2012年12月議会:上原ひでき 伊丹市独自の35人学級求める請願に賛成討論

2012年12月議会 本会議

請願第5号「伊丹市独自の35人学級の実現を求める請願書」に対する賛成討論

日本共産党議員団 上原秀樹

 「伊丹市独自の35人学級の実現を求める請願書」は、17,628名の連署によって提出されたもので、請願趣旨に書かれているとおり「子供たちに豊かな人格としっかりした学力をつけてほしい」というPTA 等保護者や教職員の強い願いとなっているものです。今日の子どもをめぐる状況を見れば、全国で頻発するいじめによる自殺事件や、伊丹市においても小学校28%、中学校21.3%の児童・生徒が今までいじめられたことがあるとされたとおり、不登校なども含め大変深刻な状況にあり、市民が心を痛めています。さらに貧困と格差の広がりが子どもたちを一層困難にしています。

 この中で教育委員会と伊丹市当局に求められていることは、困難な子どもたちに教職員が寄り添う時間を増やし、一人ひとりが大切にされる学校生活を取り戻すことであり、そのために少人数学級の実施など教育条件を改善することです。

 文部科学省の調査によりますと、少人数学級を先行実施している自治体では、学力の向上が見られ、不登校や欠席率が低下する傾向があるとされています。このような中、文部科学省は、一昨年度、「新・公立義務教育諸学校職員定数改善計画」を策定し、2011年度から8年間で、小学校低学年の30人学級化と、残り小中学校全学年の35人学級を図る事としました。すでに一昨年までに、すべての都道府県で「学級編成の弾力化」によって実施され、兵庫県では小学校4年生まで35人学級が行われていますが、全国平等に35人学級が実現される意義は大きいものがあります。

 本来ならば国が責任を持って、急いで少人数学級を実現すべきことは言うまでもありません。しかし全国で多くの市区町村が独自に少人数学級を実施しているように、国が義務教育の30人学級実現に踏み出した今、できるだけ早く伊丹市独自にでも小学校5年生以上に35人学級を実現することが、子どもを大切にする伊丹市の理念に沿ったものと考えます。党議員団の調査によりますと、来年度小学校5年生で35人学級を実現するとなれば、約2,500万円で実現可能です。

 よって本請願は願意妥当であり賛成するものであります。

2012年12月議会:上原ひでき 国の地方財政に対する認識について

2012年12月議会 一般質問

日本共産党伊丹市会議員団 上原秀樹

「1.高すぎる伊丹市国民健康保険税」はこちら

「2.中学校給食、公立幼稚園の今後のあり方」

3.国の地方財政に対する認識について

 報道によりますと、財務大臣の諮問機関「財政制度審議会」の財政制度分科会が、11月1日開催され、来年度予算編成を前にして、地方財政の分野では、地方自治体に給与削減を促すとともに、地方交付税を圧縮すべきだとの認識で一致したとのことです。

 その財務省主計局の資料を見ますと、驚くべき内容があります。たとえば、地方財政に対する認識として、「国は借金をしながら地方交付税を増やしている中、地方公共団体は貯金が増加している」「地方交付税の不足分は国と地方が借金により折半しているが、このことは地方の自律的な歳出抑制努力を促すという考え方。それを飛び越えて政策的に交付税を増額することは、地方が取り組んでいる自主的な歳出削減努力を妨げる恐れがある」「地方財政計画は、全国規模の地方財政の標準的な姿であり、その標準的な歳出は地方交付税によって財源確保する範囲・水準を実質的に画するもの。そもそも、財源不足の補填など国による財源保障自体が、地方の自立を妨げるとの問題がある」と。また給与関係では、「地方計画上、国家公務員の給与引き下げは給与関係経費には反映されていない」として、地方財政計画の上で公務員給与の引き下げを行い、そのことで全国的に1.2兆円の削減ができるとしています。

 しかし、これらの考え方は、憲法92条に規定される「地方自治の本旨」、団体自治そのものをないがしろにし、地方財政計画の縮減によって、真綿で首を絞めるがごとく、地方の自主性を損なうもので、「地方主権」というならそれ自体を否定するものです。そもそも地方交付税法では、地方交付税の交付の基準を設定することを通じて、地方行政の計画的な運営を保障することによって地方自治の本旨の実現に資すること、地方団体の独立性を強化することとされているところです。財務省の考え方はこの法の趣旨にも反します。

 また、地方財政計画の根拠は地方交付税法第7条にあり、その地方財政計画は、地方交付税という財源保障制度を運用するための位置づけがなされています。財務省はその地方財源そのものを減らすといっています。この間若干なりとも地方交付税が増額されたのは、不況による地方税の減少と国庫補助金をなくして一般財源化したことによるものであり、地方財源そのものが増えたわけではありません。むしろ2004年の小泉構造改革による三位一体改革で大幅に地方交付税を減らし、予算が組めない事態に追い込んだ水準と大差はありません。

 そこでお伺いします。

 一つは、財務省の地方財政に対する考え方に対してどう認識されるのでしょうか。

 二つには、消費税10%増税によって地方消費税も1.54%増額することが、「国と地方の協議の場」における合意とされていますが、先に見ました地方財政への財務省の認識から見ると、地方財政を抑制することで地方交付税を削減し、地方消費税分が措置されたとしても、全体の地方財政が変わらなくなる可能性もあるのではないかと危惧するものですが、これに対する見解を伺います。

