案説明の中で、本年10月に消費税が10%に引き上げられることについて言及されました。

 しかし、安倍政権による消費税引き上げに関しては、毎月勤労統計の不正・偽装問題で、10%増税の根拠としていた景気判断そのものが誤っていたことがはっきりしました。すなわち、この不正調査によって、2018年の実質賃金がかさ上げされていた問題で、実質賃金の増減を前年と同じ「共通事業所」で算出すると、年間平均マイナス0.5%となったことが明らかになったことです。さらに、総務省「家計調査」の2人以上世帯の実質家計消費支出の推移をみても、8%増税前の2013年平均363.6万円から18年平均が338.7万円と、年額約25万円も落ち込んでいます。

 その上に、増税に伴う政府の景気対策も複雑怪奇で、複数税率によって買う商品、買う場所、買い方によって税率が5段階にもなり、混乱と不公平を広げる支離滅裂なものです。加えて、インボイス制度は、500 万もの免税業者が取引から排除されかねず、中小業者・商店は死活的状況に追い込まれることになります。日本商工会議所や日本スーパーマーケット協会など中小企業団体もこぞって批判、反対をしています。安倍内閣の官房参与であった藤井聡京大大学院教授は、「消費税は社会保障にというのはデマ」「 増税は日本経済を破壊する」と中止を訴えています。私たちが扱っている市政アンケートにも「年金が毎年のように下がり、その上に消費税増税などとんでもない」との声がたくさん寄せられています。

 市長は消費税増税をめぐるこのような事態に関してどのような認識をお持ちでしょうか。市民生活と市内中小企業・商店に国に対して10月からの10%増税中止を求めるべきと考えますが、合わせて見解をお聞きします。

2)安倍首相の9条改憲と自衛官募集事務への協力

 安倍首相は憲法9条改憲に執念を燃やしています。安倍首相の2月10日の自民党大会での演説などで「新規隊員の募集に対して都道府県の6割以上が協力を拒否している」などとしたことで、13日の衆院予算委員会で野党に質され、安倍首相は「自衛隊は違憲ではないと言い切る学者が2割に満たない中で、ある種の空気が醸成されてきた」「自衛隊を憲法に明記させることによってそういう空気は大きく変わっていく」と、憲法9条改憲の狙いについて語りました。警察も消防も重要な行政機関ですが、これらの機関に自治体は新規採用のための名簿は提出していません。自衛隊に名簿を提出しなかったら「非協力」だと非難し、だから憲法を変えるという、こんな乱暴な話はありません。市長はこのような事態にどのような見解をお持ちでしょうか。お伺いします。

 一方、伊丹市の場合、2011年から2016年まで電子データによって15歳の子どもも含めて対象者の名簿を提供していました。この問題で質問もしましたが、当局は、自衛隊法第97条と同法施行令第120条の規定によるものと答弁されましたが、この政令はこれはあくまでも防衛大臣の任意による自治体への資料提供の依頼であること、また住民基本台帳法にも資料提供の規定はないことから、私は自治体がその資料を提供する義務はないと主張したところです。答弁で述べられた、自衛隊法施行令第120条の規定は、地方自治法施行令における法定受託事務とされている点につきましても、単なる依頼に過ぎないことに対応する自治体の事務が法定受託事務だから依頼があった時にはこれに応じる義務があるということなはなりません。このことに対して、当時の石破防衛庁長官が国会質問に答えて「私どもは依頼しているが、応えられないということであれば、いたしかたない」とされ、協力義務はないとされていることからも明白です。この点に関して改めて見解をお聞きします。

2.市立伊丹病院と近畿中央病院の統合を視野に入れた共同調査について

 昨年設置された「市立伊丹病院あり方検討委員会」の報告書は、市立伊丹病院は近畿中央病院と統合し、高度急性期医療に対応できる500から600床規模の阪神北圏域における基幹的な病院を目指すべきとされました。そして来年度、伊丹市はこの報告を受け、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合の可否を判断するために伊丹市と公立学校共済組合が共同して調査研究を実施するとし、調査費用9,900千円を公立学校共済組合と折半し、4,950千円を計上されています。

