2024年度決算反対討論(10月14日)

2024年度決算反対討論(10月14日)

 日本共産党の加柴扶美です

 ただいま議長より発言の許可をいただきましたので、私は報告第9号、令和6(2024)年度伊丹市一般会計歳入歳出決算及び報告第12号、令和6(2024)年度伊丹市介護保険事業特別会計歳入歳出決算の認定に対し同意できない立場から討論を行います。

 2024年度の市民をめぐる情勢は、
 物価高が家計の重石になる状況が続いていました。民間シンクタンクのみずほリサーチ&テクノロジーズは2024年3月14日、2022年度~24年度の3年間の物価高騰により、21年度と比べた24年度の年間家計負担が1世帯(2人以上)当たり28万円増えるという試算を公表しましていました。

 その結果、平均的な世帯では前年度に比べ23年度は9万4852円の負担増、24年度は7万8275円の負担増となり、これに22年度の物価高騰分10万7625円を加えると、28万752円になるとの試算です。
 このことから、2024年度はより一層の市民の暮らしを守る施策が求められました。

 2025年度は最低賃金の引き上げが行われ、兵庫県では1116円となり 10月4日から適応されることとなりました。

 しかしながら、今でも 大企業並みの賃上げに比べ、中小企業は長期的な経済低迷が持続する中で賃上げさえも難しいと言われる企業も多く存在します。賃金が上がったとしても物価高騰に追い付いていないのが現状ではないでしょうか?

 全世代における非正規雇用の拡大と 賃金格差、エネルギーや食料品等、あらゆる物価高騰が市民生活と暮らしを圧迫しています。
 2025年度、2026年度とも、より一層市民の暮らしと中小企業の営業を守る施策が求められます。
 一方、少子高齢化は加速し、福祉政策の後退と全世代での負担は更に増しています。そのような情勢の中、全世代に対する支援が重要であると考えます。

 初めに、令和6(2024)年度伊丹市一般会計歳入歳出決算についてです。
 まず、問題点について述べます
 1つ目は子育て、教育についてです。
 保育施設や学童保育等、子育てに関する施策に於いて、公的施設ではなく民間施設の誘致を進めている事と、そこで公的施設で働く人材の確保に於いても、会計年度任用職員の雇用が多いことです。公共としての役割を果たすとともに、子どもの発達と安全安心の環境を担保するため、正規職員を増やした、定数配置を求めます。

 学校教育では、国の政策の下、GIGAスクール構想の推進で、子どもたちと教職員のリテラシーの問題等さらなる負担をもたらすことに繋がること、また、タブレット端末と関連コストなどは定期的に地方自治体の財政負担をもたらすものと考えます。

 2つ目は老朽化した市営住宅の建て替えを行わず、200戸の用途廃止で住戸の削減を行っている事です。

 市営住宅等整備計画に基づき耐震補強は必要です。しかし、高齢者の住宅確保に向けた住戸小型化工事が進められていること自体は否定しませんが、民間住宅の確保が難しい中で市営住宅の増設が必要です。
 さらに、若者から現役世代の住居確保に対する家賃補助等の公的住宅支援策、市営住宅における住環境の整備が進められていません。

 3つ目はマイナンバーカードの推進事業です。

 本来、マイナンバーカードは任意とされていました。しかし、マイナンバー制度の目的を「国民の生活の利便性」「行政手続の簡素化、効率化」「不正受給の防止」として、推進しています

 マイナンバーカードと国民健康保険被保険者証の一体化の問題では、マイナ保険証を取得していない被保険者に対し資格確認証の交付が行われ、マイナ保険証所有者に対しては資格情報の交付がおこなわれています。しかし、カード本体と電子証明書の有効期限切れが2025年から急増し、更新手続が必要となる2025年問題、個人情報漏洩リスク、暗証番号等の認証方法に苦手意識のある方は依然多いこと、公金受け取り口座やマイナ保険証の誤登録、それら情報の不一致は医療機関窓口でのトラブルを招き、カードの紛失等も依然多く問題は解消されていません。

