自民党・佐藤市議の市庁舎内における「しんぶん赤旗」販売等の質問に対する見解

憲法で保障された正当な政治活動の自由、職員の思想・信条の自由、新聞購読の自由は侵害することはできない

自民党・佐藤市議の市庁舎内における「しんぶん赤旗」販売等の質問に対する見解

2014年6月30日

日本共産党伊丹市議会議員団

団長 上原秀樹

(1) 伊丹市議会において、6月12日、佐藤良憲議員(自民党)が「政党機関紙『しんぶん赤旗』を市庁舎内で勧誘・配布・販売することの是非」と題する一般質問を行いました。同議員は質問の冒頭で、小坪慎也福岡県行橋市議が、全国の議会にその実態を問う「文書」(陳情)を送付していることを紹介しましたが、今回の質問は、ある全国日刊紙の意図的なキャンペーンも背景にしながら、各地で右翼的な議員が行っている『しんぶん赤旗』攻撃の一環です。

 全国に「文書」を送った行橋市議が、自身のブログで「市議1議席で、日本共産党(政党全体)を振り回してガタガタにして見せます。河野談話の検証・憲法解釈の変更に際し、左翼勢力からの攻撃に対して、敵戦力を分散させることで側面支援してみます」などと述べています。このことからも、この攻撃は、「自共対決」のもとで、憲法をないがしろにする集団的自衛権行使容認や特定秘密保護法、教育委員会改革など、安倍内閣の暴走に真正面から対決し、運動の先頭に立っている日本共産党と『しんぶん赤旗』を攻撃し、安倍内閣の暴走を擁護するという性格を持っています。

 そしてその発言は、憲法で保障された個人の思想・信条の自由、政党の政治活動の自由を根本から侵害するものとなっています。地方議会という言論の府で、憲法で保障された正当な政治活動を、自治体当局を使って規制・抑制・否定しようとすることは、議員としてあるまじき行為といわざるを得ません。

(2) 佐藤議員が質問した主な内容と当局答弁は次の通りです。いずれも職員が「しんぶん赤旗」を購読していることへの攻撃ですが、答弁で法律や条例によって規制されるものではないとされ、その意図は打ち砕かれました。

 第1に、同議員は、幹部職員から聞き取り調査をしたとして(このことは「思想調査」であり問題)、議員が職員に勧誘を行うことは心理的圧迫感を与えるのではないか、また、幹部職員が購読することが他の職員への心理的威圧感を与えているのではないかという質問をしています。

 答弁では、機関紙を購読することは個人の意思にゆだねられており、心理的強制があったかは、個々の職員の感覚によるもの、幹部職員の購読による影響は特段全庁的な対応が必要であるとは捉えていないとしました。この答弁は、職員が勧誘によって新聞を購読することに心理的圧迫感があるとは言えず、購読は自由であるとの立場を明らかにしたものです。

 第2に、庁舎内での政党機関紙の販売という政治活動は、庁舎管理規定上問題はないのか、政党機関紙を庁舎内で勧誘・配布・集金を黙認することは、特定政党の政治活動を支援し、結果として政治献金を行っていることになるのではないか、と質問をしています。
答弁では、機関紙の販売代金は契約によって配達された対価であり、「政治献金」には該当しないし、管理規則上問題はないとするとともに、職場での購読・集金等は個人の利便性で判断したことであり禁止されるものではないとしました。

 第3に、機関紙の購読が、地方公務員法第36条の「職員の政治的行為の制限」並びに同法に基づく服務分限条例における「政治的目的のために職命、職権の影響力を利用すること」に該当しないのかと質問。

 答弁では、単に機関紙の購読を持って本規定に抵触するものではない、政党機関紙を個人的に購続することについて、一般的に政治的目的を有する行為であるとは言い難く、制限されるものではないとされました。

 このように、職員が庁舎内でどの政党の機関紙を購読しようが自由であり、一般に新聞の報道は業務にかかわって必要になることもありえるものです。その場合は、勤務時間中に読むことが業務の一環ともなります。同議員は「行政の中立性」について言及しましたが、このことは、職員が住民に対して「公正・中立」の立場で行政に携わることであって、個々の職員がどんな新聞を購読しているか、どんな思想を持っているかは関係ないことです。

(3) 佐藤議員の発言に先行して行われた行橋市議会や鎌倉市議会でも同様です。

 行橋市議会に関しては、問題の市議が、昨年の12月議会で「日曜版配布後の職場は『赤旗』まみれ」などと取り上げ、3月議会でも「『赤旗』の庁舎内の販売(配布・徴収)について」質問しました。しかし、総務部長は、「前回12月議会での指摘を受けて、私自身、庁舎内を点検・巡回したが、ご指摘のような事実は認められなかった」と答弁したため、同市議は質問を続行できず、次のテーマに移って終わったという状況です。

 また、鎌倉市については、産経新聞が4月5日付で、「『赤旗』の勧誘市庁舎内禁止鎌倉市『職務の中立性重視』」という記事を載せていますが、日本共産党鎌倉市議団の見解のとおり、12月議会で市長が政治活動の規制の検討を表明したものの、憲法に反する規制は行うことができず、個人情報を取り扱う執務室内の規制にとどまらざるを得なかったのが事実です。

 このように、他の議会でも同様の質問がされていますが、いずれも憲法で保障された正当な政治活動の自由、職員の思想・信条の自由、新聞購読の自由は、侵害することはできないということが改めて確認されたというのが実態です。

(4) 答弁で、勧誘行為への厳格な対応、配達集金活動における公務執行上並びに情報管理上の改善策が必要とされたことに対する見解は次の通りです。

 第1に、勧誘行為への厳格な対応についてですが、まず前提として、どの政党機関紙であろうが、政党機関紙を広範な市民に勧めることは憲法が保障する正当な政治活動です。そして、政党に所属する議員が自治体の幹部職員等に機関紙の購読を呼びかけることも同様であり、購読する職員にとっては、個人の思想・信条の自由、内心の問題です。これに制限を設けることは許されません。ただし、その行為が職員の公務執行の妨げや情報管理上の問題を生じさせることがないように、自ら戒めなければなりません。

 第2に、配達集金活動への対応ですが、答弁の通り、公務執行上並びに情報管理上の必要があれば、自らも改善を図りたいと思います。

 日本共産党伊丹市会議員団は、今後とも、安倍政権の暴走と正面から対決し、憲法で保障された権利、思想・信条の自由を守るために、そして市民の暮らしと福祉、教育を守るためにみなさんと力を合わせてがんばります。