2019年3月議会 久村 真知子:議案第12号「平成31年度伊丹市一般会計予算」討論

2019年3月議会 久村 真知子:議案第12号「平成31年度伊丹市一般会計予算」討論

2019年3月25日

日本共産党議員団 久村 真知子

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議案第12号、議案27号、関連する議案32号、並びに議案28号に、反対の立場から討論をおこないます。  

 初めに議案12号「平成31年度伊丹市一般会計予算」についてです。

 市長は、2019年度予算の提案説明の中で、本年10月に予定されている消費税が
10%に引き上げられることについて言及されました。しかし、安倍政権による消費税引き上げに関しては、毎月勤労統計の不正・偽装問題で、10%増税の根拠としていた景気判断そのものが誤っていたことがはっきりしました。すなわち、この不正調査によって、2018年の実質賃金がかさ上げされていた問題で、実質賃金の増減を前年と同じ「共通事業所」で算出すると、年間平均マイナス0.5%となったことが明らかになったことです。さらに、総務省「家計調査」の2人以上世帯の実質家計消費支出の推移をみても、8%増税前の2013年平均363.6万円から18年平均が338.7万円と、年額約25万円も落ち込んでいます。こうした経済状況のもと市民のくらしがいっそう悪化することが予想される時、市政に求められているのは何よりも市民の暮らしを守ることを第一にすることでありました。以下この立場から意見を述べます。

 2019年度一般会計の総額は759億円で、前年度当初予算に比べて64億円、率にして9.2%の増となり、過去最高の規模となっています。特に労働福祉会館大規模改修事業など普通建設事業費が前年対比で約40億円増えているこが主要な原因となっています。

 2019年度当初予算案では、市税の内市民税は対前年度比6億1千万のプラスとなり、その内個人市民税は対前年度比約3億6千万のプラスとなっています。要因は納税者が1700人余り増加することにあるとしていますが、給与所得で1.34%の伸びを想定しているものの、営業所得、年金所得はプラスマイナスゼロと依然として厳しい状況となるとしています。さらに今年10月から消費税の10%への増税が実施されれば市民の暮らしに計り知れない深刻な影響を与えるものとなります。政府に対して増税中止を強く求めていくべきであります。

 一方当初予算における一般財源の確保の面では、前年度対比で市税全体では8.5億円の増となっているものの、普通地方交付税が4億円増、臨時財政対策債は7億円減の差し引きで3億円の減となっています。

 こうした情勢の下、市長は市民のくらしを守り、福祉や教育の充実をめざすことや、施策の実施に当たっては十分に市民に寄り添うことが求められましたが、これらの点でいくつかの重大な問題を含んでいます。

 第一に、自衛官募集事務への協力の問題です。

 伊丹市の場合、2011年から2016年まで電子データによって15歳の子どもも含めて対象者の名簿を自衛隊に提供していました。この電子データ提供に関して市長は本会議で、「自衛隊とは非常に良好な関係を築いてきていることから、これまで行ってきている協力事務については、これからもできる範囲で協力をしていく」と答弁されています。自衛官募集事務への協力の問題で当局は、自衛隊法第97条と同法施行令第120条の規定によるものと答弁されていますが、日本共産党議員団は、この政令はあくまでも防衛大臣の任意による自治体への資料提供の依頼であり、自治体がその資料を提供する義務はないと主張してきたところです。

 しかし安倍内閣のもと安全保障法制の改悪により、自衛隊がより危険な地域・任務に派遣されることになっている情勢であります。伊丹市民である自衛隊員、若者を危険にさらさないためにも名簿提出、閲覧は拒否をすべきであります。

 第二に、市立伊丹病院と近畿中央病院の「統合」を視野に入れた共同調査についてであります。

 昨年設置された「市立伊丹病院あり方検討委員会」の報告書は、市立伊丹病院は近畿中央病院と統合し、高度急性期医療に対応できる500から600床規模の阪神北圏域における基幹的な病院を目指すべきとされました。そして来年度、伊丹市はこの報告を受け、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合の可否を判断するために伊丹市と公立学校共済組合が共同して調査研究を実施するとし、調査費用9,900千円を公立学校共済組合と折半し、4,950千円を計上されています。