 そもそも全国的に病院の統合とベッド数削減が行われている背景には、安倍政権による病床の供給を減らすことによって入院患者を減らし、入院医療費を抑制するという方針があります。すなわち、安倍政権は高齢化のピークとなる2025年までに本来必要とされるとしていた152万床から33万床減らし、119万床にするというもので、すべての都道府県に地域医療構想を策定させ、その実現のためにガイドラインを打ちだしています。しかし、厚生労働省の発表した資料によれば、現在、全国の一般病院の病床数は約135万床で、国会での答弁通り本来ならば2025年までに17万床増やさなければなりません。高齢化のピーク時に入院できない人などは介護施設や在宅医療へと押し流す方針ですが、在宅医療については、往診を行う開業医の減少や高齢化、が問題視されていますし、2025年に245万人が必要となる介護職員も、33万人ほど不足する見通しがなされています。つまり、介護施設や自宅ですら、患者をどれほど受け入れられるかは、不透明なのです。安倍政権の下での医療費削減政策は、さらなる介護難民、医療難民を生み出すことになります。

 兵庫県の地域医療構想では、2025年には現状より入院病床を662床減らす必要があるとし、阪神北圏域では122床の減少を、阪神南圏域では390床増やすものとなっています。最近この二つの県域が統合されそれぞれが「準圏域」とされましたが、阪神北準圏域が減らされ、阪神南準圏域に回されるとの懸念が寄せられています。

 このような国による病床削減、県の地域医療構想に沿ったものとして出されたのが今回の「報告書」であり、党議員団は、地域医療を守るために、二つの病院の存続と充実を求めるものです。

 党議員団はさっそく「市立伊丹病院と近畿中央病院の統廃合を考えるシンポジウム」を開催し、「報告書」の内容を伝えて市民の声を聞きしました。その多くが二つの病院が一つになり、病床数が減らされることへの不安の声であり、南部地域から総合病院がなくなる可能性への不安の声でした。そして、近畿中央病院と東京にある公立学校共済組合の本部を訪問して近畿中央病院を残してほしいという地域住民の声を伝え、要望書を提出するとともに、懇談をしてきました。内容は、二つの病院の存続と充実の方向で協議を進めていただきたいという趣旨です。

 そこで、来年度、伊丹市が公立学校共済組合と調査研究を進めていくとされていることから、次の点をお聞きします。

①調査研究の内容について

 調査研究の内容について、医療需要調査をするとのことですが、その方法はどのようにされるのでしょうか。県の地域医療構想の数字は、単純に現状の入院受療率を2025年の人口推計にあてはめただけで、高齢化率を十分考慮したものとは言えません。また、慢性期病床については、療養病床の入院患者のうち最も症状が軽いとされる患者の7割を在宅に移行させるというものです。しかし、慢性期病床の患者の中には、重度意識障害やがんターミナルなどの重症者も多く含まれ、本当に必要な病床数を明らかにしたものではありません。より正確な推計が必要です。医療需要調査の方法をうかがいます。

②統合の可否を判断するための調査というが

 統合の可否を判断するための調査というが、「報告書」が統合を目指すべきとされたことは必ずしも市民の多数の声とは言えないものです。検討委員会に二人の市民委員が入っておられたということですが、市民を代表した意見ではなく、あくまでも一市民委員としての意見です。また、アンケートをされていますが、このアンケートで「統合」についての問いでは、「適切な医療水準を維持するために必要なのであれば近隣との病院との統合も視野に入れるべき」との選択肢であり、他の選択肢を見てもこの項目が一番多くなるのはあらかじめ予想されたものです。「統合」を前提の調査検討とか、視野に入れたとかいろんな言い方をされていますが、調査研究をするとされるならば、現状維持も含めた4つのパターンのそれぞれメリット、デメリットを明らかにし、「統合」を前提とせず、市民的な議論をする必要があると思いますが、見解をうかがいます。

③統合する場合のデメリットについて

 統合する場合のデメリットについて。「検討委員会報告書」の中で、公立と公立学校共済組合という設置主体の異なる病院同士の統合となり、経営統合にかかる調整(経営形態の検討や理念の統一化など)が必要となる」とされています。具体的にどんな検討が必要となるのでしょうか。