2012年12月議会:上原ひでき 中学校給食、公立幼稚園の今後のあり方

2012年12月議会 一般質問

日本共産党伊丹市会議員団 上原秀樹

「1.高すぎる伊丹市国民健康保険税」はこちら

「3.国の地方財政に対する認識について」はこちら

2.教育に関するいくつかの問題で新教育長にお伺いする

1) 中学校における完全給食を実現することについて

 学校給食法第4条では「義務教育諸学校の設置者は、当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない」、第5条で「国および地方公共団体は、学校給食の普及と健全な発達を図るように努めなければならない」とされているところです。ところが今までの給食を求める質問に、教育委員会の答弁は、「愛情弁当論」の立場から「中学校給食の導入は考えていない」「検討もしない」とのことでした。

 しかし、今年の9月議会で市長は、市民の要望が強いことや近隣の自治体の動向も鑑み、教育委員会と連携しながら、幅広い議論をしていきたいとし、今後は議会や市民からの意見を聞き、先行実施している自治体の課題も踏まえ、必要性や実現性について慎重に検討を進めていくという考えを示されました。

 そこで、新教育長として、中学校の完全給食に対してどう認識されているのか、また市長のこのような答弁をどう受け止めておられるのか、具体的な検討を始める意向についてもお伺いをいたします。

2) 公立幼稚園の今後のあり方について

 先の通常国会で、子ども・子育て関連法が消費税増税と社会保障の抑制を旨とする税と社会保障改革の一翼を担うものとして、民主・自民・公明三党による合意で、可決・成立しました。関連法の本格施行は、2015年の消費税率10%の時期に連動しています。日本共産党としては、本関連法は、保育に対する公的責任の後退、保育所建設の補助金廃止、保育認定制度など大きな問題があり、反対をしました。いずれにしても、地方自治体としては、教育・保育および地域子ども・子育て支援事業の供給体制の確保等に関する子ども・子育て支援計画を策定することとなり、そのための準備も始まることになります。

 そこで、今回は公立幼稚園のあり方について、教育長にお聞きをいたします。公立幼稚園に関しては、学校教育審議会で二度にわたって答申が出されました。しかし公立幼稚園の統廃合にも、私立による認定こども園にも保護者を始め地域住民の反対で断念せざるを得なくなったのが実情です。このことを踏まえて、次の点でお伺いします。

 ひとつは、一小学校区一公立幼稚園制についてです。統廃合の計画に対して、保護者・地域住民の反対運動で、改めて公立幼稚園に対する信頼は厚いと感じました。

 以前であれば家庭で担われていた幼児の育ちのプロセスの多くが、幼稚園や保育所で行われ、家庭で果たすべきであった部分を、幼稚園や保育所が補っています。各家庭の子育てを支援し地域の教育力を掘り起こしていくために、家庭・地域と幼児教育の場である幼稚園が一体となって「地域の子どもを地域で育てる」という共通の視点に立つ必要があり、子どもたちの生活の場として地域を捉えていくことが大切となっています。その立場から一校区一園制を守ることの意義があると考えるものです。

 二つには、3年保育と預かり保育についてです。神津認定こども園では例外的に3年保育を始めることになりますが、今まで公私間での役割分担として公立幼稚園は2年保育、預かり保育はしないことになっています。

 一方、保護者からのニーズが高い預かり保育については、幼稚園教育要領においても地域の実態や保護者の要請により、教育時間の終了後に行う預かり保育を含めた教育活動について留意事項が示されているところであり、今後、公立幼稚園がどう取り組むべきであるかについて検討すべき時期に来ているのではないかと思います。

 3歳児保育については、伊丹市における3歳児の子どもを在宅などで見ている家庭は、43%となっており、核家族化や少子化が一層進む中で、近隣での同年齢集団にも恵まれず、親子の孤立化が社会問題として取り上げられてきている中で、集団遊びや自然との触れ合いなどの、年齢に即した育ちの場を提供することが望ましいといえます。3歳児の発達段階を捉えても、自我の芽生えによる社会性の発達が著しく、この時期の環境が人格形成にも大きく影響を与えることに考慮する必要性があり、保護者のニーズや本市の財政状況を見極めながら、公立幼稚園における3歳児保育の検討もすべきであると考えるものです。

 この二つの問題は、今までの公私間の話し合いの経過もあり、伊丹市全体の幼児教育をどう展望するのかという議論も必要になってくるものであることはいうまでもありません。

 以上に対する見解をお伺いします。

(2回目)
2.教育長にお聞きした点

○中学校給食については、学校現場における「食の保障」に課題のある子どもたちに対する思いから、これまでの教育委員会としての見解を変え、中学校給食を検討課題とする立場に一歩前進させたと受け止めた。学校給食法の立場から、今後とも前向きに検討をし、実現させていただきたい。強く要望する。

○公立幼稚園のあり方については、特に預かり保育に対する保護者のニーズが高いこと、3年保育では3歳児から年齢に即した育ちの場を社会的に提供するという現代的な課題もあること等から、私立幼稚園の経験も踏まえ、検討をはじめることが必要と考える。保護者ニーズ、社会的課題に取り組まなければ、公立保育所の存在意義も消えてしまうのではないか。新たな公私の役割分担という観点も必要。

・これらのことを踏まえた上で、一校区一園制についても検討すべき。

2012年12月議会:上原ひでき 高すぎる伊丹市国民健康保険税

2012年12月議会 一般質問

日本共産党伊丹市会議員団 上原秀樹

「2.中学校給食、公立幼稚園の今後のあり方」はこちら

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1. 高すぎる伊丹市国民健康保険税に対する認識を問う

 国民健康保険会計については、市長から国民健康保険事業の健全化対策について諮問がされ、国民健康保険運営協議会で審議がされています。その資料によりますと、伊丹市の国保会計は、2011年度決算で約4億円の赤字で、前年度対比で約6億3,600万円改善。2012年度決算見込みでは、3億1,100万円の赤字となる見通しです。その主な理由は、一般会計から2年間で別途繰り入れを行ったことによるもので、累積赤字を一定解消することができたものです。2011年度に一般医療分の国保税の引き上げを行いましたが、一般会計からの繰り入れ増に関しては、党議員団として評価をしてきました。