 今回の「あり方検討委員会」は、全市民的な意向を踏まえた検討とはほど遠いものであり、「報告書」が出されて市民の間では驚きと不安が広がっています。市民にたいして、「統合再編」だけでなく、「連携」や「機能分担」などの選択肢も示しながら議論する必要があり、また公開の場で審議していくべきであると考えます。
 しかし当局はあくまでも「統合再編」を視野に、しかも今年度と同様の体制で協議を進めるとしています。市民にたいしては「丁寧な説明を行う」とするものの、関係市民の新たな協議の場への参加には「否定的」であり大きな問題であります。

 第三に、空港問題についてです。

 大阪国際空港について、市長は空港需要の高まりへの対応や関西経済の浮揚に向けて、伊丹空港の果たす役割は大きいこと、市民からも国際線就航を希望する声があることから、「伊丹空港の国際化」を県や関西エアポートに働きかけていくとされました。しかし航空機にかかる騒音値がLdenに変わった2012年からみても、騒音値が減るどころか逆に増えています。このことは環境基準達成に向けて不断の努力をするとの「存続協定」にも逆行する状況になっているといえます。「安全と環境の確保を前提とした上で」といって国際便の復活を打ち出しても、日々環境基準を超える騒音にさらされている地域、市民からは理解は得られるものではありません。

 第四に、プレミアム付き商品券事業にかかる経費2億7400万円が計上されていることです。

 全額国庫補助金とはいえ、「平成30年度伊丹市一般会計補正予算(第9号)」で指摘した通り、「税金のバラまき」はやめるべきであります。

 第五に、2019年度も参加を予定している全国学力テストと市独自の学習到達度調査の問題です。

 市教育委員会は「学力テストはすべてでなく、あくまでも学力の一つの側面だ」としながら、学力テスト至上主義的姿勢を年々強めています。しかし仮に学力テスト全国平均が下がれば、伊丹の学力水準が前年と同じだった場合、伊丹の平均は数字的には上がるということにすぎません。よって学力の到達度は数年に一度のテストで十分認識できるものであり、毎年の全国学力テストへの参加および学習到達度調査は必要ありません。

 次に日本共産党議員団が以前から要望し今回実現の運びとなる、評価すべき点であります。

 一つは、洪水ハザードマップ更新事業です。国・県による洪水浸水想定区域の見直しですが、今後減災対策に有効活用されるよう要望します。

 二つは、3歳児検診における眼科検査精度向上事業のため、新たに検査機器を導入されることです。

 三つは、今まで日本で一番高かった2歳以下の保育所保育料の引き下げを行うことです。引き続き子育てに関する負担軽減を求めます。

最後にいくつかの要望事項です。

①子ども・子育て支援について

 伊丹市が全国に先駆けて幼児教育の無償化をおこなったり、来年度予算の中で保育料軽減の提案がされたりしていることには評価をしますが、一定充実したとはいえ子どもの医療費無料化には背を向けたままです。再三にわたって中学卒業までの医療費無料化を要求していますが、子育てアンケートの中にも多くの人が書かれている通り、無料化を実現することが必要と考えます

②閉園となる公立幼稚園の跡地利用についてです。

 伊丹市独自の幼児教育無償化の財源として財政調整基金を取り崩したことに関して、閉園となる幼稚園の跡地を売却してその穴埋めにするとの方針が出されています。しかし、新たな認可保育所の場所の問題やボール遊びができる公園が欲しいなどの子育て世代からの要望もあり、跡地利用に関する付帯決議を考慮することを求めるものです。

③児童虐待への対応について

 2017年度行政評価報告書によれば、新規児童虐待通告件数が2016年度に392件、2017年度は559件と増加。家庭児童相談室への相談年間相談件数は16年度が801件、17年度は846件となっています。対応する職員は、正規のケースワーカーが3人、嘱託職員5名で対応されていますが、継続も含めれば1000人を超える相談に十分対応できる状況ではありません。専門職としての職員を育てるためにも正規職員を含む職員の増員を強く求めておきます。

 ④党議員団は、中学3年生まで35人学級の実現を国に求めていますが、国がやらないのであれば、当面県の制度として実現を求めています。伊丹市議会も小学校6年生までの35人学級の実現を求めて意見書を県に送っています。少人数学級の実現は、不登校や児童虐待など子どもの変化にも目が行き届き、スクールソーシャルワーカーなどとも連携した対応をすぐにとることが可能です。当面小学校6年生まで少人数学級、35人学級に足を踏み出していただきたいと考えます。