④検討委員会の実施について

 検討委員会の実施についてですが、検討委員会メンバーをどうするのでしょうか。両病院の共同調査だが、この検討委員会、もしくは別の方法で市民の意見を改めて聞くことは考えているのかどうか、見解をうかがいます。

3.高すぎる国民健康保険税の引き下げ

 来年度の国保税に関しては、歳入不足が見込まれる約8,000万円について、2018年度決算剰余金と財政調整基金を活用することで、保険税率を引き上げないこととする国保運営協議会の答申に基づき、国保税の引き上げはなくなります。これで、6年連続増税はしていないことになります。

 しかし、依然として国保税は被保険者に重くのしかかっています。もともと国保加入者は所得の低い世帯が多く、伊丹市の昨年度の決算の数字を調べたところ、所得のない世帯が全体の24.5%を占め、所得100万円以下が47.9%、所得200万円以下で72.6%を占めています。その所得200万円以下の世帯で滞納している世帯が、全滞納世帯の84.5%を占めていることから、払うに払えない国保税の実態を示しています。

 たとえば、夫婦と子ども一人の世帯で、年間給与収入300万円(所得192万円)の世帯の場合、年間の国保税は364,200円に、子ども二人の場合は2割軽減で358,600円になります。月額給与25万円の世帯(所得では月額160,000円)で年10回、子ども二人の場合毎回35,800円を払わなければなりません。国保税だけではなく他の公共料金もありますから、生活できる収入ではなくなります。子ども3人で毎回38,600円。子どもが一人増えるたびに年間27,800円加算されますから、子育て支援に逆行する仕組みです。このような過酷な仕組みであることから、全国的にはいくつかの自治体で、子育て支援の立場から子どもの均等割りを免除、もしくは減額しているところも出てきています。伊丹市でも制度を創設したらどうでしょうか。

 東京の清瀬市では、2018年度から所得300万円以下の世帯で、第2子以降の子どもの均等割りを半額にする減免制度を始めています。申請減免ですが、対象世帯には通知を出すことにしています。申請減免なので、財源は一般会計からの繰り入れによるものと思われます。

 また、宮崎市では、2018年度から基金を活用して一人当たり14,900円、1世帯当たり22,600円、国保税を引き下げています。

 伊丹市の場合、国保会計に財政調整基金が約20億円あります。この基金のあり方に関して、国保運営協議会で一定の考え方をまとめておられますが、高すぎる国保税を引き下げることに使ったらどうでしょうか。一人当たり1万円の国保税引き下げを求めるものです。

 子どもの均等割りの減免制度創設と合わせて見解をうかがいます。

 そもそも国保税が高すぎて払えない制度になっているのは、加入世帯の対象が低所得階層であるにもかかわらず、国が自治体の国保会計に対する補助金を大幅に削減したことが原因です。全国知事会も「国庫負担増額」による抜本的な引き下げを国に求めています。2014年の全国知事会社会保障常任委員長の栃木県知事が、約1兆円あれば協会けんぽ並みに保険料を引き下げることができるという試算を示し、引き下げを要望しています。「公費1兆円」「協会けんぽ並み」という「規模と水準」を初めて示したことが当時の「国保新聞」に報じられました。

 日本共産党は、この全国知事会の「規模と水準」を支持し、公費1兆円で「均等割」と「平等割」の応益割をなくし協会けんぽ並みの保険料にすることを、財源も併せて提案しています。伊丹市でいうと、先ほど示したモデル世帯年間収入300万の世帯で、現行364,200円が186,000円になります(協会けんぽ170,928円)。伊丹市長としてもこの「公費1兆円」「協会けんぽ並み」を国に要求したらどうでしょうか。見解をうかがいます。

4.子ども・子育て支援について

 市長は2018年度の伊丹市民意識調査の結果から、「住みやすい」と回答された方が85%を維持し、「住み続けたい」と回答された方は87.5%と高い割合になったことをあげられました。「住み続けたい」とされた理由は、77.6%が「日常の買い物が便利である」を選び、全世代すべてで第1位となっています。第2位は「通勤・通学などの交通の便が良い」をあげ、これもほぼ全世代で2番目となっています。