 さらに、それに関連した各分野でのデジタル化に伴うシステム標準化改修推進事業についてです。
 国のデジタル行財政改革のもと、自治体の情報システムを2025年までに標準化、共通化するとの方針で進行しています。国の強引なスケジュールや経費をめぐり、全国の自治体からも不満が出ています。
 システムの導入に伴う職員の行政事務効率化とサービス提供は、現状に於いて市民サイドの満足度にしっかり繋がっているのでしょうか。自治体としての財政的負担や災害時のライフライントラブルに対するトラブルシューティング等の対応についても十分な市民説明対応が必要と考えます。

 次に評価すべき点を述べます

 1つ目は
 近年の異常気象や南海トラフ地震災害に備えての防災対策を計画的に進められ、備蓄の充実や避難所環境の向上も視野に、学校体育館空調整備事業を進められてきたこと、環境面も考慮した公共施設への太陽光発電事業整備、災害に対応した昆陽池公園トイレ改修、又、道路、水道などのインフラ整備の促進が図られたことです。

 2つ目は
 伊丹いじめ、不登校対策事業として、不登校支援員の拡充やSSW、SC等の配置、充実をはじめ、学校施設に於いて教職員、子ども達のサポート体制の拡充が図られたことです

 3つ目は・・・2024年度に増えたかどうか。
 大型商業施設への期日前投票所の拡充です。(準備、設置委託料が予算化しました。) ・・・2025年から実施。

 今後にも拡充に期待をいたします。共同利用施設の統合による投票所の遠距離化が問題となっている点の改善は必要です。

 

 4つ目に、自衛隊へ18歳、22歳の市民の個人情報を電子データで提供し続けていることです。

 伊丹市は、自衛隊法施行令などを根拠にして合理化しようとしていますが、これらの法規の内容は防衛相の「できる規定」であり、市が従う義務はありません。この行為は、憲法13条で保証されたプライバシー権を侵害する重大な人権侵害です。住民基本台帳法にも違反し、個人情報保護法で禁止されている個人情報を本人に無断で第三者に渡すことはできません。直ちに個人情報の提供はやめるべきです。少なくとも尼崎市などで実施している、「名簿を提供してほしくない」という人を除外する除外申請制度を設けることを求めます。

 次に来年度以降への要望です。

 一つは、中学校給食無償化に続き、来年度には小学校給食の無償化を求めます。

 二つに、18歳までの医療費完全無料化を求めます。

 三つに、中学校の部活動の地域展開については、保護者、児童・生徒への丁寧な説明とともに、保護者負担をなくす対策や生徒の安全確保策、中間支援団体の役割が十分に発揮できること、暴力やハラスメント対策等を求めます。
 四つに、国民健康保険に関して、兵庫県保険料率統一によって大幅に保険税が値上げされることが予想され中、国に対して1兆円規模の国費を投入することで国保税を大幅に引き下げることを要望していただくことを求めます。

 次に報告第12号 令和6年度 (2024年度) 伊丹市 介護保険事業特別会計歳入歳出決算についてです。

 令和6年度から8年度までの3年間を計画期間とする、第9期介護保険事業では、当市の特長として、75歳以上の後期高齢者の割合が高いことから、介護給付の増加を見据え、介護保険第1号被保険者間での所得再配分機能の強化と低所得者層の保険料上昇を抑制する一方、財政安定化基金貸付の償還(2億円)を踏まえて次期改定を見越した対応として、保険料の所得階級設定を12から18段階へ見直しが行われ、この中では各段階の負担率は軽減されました。
 しかし、保険料標準月額は5200円から7200円となり、住民税非課税世帯の一部も含めてすべての段階に於いて値上げとなることに変わりありません。また、年金から保険料の天引きとなる高齢者の負担は限界にきており、これ以上の値上げは生活できないとの声が多いのが現状です。

 所得の高い人は更に大幅な引き上げとなり、最高月額は1万1700円から2万880円となりました。

 介護保険は制度見直しの度に改悪され、国の負担が25%と大幅に減る一方で、自治体、住民負担が増やされてきました。また、訪問介護報酬が減らされ、介護人材の不足、介護を受けたくても受けられない場合、家族が仕事を辞める等の、介護離職も増えており
国による介護報酬の引上げと、サービスの充実に向けて、次期改定を待たず、対応が必要と考えます。

 以上の理由により、報告第9号2024年度一般会計歳入歳出決算、及び報告第12号 伊丹市介護保険事業 特別会計歳入歳出決算に同意できません。

 以上、反対討論とします。各位のご賛同をお願いいたします。