 ところが、今後の国保会計の見通しを試算したとき、一定の財政健全化策を講じたとしても、2017年度(平成29年度)には、一般医療分と後期高齢分の合計で約60億円の赤字となる見通しが出されました。これを、2012年度末の累積赤字を解消し、今後5年間、毎年単年度収支を解消する税改定を行えば、5年間の増税額合計で53億3,500万円、最終年度の2017年度の国保税は平均して現在の1.5倍にもなります。国保税は現在でも負担の限度額を超えており、こんな値上げなどとんでもありません。

 伊丹市の国保加入者の実態は、平均所得は約90万円、所得なし層が全体の23.6%を占め、所得200万円未満の層が73.3%を占めています。その所得200万円の3人世帯の場合の国保税が、現在でも年額約35万円です。1.5倍となると52万5,000円、所得の4分の1以上が国保税に消えてしまい、生活保護基準以下の可処分所得しか残りません。

 伊丹市の国保加入者の73.3%が所得200万円以下、それらの世帯を中心に、国保税が伊丹市民の貧困を拡大していると言えます。もちろんこの実態は、伊丹市だけのものではなく、全国的なものです。国民健康保険法第1条では、その目的を「社会保障および国民保健の向上に寄与する」と定めていますが、国はその本来の目的を放棄しています。もともと国保加入者は、伊丹市の実態の通り、所得なし世帯、低所得世帯が中心で、公的医療保険のセイフティネットとしての役割を担い、1961年から続く皆保険制度を下支えしているものです。したがって当然のことながら国庫負担がそれなりに投入されなければ維持することはできません。しかし、国庫負担は1980年代から減らされ続け、国保総収入に占める国庫支出金の割合は、50%から25%を割る状況になりました。このことが国保税を引き上げ、自治体負担を増やす結果となったものです。

 したがって、国保加入者のいのちと生活を守り、社会保障としての役割を果たすことができるように、国に対する国庫支出金の増額を求めるとともに、伊丹市として何ができるのか、考えてみる必要があります。

そこで、次の点を市長にお伺いします。

1) 現在の伊丹市の国保税が、被保険者に耐えがたい負担を強いることで「国保が貧困を拡大する」実態に対して、どのような認識を持っておられるのでしょうか。

2) 今後5年間の収支見通しから、毎年単年度赤字を解消するために値上げを行い、5年後には国保税が現在の1.5倍になるという試算に対して、どうお考えなのでしょうか。

3) 今後の国による国庫支出金の引き上げの見通しはあるのか、また、一般会計からの繰り入れについては、今まで、収入未済額の2分の1の繰り入れを4分の3に、あるいは全額に引き上げることや、国保財政安定化支援事業の中に組み入れている条例に基づく一般減免の金額を別立てとすること、同時に条例減免の制度を充実すること、また土地開発公社に対して措置したような決算剰余金の一定割合を繰り入れる仕組みをつくることなどを提案してきましたが、一般会計からの繰り入れに対してどうお考えなのかお伺いします。

2012年9月議会:上原ひでき 伊丹市立伊丹高等学校普通科の通学区域のあり方について

2012年9月21日
日本共産党議員団 上原ひでき

1.1)産業活性化策、2)伊丹市産業振興ビジョンについて はこちら

1.3)伊丹市 農を活かしたまちづくり基本条例の制定について はこちら

2.伊丹市立伊丹高等学校普通科の通学区域のあり方について

 伊丹市学校教育審議会は、9 月12 日、「伊丹市立伊丹高等学校普通科の今後の通学区域のあり方について」答申書を提出されました。答申では、その通学区域は、県立高校普通科の通学区域に準じて設定することが望ましい、との結論を出しています。その理由は、県立高校と通学区域や選抜制度が異なれば、生徒の志望選択がより複雑化し、混乱を招くことが懸念されるとのことです。しかし、志望選択を複雑化させたのは、複数志願選抜制度を導入したことで、生徒の混乱を招き、さらに県立高校の通学区域を拡大させようとしていることが大きな原因ではないでしょうか。

 その答申書に主な意見が上げられています。「市校にいきたいという気持ちを持ってきている生徒が多くなったと感じる。学区の拡大は、それぞれ自分が行きたい学校に行く選択の幅が広がる」「伊丹の子どもたちが市校に行きにくくなるのではという不安があるが、県と一緒に選抜制度を実施してきた経緯は大切にしなければならない」などの意見が列挙されています。

 そこで、教育委員会はこの答申をどう受け止めておられるのかの視点でお伺いします。

①市立伊丹高校普通科の学区を現在のままにした場合、生徒にとって学校選択がどのように複雑になるとお考えでしょうか。

(答弁)

 現在の学区にした場合、市立伊丹高校だけが単独選抜になり、受験生にとって第2志望、「その他校」志望ができなくなり、志望校決定の際に迷い、混乱するとの意見が審議会の中で多数を占めた。教育委員会としても、単独選抜と複数志願選抜が並存することになり、より複雑化し、進路の選択の幅も狭まると考える。