 一方、「子育てしやすい環境がある」を選択した30から40歳代の方は29.6%、「教育環境が充実している」とした同年代の方は10.8%に過ぎません。また、市の施策の満足度における同年代の上位5位には子ども施策が入っていないことなどは気になるところです。また、子ども・子育て支援に関する調査結果によれば、子育てしやすいまちだと思わない理由として、「その他」を除いて第1位が「保育所、幼稚園などに空きがない」が42,7%となっており、1番多い「その他」の中では、「医療費助成が少ない、所得制限がある」などが挙げられています。

 そこでお伺いします。

①子どもの医療費無料化

 先ほどの調査結果とともに、「今後力を入れていくべき」の項目でも、「子育てにかかわる経済負担の軽減」が一番を占めています。その背景には、アベノミクス経済対策で就労における非正規雇用の広がり等によってこの間実質賃金が減少していることがあります。伊丹市が全国に先駆けて幼児教育の無償化をおこなったり、来年度予算の中で保育料軽減の提案がされたりしていることには評価をしますが、一定充実したとはいえ子どもの医療費無料化には背を向けたままです。再三にわたって中学卒業までの医療費無料化を要求していますが、子育てアンケートの中にも多くの人が書かれている通り、無料化を実現することが必要と考えますが、見解をうかがいます。

②閉園となる公立幼稚園の跡地利用について

 閉園となる公立幼稚園の跡地利用についてです。来年度予算の中で稲野幼稚園の跡地活用について、児童くらぶと不登校の子どもたちのための適用指導教室に転換するための設計委託料等が計上されました。予算計上までに、地区自治協議会等地元の住民には一切の相談がなく、地域ビジョン作成中の役員にとっては戸惑い以外にありませんでした。

 一方、一昨年来の公立幼稚園の統廃合に関する議論の中で、「公立幼稚園が閉園となる場合、跡地は教育、子育てのために活用するよう努めること」との付帯決議が可決され、市長もこの決議を尊重するとされていました。稲野幼稚園の跡地に関しては、まさに教育、子育てのための利用なので、付帯決議通りになったといえます。しかし、あれほど幼稚園の統廃合で地域住民も含めて議論されていながら、跡地利用について保護者や地域住民に相談なしに決めるものなのか、と疑問を抱くものです。今後はどうされるのでしょうか。お聞きします。

 また、伊丹市独自の幼児教育無償化の財源として財政調整基金を取り崩したことに関して、閉園となる幼稚園の跡地を売却してその穴埋めにするとの方針が出されています。しかし、新たな認可保育所の場所の問題やボール遊びができる公園が欲しいなどの子育て世代からの要望もあり、跡地利用に関する付帯決議を考慮することが必要です。見解をうかがいます。

5.空港問題について

 伊丹空港について、市長は空港需要の高まりへの対応や関西経済の浮揚に向けて、伊丹空港の果たす役割は大きいこと、市民からも国際線就航を希望する声があることから、「伊丹空港の国際化」を県や関西エアポートに働きかけていくとされました。その枕詞には、いつものように「安全と環境の確保を前提としたうえで」との言葉が入っています。

 市民の間では受け止めは様々です。便利になるという人、国際便復活と聞いただけでかつてのひどい騒音を思い浮かべて拒否反応を示す人、環境基準未達成の地域では環境委基準を達成してからにしてという人などです。

 環境基準達成に向けて不断の努力をするという存続協定があるにもかかわらず、騒音値がLdenに変わった2012年からみても、騒音値が減るどころか逆に増えています。環境基準達成に向けた不断の努力がないままに、「安全と環境の確保を前提としたうえで」といって国際便の復活を打ち出しても、多くの市民の理解は得られないのではないでしょうか。見解をお聞きします。

6.児童虐待について

 千葉県野田市の小学4年生の女の子が、父親からの虐待で亡くなりました。その女の子は、父親からの暴力を訴えるSOSを発信していただけに、なぜ命が救えなかったのか、悔やんでも悔やみきれません。児童虐待防止法制定から20年、政府・自治体の対策は取られつつあるものの、以前多くの子どもが虐待の被害にあい、小さな命が奪われている現実はあまりにも深刻です。この事態を受けて法改正の動きも出ていますが、子どもの被害を断ち切るため、各分野での真剣な取り組みが急務となっています。