 その他本会議や委員会で指摘・要望いたしました内容についてはぜひ検討実施していただくことを求めるものです。

次に
 議案第27号「伊丹市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の制定について」および議案第32号「伊丹市職員定数条例等の一部を改正する条例の制定について」であります。

 2017年第193回通常国会において地方公務員法と地方自治法が改正され、2020年4月から自治体の非正規職員に「会計年度任用職員」が導入されることになりました。その背景として、地方公務員法の特別職非常勤および臨時的任用で要件にそぐわない任用が広がっているため、任用要件を厳格化するとしたものです。今回の法改正の内容は、住民のいのちと暮らしを守り地方自治の担い手である地方公務員制度の大きな転換でもあります。各自治体では、総務省の「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルに沿って、準備がすすめられ、伊丹市でも今議会に条例提案されています。今回会計年度任用職員の導入が、自治体労働者や公務に与える影響には大変大きいものがあります。

 今回の法改正の主な内容は、第一に、臨時的任用・特別職非常勤の任用の厳格化、第二に、会計年度任用職員制度の創設、第三に、会計年度任用職員にかんする手当支給既定の創設です。特別職非常勤職員と一般職非常勤職員は、任用根拠や賃金・手当の定めが法律上あいまいでしたが、会計年度任用職員に移行することによって明確にされます。また法の定めにより従来の非常勤職員には支給できなかった手当てが支給できるようになったことです。

 しかし問題点も多く指摘されています。

 一つは、相変わらず有期の任用であることです。会計年度任用職員は一会計年度末日をもって毎年度任用期間が終了する「任期の定めのある職員」であり、「雇用の安定化」の面で根本的な解決になっていないこと。さらに会計年度任用職員の条件付き採用期間を1カ月とする特例をもうけることになっています。

 二つは、会計年度任用職員の2タイプの間で、支給される手当に格差があることです。フルタイムは正規職員と勤務時間が同じで、正規職員と同等の諸手当の支給が可能とされているのに対して、短時間・パ-トタイムは期末手当のみの支給にとどまり、大きな格差があることです。

 三つ目には、臨時・非常勤の正規化や正規職員の定員拡大など根本的な改善策が示されていないことです。伊丹の現状をみても、本会議で答弁でありましたように、今年3月1日時点で正規職員は市長部局、教育委員会、消防局合わせて1308名、非正規職員が1307名半々となっているとのこと。根本的な改善どころか以前に比べても非正規職員の割合が一段と大きくなっています。大きな問題であります。

 給与・報酬の面でも大きな違いがあります。答弁でも明らかなように、ほとんど勤務時間は変わらないにもかかわらず、嘱託職員は正規職員の84%~68%、臨時職員は正規職員の50%半分という状況です。

 非正規職員の強い要求とは、賃金アップと雇用の継続です。今回の条例がこうした願いに根本的に答えることになっていない点を指摘し、議案第27号と関連する議案第32号に反対するものです。

 次に、議案第28号「伊丹市立男女共同参画センタ―条例の制定について」です。

 本議案は伊丹市に新たに男女共同参画センタ―設置するため条例を制定しようとするものです。この施設の目的は、男女共同参画社会の形成を促進するためとされており大変重要なものであります。よって条例3条にある事業の内容・目的は調査・研究、人材育成、ハローワークとの連携など、専門性の高い事業等重要なものばかりです。また第6条ではセンターの休館日は、日曜日としていますが、働いている人は日曜日が生きやすいと思う方もおられるだろうから、日曜日の休館日は見直すべきだと思いますが、「当面の様子を見て検討する」との方向を出されていますので、この点についても、また全般的な状況についてもより使いやすいセンターにするために、ぜひ市民の意見を丁寧に聞きより良いセンターにするよう努力すべきと要望いたします。

 しかし、第4条においては「指定管理者にセンターの管理を行わせる」とされています。今日先進国の中でも日本の男女平等指数は最低の順位となっている状況ですのでこのような問題点を解決し、男女共同参画社会を促進するために、この施設は、重要なものであるとともに、労働行政等市の他の施策との連携が必要なこと等から、指定管理者による管理運営ではなく、市の直営とすべきであります。よって、議案第28号は反対といたします。