②高校学区の拡大に関しては、様々な問題があることを指摘してきましたが、その中で、地域に根ざした学校という点で問題が生じるということも指摘してきました。市立伊丹高校は地域に根ざした学校を目指し、商店街の活性化等一定の役割を果たしています。伊丹の生徒が市校に行きにくくなるということと、県立高校の学区にあわせるということ、この二つを天秤にかけて、県といっしょに選抜制度を実施してきた経緯を大切にしたいとの結論になったことに対する見解をお伺いします。

(答弁)

 市立高校の在籍生徒が本市の住民であるかどうかにかかわらず、地域との交流を大切にする教育を展開していく。受験生の選択の幅を狭めることがないようにするため。

③商業科の学区が県内全域なのに伊丹の生徒の割合は変わらないことから、伊丹市内の生徒の入学する割合が減少することを心配する必要はない、との意見がありますが、それならなぜ、学区を拡大する必要性が出てくるのでしょうか、この件に関する見解もお伺いします。

(答弁)

 審議会で、学区が広がることによって市校で学びたいという生徒が市内外から多く集まれば、市校の活性化にもつながるという意見があった。市立伊丹高校が学び隊学校として、より多くの生徒が第1志望校に選択する学校になるよう、更なる特色化・活性化に取り組んでまいる。

(2回目の要望・意見)

 現在は答申の段階で、教育委員会で決定されたものではないことから、質問ではなく、意見を一言。

・もともと通学区域の拡大には反対の立場・・・学区拡大の目的は、拡大された学区における高等学校の序列化を進めることになり、そのことで学校選択の競争を激化させるとともに、通学困難・経済的負担の増大や他の県に見られるとおり統廃合の進行という問題が生じることになる。すなわち、よくできる子と経済的に余裕のある子どもは選択肢が広がるが、ほとんどの子どもの教育にとってメリットは見出せない。

・では市立伊丹高校はどうするのか。「複雑・混乱」というけど、県立伊丹北校が単独選抜になっていることで、混乱しているわけではない。第2志望、その他校の選択がなく、高校にとって定員割れの可能性と、子どもの選択に幅がなくなるというデメリットがあるということ。

・選択肢は、県の通学区域に合わせて、高校の序列化の進行に身を投じ、子どもと高校の競争を激化させるのか、それとも、市立西宮のように、わが町の子どもはわが町で育てるという立場に立って、思い切って単独選抜を選択し、市立伊丹高校の教育改革を行うのか。

・いずれにしても、教育委員会で十分議論をしていただきたい

2012年9月議会:上原ひでき 農を活かしたまちづくり基本条例の制定について

2012年9月21日
日本共産党議員団 上原ひでき

1.1)産業活性化策、2)伊丹市産業振興ビジョンについて はこちら

3)伊丹市「農」の振興プランの(仮称)農を活かしたまちづくり基本条例の制定について

 伊丹市「農」の振興プランにおける「戦略プロジェクト」の第1 項目に、「(仮称)農を活かしたまちづくり基本条例の制定」があげられています。ここでは、伊丹市としての「農」に対する考え方を示し、個別の施策を位置づける内容にするとして、2011 年度に専門委員会等による条例の枠組みを検討し、2012 年度では庁内会議等で条例案を検討、2014 年度、平成26 年度には条例制定・施行という計画となっています。

 この問題で、今年の予算特別委員会で進捗状況をお聞きしたところ、そう簡単にはいかないと述べられました。それは、所有者が個人である農地を、条例の中に位置づけてどう活用していけるのか慎重に検討しなければならないこと、また市長からも、市民全体のコンセンサスとして条例化する上で様々な問題があること、具体的な施策としてどこまで盛り込めるのか等々検討課題があり、こういう条例をつくりますというところまでまだ至っていないのが現状、との答弁がありました。

 私は、条例に関して言えば、工業も商業も農業も地域内経済循環を図る上で重要な要素であり、それらを含めた産業振興基本条例を制定すべきであるということを発言してきました。

 この件に関しては、伊丹市には産業界の機運がないなどの理由で制定の意思はないという答弁を繰り返しいただいています。

 今回、農地を守り都市農業を発展させるために、その考え方を明確にし、その上で個別の施策を位置づけるという基本条例制定は、意義のあることであると考えます。 そこでお伺いします。

①市長は、都市農業に対する考え方には同じであるとしながらも、「条例化するということを目指して努力してまいりたい」と答弁されました。

 基本条例を制定するということは、第5 次基本計画において「市民が広く親しみ支える『農』のあるまちづくりを進めます」とされ、このことに基づいて伊丹市都市農業振興計画に位置づけられている内容です。しかも戦略プロジェクトの最初に位置づけられ、すべての基本施策を関連付け、施策推進を図るためのものとなっています。したがって、都市農業振興計画を策定される際には、十分議論があって決定されたものと考えるべきものであります。懇話会による提言をどうするかという議論ならまだしも、いまさら答弁にあった議論がされるということは想定しにくいことです。どういう過程で「そう簡単にはいかない」ということになったのか、お伺いします。

(答弁)

 条例制定を検討するに当たり他市の状況を調査する中で、先に条例を制定して農業振興計画を策定している。伊丹市においては、野焼きや肥料散布など必ずしも市民の理解を得られていないという現実もあること。このことから引き続き慎重に検討していく。

②計画では、専門委員会等における検討、庁内会議となっていますが、このスケジュールをどうのように変更するのか、条例制定をいつまでにされようとされているのか、お伺いします。

(答弁)

 他市の状況を引き続き調査を進めているところ。どういう形でどういうところまで規定できるのか、また長期的視点に立った本市における「農」に対する考え方をどう整理することができるのかなどの検討がある。今後のスケジュールを示すことはできないが、できるだけ早く条例化していきたいと考える。