 児童虐待の疑いがあるとして全国の警察が昨年1年間に児童相談所に通告した18歳未満の子どもの数が、前年比14,673人(22.4%)増え、80,104人となり、過去最高を更新したことがわかりました。通告内容では、「心理的虐待」が全体の71.6%にあたり、児童虐待は犯行が潜在化しやすい傾向にあるともいわれています。

 千葉市での事件の教訓として、児童相談所や教育委員会などの各級機関が、子どもの出しているSOSに気づいていながらも、応えることができずに救済の機会を逃したことです。それぞれの機関に、子どもを守るために必要な基本的な力量が欠けていたとしか言いようがありません。児童相談所の職員が足らないこと、経験と知識を積み上げた専門職としての職員が育っているのかどうかという問題もあります。そこで次の点をお聞きします。

①伊丹市の相談件数と職員数について

 2017年度行政評価報告書によれば、新規児童虐待通告件数が2016年度に392件、2017年度は559件と増加。家庭児童相談室への相談年間相談件数は16年度が801件、17年度は846件となっており、評価では、相談件数の増加や複雑化する相談内容により、対応に時間を要するケースもあったが、適切に対応することができたとされています。対応する職員は、正規のケースワーカーが3人、嘱託職員5名で対応されていますが、継続も含めれば1000人を超える相談に十分対応できるのでしょうか。職員の増員とともに、中でも専門職としての職員を育てるためにも正規職員が必要と考えますが、見解をお聞きします。

②児童相談所等他の機関との連携について

 児童虐待は犯行が潜在化しやすい傾向にあるともいわれており、通告の見極めが大切となります。伊丹市に対する児童虐待の通告をどのような基準で児童相談所に通告され、昨年559件のうち何件通告されたのでしょうか。また、伊丹市では要保護児童対策地域協議会が設置されていますが、潜在化する虐待から子供を救済するうえでどのような役割を果たしているのでしょうか。お聞きします。

③「兵庫県川西こども家庭センター」について

 阪神間の児童相談所である「兵庫県川西こども家庭センター」は伊丹、川西、宝塚、猪名川町を主に所管する相談所ですが、範囲が広く、近年の相談件数の急増に見合っていないと思われます。国も児童福祉司の増員などの体制強化を打ち出していますが、専門性確保のためのスーパーバイザーになる30から40歳代の職員が足らないとの現場の声があり、抜本的に職員体制の強化が必要です。あわせて広範囲の相談所でなく、所管の範囲を小さくしてきめ細かな相談に乗れる体制も必要と考えますが、見解をうかがいます。

7.教育の課題について

 前回教職員の働き方改革について質問をしました。その後、中央教育審議会が答申を出しましたが、異常な長時間労働の解消に必要な教職員増がないなど、不十分な内容に終わりました。教職員の増員は、伊丹市教育委員会も含めて関係者のだれもが一致するところです。中教審の議論の中でも、「持ち授業時間数の上限を」「人材確保、予算確保を」と、多くの委員から定員増を求める意見が相次いで出ていたとの報告があります。にもかかわらず定数の抜本的増が盛り込まれなかったのは、現政権の教育予算の増額につながる提案はさせないという圧力があったと考えずにはおれません。

 一方、教育にとって不要不急な業務の改善は直ちに実行可能なこととして重要です。しかし、定員増なしで現在の大幅な残業時間をなくそうとすると、無理が来ます。「効率」や「時短」だけが声高に叫ばれれば、必要な授業準備や子どもへの丁寧なかかわりが問題視される本末転倒となります。そこでいくつかお聞きします。

①教師の研修権

 教職員は教育の専門家であり、子どもに向き合い、学習権を保障し、子どもの発達を支援する役割があります。したがって、教師の専門性を発揮できる働き方はどういうことなのか、という議論が先にあり、そのために労働時間をこうしましょう、というのが筋です。具体的には、教師の研修権がしっかり認められることです。伊丹市教育委員会はどんな議論がされているのでしょうか。

②教職員の働き方に関する議論も必要では

 教職員の労働条件は、子どもたちの教育条件でもあります。となれば、教職員の働き方をどうするのか、学校の守備範囲をどうするのか、これらを生徒や保護者、地域の人たちと議論しながら、共通の方向性を探っていくことが求められます。そういう意味での意識改革は必要で、学校評価はより開かれた学校にしていくための対話の手段であるべきです。来年度予算提案で、今年度末までに、全小・中・高等学校26校をコミュニティ・スクールとする手続きを終え、その充実を図るとされましたが、ここでの教職員の働き方に関する議論も必要ではないかと考えますが、見解をお聞きします。

