「公務員への『しんぶん赤旗』の購読状況等の実態調査を求める陳情」並びに一部の議会 で庁内での職員の「しんぶん赤旗」購読に関する質問が行われていることに対する見解

2014年6月12日

日本共産党伊丹市議会議員団
団長 上原秀樹 
議員 加柴優美 
議員 久村真知子
事務局長 服部好廣 

(1) 全国の議会に、日本会議地方議員連盟に所属している小坪慎也福岡県行橋市議から、「地方自治体における政党機関紙『しんぶん赤旗』の勧誘・配布・販売について自治体独自での実態調査並びに是正を求める陳情」、「地方自治体における政党機関紙『しんぶん赤旗』の勧誘・配布・販売について(全国的な)実態調査を(国に)要請する決議を求める陳情」と関係資料が郵送されています。

 これは、産経新聞の意図的なキャンペーンも背景にしながら、各地で右翼的な議員が行っている『しんぶん赤旗』攻撃の一環です。今回の「陳情」の仕掛け人である行橋市議が自身のブログで「市議1議席で・日本共産党(政党全体)を振り回してガタガタにして見せますっ!河野談話の検証・憲法解釈の変更に際し、左翼勢力からの攻撃に対して、敵戦力を分散させることで側面支援してみますっ♪」などと述べていることからも明らかな通り、この「陳情」にはひとかけらの大儀も道理もなく、自治体、議会を反共と反動の党派的意図でもてあそぶものです。

 「陳情」の内容は、憲法で保障された個人の思想・信条の自由、政党の政治活動の自由を根本から侵害し、憲法違反の実態調査を求めるものであり、議会として審査の対象とするのにふさわしくないものです。

(2) 「陳情」では、行橋市議会や鎌倉市議会での議会質問の「事例」を持ち出していますが、事実と異なる内容となっています。

 行橋市議会に関しては、問題の市議が、昨年の12月議会で「日曜版配布後の職場は『赤旗』まみれ」などと取り上げ、3月議会でも「『赤旗』の庁舎内の販売(配布・徴収)について」質問しました。しかし・総務部長は、「前回12月議会での指摘を受けて、私自身、庁舎内を点検・巡回したが、ご指摘のような事実は認められなかった」と答弁したため、同市議は質問を続行できず、次のテーマに移って終わったという状況です。

 また、全面禁止を決断した「事例」として鎌倉市を持ち出していますが、これは、産経新聞が4月5日付で、「『赤旗』の勧誘市庁舎内禁止鎌倉市『職務の中立性重視』」という記事を載せたことを利用した攻撃です。日本共産党鎌倉市議団は、この報道に対しただちに、「政治活動の自由、市職員の思想・信条の自由、新聞購読の自由はなんら禁止されていません」との見解を発表し、議員団のホームページに載せました(裏面)。12月議会で市長が政治活動の規制の検討を表明したものの、憲法に反する規制は行うことができず、個人情報を取り扱う執務室内の規制にとどまらざるを得なかったのが事実です。

 いずれにしても、憲法で保障された正当な政治活動の自由、職員の思想・信条の自由、新聞購読の自由は、侵害することはできません。

以上

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日本共産党伊丹市会議員団の「見解」で引用した、日本共産党鎌倉市会議員団の「見解書」

職員の思想・信条の自由、新聞購読の自由はなんら禁止されていません

事実と異なる一部新聞報道について

2014年4月5日
日本共産党鎌倉市議会議員団

1、4月5日付の産経新聞で「赤旗の勧誘市庁舎内禁止」「鎌倉市『職務の中立性』重視」との見出しをたてた記事が掲載されました。これは、事実と異なるものです。政治活動の自由、市職員の思想・信条の自由、新聞購読の自由は、なんら禁止されていません。

1、「『職務の中立性』重視」を産経は「理由」としていますが、市当局は、今回、「情報管理と安全確保の観点から」を理由として「執務室内での物品の販売の禁止」をしたというのが事実です。松尾市長も党市議団の申し入れに対し、(職員が)「各政党のことを全部読んで、それをきちんと吸収したうえで市政をすすめていくことは良いことだと思うので、そこの禁止は全くできないこと」と答えています。この問題を質問した自民党議員でさえ、「職員の自由意思は尊重したい。読むなとは言っていません」と発言していたものです。