(2回目)

・3 月議会の議論のままで止まっている。ウメ輪紋ウィルスという大問題が発生してそこまで手が回らないのか、それともまったく行き詰まったのか。ウメ輪紋ウィルスの発生前から議論は止まっているのではないか。

○本来、提言に基づきいろいろ議論されて行政計画として決定されたことなのでスケジュールどおり進めていくべきもの。しかし、計画を推進していく上で、様々な問題が生じたとき、いつまでも行政内で議論していても始まらない。

 この計画の推進のために、(仮称)伊丹市「農」の振興プラン推進会議を設置するとされている。そこで議論する必要があるのではないか。

(答弁)

 「(仮称)伊丹市「農」の振興プラン推進会議」を設置し、できるだけ早期に条例制定についての議論を行っていく。

2.伊丹市立伊丹高等学校普通科の通学区域のあり方について はこちら

2012年9月議会:上原ひでき 産業活性化策、伊丹市産業振興ビジョンについて

2012年9月21日
日本共産党議員団 上原ひでき

1)地域内経済循環に視点を置いた産業活性化策について

 まず「活力ある地域産業の振興と創出」の共通課題とされた、地域内経済循環に視点を置いた産業活性化策についてです。2010 年3 月議会で、この考え方を質した答弁で、「物づくり企業の面では地域の横の連携による技術開発や共同受注、下請でなく横請け関係を推進すること、商業の面では、個店だけで取り組むのではなく、商店会、商店街組織として、あるいは複数の商店会が連携して業種を超えた顧客サービスや共同仕入れ、共同販売などへの取り組みを進めることなど、地域で産業がつながっていくのではないかと考える。その取り組みの中で、地域の中で取引や投資、雇用が生まれ、お金が循環していくという地域内での経済の活性化、循環が進んでいくのではないかとする考え方である。その課題として、地域とはどの範囲であるのか、その範囲のとらえ方の点、また、産業として、商工業だけでなく、農業やサービス業などを含めて、どう業種をとらえていくかという点などについては、専門的、学術的な産業連関分析が必要となり、さらに根本的には産業界自体にそのような方向性への機運がなければ取り組むことができません。今後、地域内経済循環という考え方については、産業界や個々の事業者の方、市民の方々等のお考えをお聞きしながら具体的な検討を進めてきたいと考えている」とされました。

 私は、いかに持続的な地域経済発展の仕組みをつくるのかという問題に関して、そこに求められているのが、地域に密着した多くの中小企業、事業所あるいは農家等に所得が生まれてくるという視点での仕事起こし、福祉や環境分野も含めた「人間の再生産」と地域の持続性を踏まえた新しい産業政策が求められているとの考え方から、「地域内経済循環に視点を置いた産業活性化策」の考え方を評価しており、この立場から発言をしてきました。
 そこで、当時答弁されたこと、すなわち、①専門的、学術的な産業連関分析が必要であるとされたこと、②産業界や個々の事業者の方、市民の方々等のお考えをお聞きしながら具体的な検討を進めていくとされたこと、この二つに関して、どのように進められてきたのかお伺いします。

(答弁)

①産業の構造を把握するためには、生産する財・サービスが対象とする地理的範囲によって大別することが適切。これによると、域外市場を志向する「域外需要」と域内市場を志向する「域内需要」に大別できる。

②小・工業者、地域住民それぞれが主体となって、同業種種、異業種がともに様々な交流や情報交換等を深めることで、地域産業の基盤強化、地域経済の活性化が図られ、地域内経済循環が確立できる。その立場で、様々な施策を展開してきた。

次に、以上のこととも関係すると考えますが・・・

2)伊丹市産業振興ビジョンについて

①アクション・プログラムの中に、「事業所訪問による支援活動の推進」という項目があがっています。ここでは、「経営・技術上の課題の解決や企業間・産学官連携の促進等を図ることを目的として」、企業訪問活動を実施するとされています。

 私はかつて、墨田区が中小企業振興基本条例制定の過程で、事業所の悉皆調査を区役所の係長級職員180 人によって行い、職員自身が中小企業・商業関係事業所の実態を把握し、必要な振興策をつくりあげた経験を取り上げ、伊丹市としてもその実態を調査することとともに、条例の制定を求めました。その後、政府の雇用対策関係経費を使って調査が行われ、ベータベースとして蓄積されています。しかし、その調査結果がどのように伊丹市の中小企業施策に生かされているのかということを考えると、十分ではありません。
 そこで、今回の調査は「事業所の実態を正確に把握」するとされていますが、具体的にどのような調査が行われているのか、今後の施策にどう反映されるものなのか、伊丹市の職員も調査に参加すべきと思いますが、その点についてもお伺いします。

(答弁)

 経営・技術上の課題の解決や企業間・産学官連携の促進を図ることを目的として、産業支援活動推進員による企業訪問活動を実施している。今年度から商工労働課職員も企業訪問を始めている。月1回推進委員からの報告会を開き、意見交換をしている。

②計画の検証と推進管理の体制

 アクション・プログラムでは、ビジョンの検証は市と商工会議所が連携して取り組むとされています。来年度が中間年度の検証の年となりますが、少なくても産業振興ビジョン策定懇話会、もしくは中小企業対策委員会で検証を行い、広く市民・事業者の声を反映させる必要があるのではないでしょうか。このことは、地域内経済循環という考え方について議論を深め、市民といっしょに考える機会ともなると考えますが、見解をお伺いします。

(答弁)