③全国学力テスト至上主義ともいえる体制

 伊丹市教育委員会は、全国学力テスト至上主義ともいえる体制をとり、さらに市独自のテストを行っていますが、このことに関する教職員の負担があるのではないでしょうか。なぜ毎年受けなければならないのか、5年に1回でも十分教育の傾向はわかるはずです。働き改革の立場からも検討すべきですが、見解をうかがいます。

④市として可能なところから少人数学級を

 党議員団は、国がやらないのであれば、当面、県の制度として中学3年生まで35人学級の実現を求めています。伊丹市議会も小学校6年生までの35人学級の実現を求めて意見書を県に送っています。少人数学級の実現は、不登校や児童虐待など子どもの困難に対するちょっとした変化にも目が行き届き、スクールソーシャルワーカーなどとも連携した対応をすぐにとることが可能です。子どもの困難な面だけではなく、学びへの支援にもよりきめ細かく支援が可能です。伊丹市教育委員会としては様々な学習・生活支援のための職員の配置は行ってこられていますが、県がやらないのであれば、伊丹市として可能なところから、とりあえず小学校6年生まで少人数学級、35人学級に足を踏み出すことはできないでしょうか、見解をうかがいます。

(2回目の発言)

1.市長の情勢認識を問う

1)今年10月からの消費税10%増税について

○そもそも社会保障の財源確保には消費税増税しかないという発想の貧困。社会保障財源のためといって消費税を創設し、8%まで増税してきたけど、社会保障費の自然増部分は減らされっぱなし。広く負担というけど最大の不公正な税金が消費税。

2)安倍首相の9条改憲と自衛官募集事務への協力

○安倍首相が「新規隊員の募集に対して都道府県の6割以上が協力を拒否している」などとしたことは、自治体の自衛官募集事務の実態を捻じ曲げたものであり、その事実誤認のもとに、憲法9条改憲で自衛隊を明記すれば自衛隊募集事務に協力するようになるとの認識を述べたものです。答弁で「憲法9条改正の問題とは直接つながってこないのでは」とされましたが、安倍首相はそう思っていないのであって、そこに9条改憲の一つの狙いがあることを述べたということ。

○自衛官募集における自衛隊法97条と同法施行令120条の規定に関しては、憲法学者の間でも「そもそも(法律ではなく)政令である施行令により自治体に義務を課し、人権を制約することはできない」「個人情報保護の観点からも、プライバシー権の中核にある自己情報コントロール権に対する侵害になる」という意見があります。答弁で、石破氏の答弁では義務とも任意とも言っていないとされたが、その答弁で、依頼に対して「応えられないということであれば、いたしかたない」というのは、どう読んでも「任意」としか受け止められない。一方、集団的自衛権行使を認めた安保関連法の成立で、「駆けつけ警護」など海外で戦争できる自衛隊に変わった今、個人情報保護の観点、自己情報コントロール権の侵害という立場から慎重に対応しなければならない問題であることを認識していただきたい。

2.市立伊丹病院と近畿中央病院の統合を視野に入れた共同調査について

 そもそも統合には反対だが、あえて調査をするならば、再度の質問をしたい。

1)正確な医療需要調査

○「報告書」では病床数を500から600床とされたが、これにこだわらずに必要な病床規模を調査するという理解でいいのか。

○回復期に関しては、「報告書」ではその500から600床の規模には回復期は含まれず、「統合」後の病院以外で回復期病床の必要性に言及していると思われる。回復期に関しては「注視」するとしか言及しているにすぐない。答弁で、改めて回復期も含めて必要な病床数を分析するとされるが、その結果を反映したうえで「必要な病床の確保に努める」とは、回復期も含めることができるのか、そのことによって二つの病院としてどういうことが想定されるのか、「統合」の可否にどう影響すると考えるのか。

2)統合の可否の判断

○答弁では、全市的な市民の意向を踏まえた検討がされたというが、「検討委員会」に公募市民二人が入ったことと、アンケート調査により全市民的な意向を踏まえた検討がなされたとの認識は間違い。「検討委員会」が非公開であったこと、議事録が2,3か月後に公開されたこともあり、「報告書」が出されたときにほとんどの市民は、統合を前提とした協議が始まることなど知らなかった。「報告書」提出の後で広報等によって知らされたのが現実。市民にとって命に係わる地域医療のあり方の問題なので、改めて何が議論されているのかを知らせ、市民的な議論は必要と考えるが。

3)統合する場合のデメリット

○異なる設置主体同士の「統合」の可否判断になるが、答弁の通りそんな簡単なことではない。まして「統合」となると民営化も視野に入り、市立伊丹病院も近畿中央病院もなくなる可能性もでてくるのではないか。

4)検討委員会の実施

○先ほどの市民の中での議論と重なる。答弁では、今後どのような方法をもって市民の意見に耳を傾け、検討に反映していくか、様々な手法を検討すると。「報告書」を出した「検討委員会」の結果に基づき、今後検討する際には市民の意見を踏まえたものにするということなので、その手法は市民にいち早く知らせてほしい。

3.高すぎる国民健康保険税の引き下げを求める

○伊丹市の基金を活用して国保税の引き下げを行うこと、国に対して均等割、平等割をなくし、協会けんぽ並みにするために1兆円の公費を要求するとともに、伊丹市として均等割の減免制度を創設することを求めました。
 国保税が被保険者の大きな負担となっていることは当局も認めていること。私たちが取り組んでいる市政アンケートでも、市政に望むことの中で「国保税の引き下げ」が43.2%を占めている。今以上負担を増やさないことだけではなく、少しでも負担を減らすにはどうしたらよいのか、もっと考えるべき。会計だけに目が行って、被保険者の暮らしに目が行っていない。

4.子ども・子育て支援について

1)中学卒業までの医療費無料化を

 答弁では、経常経費が約1億5千万円必要なことという財源の問題、一部負担金を設けないことで不要不急の受診行動が促進されること、この二つが中学卒業まで医療費を無料にすることができない理由とされた。

 兵庫県下41市町のうち35市町が中学卒業まで無料化。県下のある市長は「ほぼ義務教育のようになった高校生までは、本来無料であるべきだ。市民の意識改革を進めれば医療費も増えない」と。一方、県内のある自治体の担当者は「助成内容を見て、住むまちを決める子育て世帯がいる。財政的には苦しいが、近隣が制度を拡充すれば、追随せざるを得ない」と漏らす。との新聞報道(神戸新聞)。

 答弁での「不要不急の受診行動が促進される」とのことだが、裏を返せばお金のことで気軽に医療にかかれない世帯があるということであり、無料化によって重症化を防ぐことにもなるのではないか。そもそも「不要不急」かどうかは素人には判断できない。

 答弁ではできない理由二つをあげられたが、財源があっても「不要不急」の受診を防ぐためにやらないのか、それとも財源のめどがつけばできるということなのか。どちらなのでしょうか。

5.空港問題について

○個人質問で服部議員が質問するので。

6.児童虐待について

○伊丹市の相談員は昨年度増員が図られたとのこと。しかし、答弁にもあった通り、子どもだけではなく保護者等の対応もあり、ストレスなどの負担も大きい仕事で、8人で1192人のケースを担当することは相当無理があるのではないかと思う。相談件数も増加傾向にあることから、さらに職員を増員されることを求める。

7.教育の課題について(教職員の働き方改革)

○コミュニティ・スクールについて
 教員は心を砕いて子どもの教育に頑張っている。国が定数改善をしないことから、過労死ラインを超えて働いている。そのことを胸襟を開いて地域住民・保護者と話し合えば、新しい発見はあると思う。地域の人にも実情をわかってもらえる。

○全国学力テスト
 答弁では、学力テストによって教員への負担を強いるものではないと。しかし、心理的な負担はあるのでは。それが日常の意教育にどんな影響があるのか。すべてが学力テスト基準になっていること。

○35人学級
 県・国に対して要望してもなかなか聞き入れてくれないとの答弁。そもそも全国学力テストに毎年50億円使っている。定数改善に回したほうがいいのでは。