 ビジョン検証については、市と商工会議所だけではなく、「中小企業対策委員会」でも検証を加えていただき、有効なビジョンとして産業振興に活用していく。

(2回目)
・1980 年祭後半以降の多国籍企業の発展 → 生産拠点が海外に移転することによって、国内拠点が閉鎖、縮小し、「産業空洞化」問題が生じている。 → 「人間の生活領域としての地域」と「資本の活動領域としての地域」の乖離・・・具体的には大企業が地域から撤退・縮小することで雇用の場が奪われ、地域経済に悪影響。

・超大型商業施設の進出 → 身近な商店・商店街の疲弊、空き店舗の増加、消滅

→ 歩いて買い物にいける商店がなくなった。

・・・国による規制緩和の弊害

・住民が地域で暮らし続けるためにも、その地域において産業活動が持続的に行われ、雇用と所得が再生産されなければならない。 → 地域内経済循環

・したがって、地域内経済循環には、誘致した新たな企業も、外部から進出してきている企業の分工場や支店も、また大型商業施設も、大企業も、銀行も、雇用や地域へ投資することで、大きな役割を果たしていただく仕組みが必要。

①そこで、「産業界や市民等の考えをお聞きしながら検討を進める」とされたことに関して、具体的には一部において地域内経済循環の方向に進んでいる事実もあることから、商・工・農いっしょに改めて伊丹市の考え方を検討する、懇談会なり、研究会なりを開催することが必要ではないか。一度開催したからそれでいいというものではないが。

(答弁)

 地元の農産物を活用した伊丹酒かすカレーなどの新商品を開発してPR に努めて、農商工の連携を推進している。今後とも検討回答で農業関係者の意見を踏まえた産業振興を図っていく。

②産業振興ビジョンの検証の場・・・年1 回の中小企業対策委員会に報告するとのこと。ビジョンを策定した委員や中小企業対策委員会も、さらには異業種交流など具体的な取り組みをされている人たちや職員、一般市民なども含めて、地域内経済循環という支店から検証・議論をする必要があると考えるが。

(答弁)

 検証の場は「中小企業対策委員会」を考えており、そのメンバーには、「ビジョン策定懇話会」の会長、工業部会長、商業部会長を始め消費者団体からの委員等に再度、「中小企業対策委員会」の委員に加わっていただく他、市民代表や市職員、商工会議所も含め、議論をしていきたいと考える。

1.3)伊丹市 農を活かしたまちづくり基本条例の制定について はこちら

2.伊丹市立伊丹高等学校普通科の通学区域のあり方について はこちら

2012年9月議会:上原議員 損害賠償事件に係る和解について

議案第121号 損害賠償事件に係る和解について

 議案となっている傷害事件とは、2009年10月4日、北中学校の生徒が暴行を受けて死亡した事件。被害者の原告らが、伊丹市に対しては、暴行事件を未 然に防止するための適切な措置を講じてこなかったとして、損害賠償を求めたもので、その損害賠償事件にう関して、和解案が示されたものです。

 その和解案では、伊丹市に対する損害賠償を放棄すること、伊丹市は、原告に対し、哀悼の意を表すこと、このような事件が2度と起きないように、生徒の安全確保に最善を尽くすこと、心の教育や生徒指導体制の充実を図るとされています。

 質疑では、伊丹市、教育委員会の今後の対策について伺います。

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2012年9月11日
日本共産党議員団 上原ひでき

 

2.議案第121号 損害賠償請求事件に係る和解について

 本損害賠償請求事件は、2009年10月4日、北中学校の男子生徒が、生徒から暴行を受けて死亡した事件に関して、被害者の両親らが、伊丹市については、暴行事件の発生を未然に防止するための適切な措置を講じなかったとして、損害賠償を求めたもので、本議案においてその和解案が示されています。この事件は決して忘れることのできないものであり、改めて二度とこのようなことが起こらないよう対策をとることが求められています。そこで次の点をお聞きします。

 1)和解案(3)においては、このような事件が二度と起きないようするため、学校の教育活動における取り組みについて、生徒の安全確保に最善を尽くすとともに、心の教育の推進、生徒指導体制の充実を図るとされています。短い言葉で意を尽くしていない点もあるのではないか、と考え、具体的取り組みにについてお聞きしたいと思います。

①このような問題を考える場合、問題行動を起こす生徒の要因のもっと奥にある子供をめぐる状況を見ることが必要です。子供が問題行動起こしたり不登校になったりする背景には、社会のひずみによって抱え切れないほどのストレスと生きづらさがあるという問題です。この件については、2010年の代表質問で見解を伺い、答弁で、家庭においては核家族化や少子化、リストラや派遣切り、離婚やDVなどの家庭問題、学校においては、人とコミュニケーション不足などをあげ、子どもの姿はある意味において大人社会を反映しているとして、教育委員会と学校、家庭、地域がそれぞれの責任を果たしていくことが肝要であるとされました。

 それでは教育委員会と学校が責任を果たすとは何であると考え、これまでどのような取り組みを行い、今後何を改善、強化されようとしているのかお伺いします。

答弁

 教育委員会と学校が果たす役割は、未然防止と早期発見・早期対応と取り組みが重要。

 学校は問題を隠すことなく、教職員が一体となって対応し、教育委員会は、必要な指導・助言を行ないながら学校が適切に対応できるようサポートする体制を整備すること。

 事件10日後に「伊丹市少年非行防止対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、問題点を整理、今後の課題を明確にして取り組んでいる。

②次に、和解案に書かれている、「生徒の安全確保に最善を尽くす」ために何が必要かという問題です。その一つが教員の多忙化を解消して子どもに向き合う時間を増やすことにあると考えます。生きづらさを抱える子供、困難な家庭がふえ、さまざまな子供の問題行動が出てくる中で、教員のやるべき仕事は一段とふえています。教員がゆとりを確保することこそが子供の健やかな発達・成長に必要であることは言うまでもありません。そのためには教員の増員、少人数学級の拡充が求められています。

 今回の大津市のいじめ自殺事件に関する国会での質問に対して、平野文部科学大臣は「教員が多忙であるのは否定できない」と認め、「子どもと向き合う時間を大きく取れるようにするため、定数の改善をしていかなければならない」と述べています。

 伊丹市行政において、生徒の安全確保に最善を尽くすための基盤整備対策として、国・県に対しても、さらには伊丹市独自にも、この立場が必要ではないかと考えますが、その認識を伺います。

 また、現状の中でも教員が子どもと向き合う時間を増やす取り組みをどのようにしようとされているのかについても伺うものです。

答弁

 教員の定数改善については、兵庫県都市教育長協議会において改善要望をしている。
 国に対しても少人数学級の推進を申し入れている。
 伊丹市としては、学力向上や特別支援教育、生徒指導等、それぞれの目的に応じて市費による加配教員を配置している(スクールカウンセラー、生徒指導ふれあい相談員、スクールソーシャルワーカーなど)。教職員の多忙化解消に向けて、ノー残業デイやノー部活デイの実施、公務のIT化、PTA等外部人材の活用などに取り組んでいる。

2回目の発言メモ

2.損害賠償請求事件に係る和解について

①教育委員会、学校にできること

・二度とあのような痛ましい事件によって命を落とすことがあってはならない、と様々な取り組みをやってこられている。

・2010年3月議会での教育長答弁…社会現象のひずみが形となって青少年の問題行動に現れている。そのため子どもたちは、心の悩みや不安、多くのストレスを抱え、ストレスのはけ口として安易な行動に走っている。社会のひずみを嘆いていても・・・

・「ならぬことは、ならぬものです」といってみても、子どもたちが抱えているストレスから逃れることはできず、かえってストレスを感じる社会状況にある。大人の毅然とした態度は、もちろん必要だが、このことばがこころに響くような、子どもと他者との関係づくりが、学校、家庭、地域でつくれるのかどうか、そのために教育委員会、学校に何ができるのか。
 子どもにとってもストレスの多い社会の中で、そのストレスを解消できる場をつくること。
②子どもと向き合う時間の確保
・市独自にでも、スクールソーシャルワーカーの配置や、加配教員を配置されていることには、評価したい。

・しかし、学級の人数を減らすこと、すなわち教員の定数改善がもっとも大事。

・教職員の多忙化解消、勤務時間の適正化には一定の努力はされていると思うが、実際には仕事があれば残らざるを得ないし、家に持って帰ってでもやらざるを得ないのが現状でしょう。やらなければならない仕事が減ったわけではなく、逆に授業時間が増えたためにその準備の時間が増えているのでは。

・答弁では、問題行動への対応では「未然防止と早期発見・早期対応」が重要と。それには教員が余裕を持て子どもに接すること。そのために教育委員会と伊丹市行政がその条件をつくること。

2012年9月議会:上原議員 虐待防止に係る体制が強化について

議案第94号 平成24年度伊丹市一般会計補正予算(第2号)

 障害福祉総務費における補正で、「障害者虐待防止センター」の設置が行われます。補正予算はわずか59万7千円です。これは、今年10月1日に「障害者虐待防止法」が施行されることに伴うものですが、「センター」設置によってどのように虐待防止に係る体制が強化されるのか質疑を行います。

2012年9月11日
日本共産党議員団 上原ひでき

1.議案第94号 平成24年度伊丹市一般会計補正予算(第2号)

 お伺いするのは、本補正予算の歳出のうち、第3款民生費、第2項障害福祉費、第1目障害福祉総務費において、「障害者虐待防止センター」を障害福祉課内に設置し、虐待の未然防止や早期発見、迅速な対応、その後の適切な対応を行うため、支援体制の整備や地域における関係機関等との協力体制の強化を図るとして、59万7千円を措置しようとされていることについてであります。
 これは、今年10月1日より、「障害者虐待防止、障害者の擁護者に対する支援等に関する法律」が施行されることに伴うものであります。

 この法律により、「市町村は、障害者の福祉に関する事務を所管する部局または市町村が設置する施設において、当該部局または施設が市町村障害者虐待防止センターとしての機能を果たすようにするものとする」とされ、このことで伊丹市は、障害者虐待防止センターを設置し、虐待の通報や届出を受理し、相談、指導および助言を行うこととともに、啓発活動を行うことになります。
 今回の補正予算提案における説明で、「センター」設置による事業概要は、①連携協力体制整備事業②家庭訪問等個別支援事業③専門性強化事業④普及啓発事業、とされています。この件についていくつかお聞きをします。

1)今回の法律施行により、本格的に障害者虐待防止等の事業を行うこととなります。

 しかし、いままでも障害者への虐待に対する相談等の対応はされてきていると思われます。例年虐待の通報や相談等は何件くらいあり、それに対する対応をどのように行ってこられたのか。そして今回のセンター設置で、どのように抜本的に対応が強化されるのか、お伺します。

(答弁)

 虐待の相談件数は、虐待の定義が明確でなく、正確な統計は存在しないが、年に3回程度が相当する。

 虐待への対応の強化として、①働く障害者に対する使用者による虐待も対象になる、②市民の通報の努力義務、通報先を明確化、③市町村に障害者虐待防止センターを設置、④し画虐待を受けているもののところへの立ち入りや調査ができるように立ったこと、虐待を事前に防止するための取り組みなど。

2)今回の補正予算内容は、主に(仮称)「障害者虐待防止連絡会」の設置に伴う委員報酬、啓発のためのパンフレット作成と市民向けセミナーに対する財政措置となっています。しかし、事業概要にある家庭訪問等個別支援事業等を行ううえでは、専門的知識を有する職員の確保とそのための財源も必要となると考えるものですが、今回は措置されていません。

 いままでの体制で十分なのか、今後の専門職員の確保等体制の強化をどう考えるのでしょうか。

 また、養護者による虐待を受けた場合、必要な居室を確保するとされていますが、今後どうされようとされているのでしょうか。あわせて、これらに対する国の財源的支援はどうなるのかお伺します。

(答弁)

 専門職員の確保については、現在、社会福祉主事、社会福祉士、精神保健福祉士などのケースワーカーを配置している。今回のセンター設置でどの程度相談件数が増加するのか不明であるため、現職員体制で臨むことにする。
居室の確保は、市内の短期入所事業所に理解を求め、協力してもらう体制を整える。

 国の財政的措置は、家庭訪問等個別支援事業等は1/2、普及啓発事業は定額補助で上限50万円。3)障害者虐待防止法では、養護者、障害者福祉施設従事者、使用者に対する規定と、学校、保育所等、医療機関に対する規定が異なり、これらの施設での虐待について自治体への通報や救済の対象とせず、研修や虐待に対する相談体制の整備にとどまっています。

 しかし、医療機関等での虐待がかつて問題となったこともあり、法的な権限がないということで、対応しないということはできません。通報を受けた場合の伊丹市の対応がどうなるのか、お伺いします。

答弁

 学校、保育所等、医療機関においては、障害者虐待を発見しやすい立場にあることを自覚して、早期発見に努めるとされている。そこでの障害者虐待に対する権限行使は、それぞれに対応した法律等によって対応される。

2回目の発言メモ

1.一般会計補正予算…障害者虐待防止センター

○あらたな法律に基づく「センター」はどういく役割を果たしていくのか、そのためにどんな体制をつくるのか。

・3月議会の答弁「障害者虐待防止センター機能を十分に果たすためには、速やかな対応ができる体制づくりと支援を適切に行えるよう専門的に従事する職員の確保が必要であり、そのための財源も必要となってまいります。今後、国庫補助の活用を基本とした補正予算対応も念頭に置きまして、障害者虐待防止センターの体制整備を進めてまいりたいと考えております。」

・速やかな対応ができる体制づくりとは

虐待防止法第4条・・・地方公共団体に「虐待を受けた障害者の迅速かつ適切な保護」や「必要な体制の整備」を求めています。

第35条・・・市町村へ「養護者による障害者虐待に【いつでも迅速に対応する】ことができるよう、特に配慮しなければならない」と定めています。

 こうした法の規定からは、厳密に24時間365日の対応までは求められないとしても、できる限り「いつでも迅速に対応する」ことができる体制を整えることが求められます。仮に平日の勤務時間のみ対応する虐待防止センターとなった場合は、違法とまではいえませんが、非常に不適切であるといえます。

・支援を適切に行えるよう専門的に従事する職員の確保とは

 

2012年8月:上原ひでき (仮称)地域提案制度の今後の進め方について

市民自治部まちづくり推進室より
【(仮称)地域提案制度の今後の進め方について】説明がありました

2012年8月3日
日本共産党伊丹市会議員 上原ひでき

 地域提案の仕組みを進めるため、自治会連合会三役会・ブロック長会議でその制度のあり方が議論されています。

 内容は、小学校区単位の地域組織における課題等を地域内組織で協議し、取りまとめの上、市に提案して、予算編成に反映する仕組みということです。例えば、道路・公園・水路などの都市基盤施設の維持・保全などや自転車等の安全対策など、緊急性を要するもの以外が対象となり、一小学校区5~600 万円を考えているとのこと。

 問題点として、①通常の道路・公園当の保全予算が削減されることはないのか・・・通常の予算とは別枠で予算措置をしたいとのこと、②地域組織での意見の集約・取りまとめは地域組織にゆだねられると思うが、民主的で公正な手続きを行う制度上の担保はされるのか・・・地域で議論をして決めていく過程を大切にするとのこと。③緊急性のあるものは対象外とするとのことだが、都市基盤整備は伊丹市行政が責任を持っている。「地域のことは地域で決める」ということと、行政の責任ということをどう考えるのか。すべての地域で公正・公平に提案ができるのか。・・・?

 「地域力」とは「問題解決力」が大きな要素と考えます。したがって、その地域で問題となっていることを、地域住民組織が民主的な議論を通して解決すること、その力をつけることが大切です。地域エゴや自己主張のみに走っていては解決できません。お互いの意見を尊重し、論点をきちんと整理して議論を行い、全員の合意で物事を決めていくことが望ましいと思うのですが、なかなか・・・。

 しかし、「問題解決力」をつけるという点では、地域提案の仕組みづくりは一つの方法とも考えます。

 一方、伊丹市における都市基盤施設の維持、保全、整備や安全対策は伊丹市当局が責任を負っています。住民からの要望や市独自の点検により、優先順位をつけて整備等を行うのが伊丹市の仕事です。そのことと地域組織での要望をどのように結びつけるのかが課題となるでしょう。身近に地域で生活している住民の声が反映しやすくなるということ、地域住民の問題解力をつけるということを合理的に制度の上でつくるということは、方向性としては良としますが、簡単なことではないと思います。