 また、「市庁舎内禁止」との見出しについても、市民の個人情報の管理や安全にかかわる「執務室内」に限定したのが今回の市の方針であり、市庁舎内すべてで禁止などということも、事実と異なります。さらには、庁舎管理規則は、議員の政治活動であることをもって禁止するルールでないことは、議会答弁で明確にされています。

1、今回、自民党議員の質問に始まった一連の経過にもかかわらず、憲法で保障された正当な政治活動の自由、職員の思想・信条の自由、新聞購読の自由は、侵害することはできないということを、あらためて明らかにしておくものです。

2014年6月議会一般質問:上原ひでき ルネサスエレクトロニクスのリストラから雇用と地域経済を守るために

2014年6月11日

日本共産党議員団 上原秀樹

「1.生活困窮者自立支援法に伴う諸問題」はこちら

2.ルネサスエレクトロニクスのリストラから雇用と地域経済を守るために

1)リストラの内容、働く人たちの生活と雇用・地域経済への影響に対する見解を伺う。

 半導体大手メーカーであるルネサスエレクトロニクスは、これまで毎年のようにリストラを行い、2万人に超える人員削減を強行してきました。そして今年1月に新に大リストラ計画を発表しました。その内容は、「国際競争力強化」を理由に、2015年度末までに、社員5400人を削減、賃金制度改定で人件費100億円削減するというものです。

 人員削減は、早期退職の募集、社外への転籍などとしていますが、2015年9月に北伊丹事業所を閉鎖するとして、関東の事業所に関連企業も含めて1600人もの大量転勤を命じ、応じられない人を退職に追い込もうというものであります。

 このことが実施されるならば、転勤できない人の生活に対する多大な影響だけではなく、周辺地域の経済にも重大な悪影響を与えます。職場からは、子育てや親の介護などで移動できないなどの声が上がるとともに、「いくら会社の説明を聞いても武蔵に集約する合理性が見えない」「これまで懸命に積み上げてきた技術はどうなるのか」「転勤しても、行った先でまたリストラになる、信用できない」と、厳しい批判の声が上がりました。

 一方、ルネサス北伊丹事業所の前身である三菱電機は、瑞ヶ池を埋め立てて建設した、伊丹市の誘致企業です。様々な優遇を受けてきた企業が「国際競争力強化」を理由に、事業所閉鎖などで労働者と地域、住民にしわ寄せすることが許されるのでしょうか。労働者、地域住民の雇用と生活を守ることは、最も基本的な企業の社会的責任です。ルネサスの設立母体である三菱電機の社会的責任も問われなければなりません。

 そこで、伊丹市としてのルネサスの今回のリストラの内容、働く人たちの生活と雇用・地域経済への影響に対する見解、並びに、伊丹市として誘致した企業が撤退することに対する行政の考え方、空港を「売り」にして企業誘致を行っている立場からこの事態をどう見るのかについての見解をお伺いします。

2)兵庫県、伊丹市、県労働局との協議の内容について

 「ルネサスのリストラから雇用と地域経済を守る連絡会」は、4月30日、兵庫県と伊丹市に対して「雇用と地域経済を守るための要請書」を手渡して懇談しました。石井孝一・県産業労働部長は、「雇用問題については、影響を少なくしていくために、市と労働局と連携をとりながら最善の努力をしたい」とされるとともに、松村隆・伊丹市都市活力部長も、県と連携するとして5月中に話し合いを持ちたいとされていました。

伊丹市として、県、労働局と連携をして雇用と地域経済を守るためにどのような最善の努力をされようとされているのでしょうか、お伺いします。

【2回目】

2.ルネサスエレクトロニクスのリストラから雇用と地域経済を守るために

1)リストラの内容、働く人たちの生活と雇用・地域経済への影響に対する見解。

・答弁では、「市としては到底受け入れがたく、説明を聞いて、はいわかりましたといえることではない」と答えたとされている。これは当然のことで、「国際競争力強化」の名のもとに事業所閉鎖で、関連企業を含めた1500人をリストラするものだから。

・ルネサス自体は売り上げも営業利益も伸ばしている。

・産業革新機構が約70%の株を所有し、リストラの先導役を果たしている。

2)兵庫県、伊丹市、労働局との協議

・国も含めて、兵庫県と伊丹市は、住民に就業と生活を保障する自らの責任とともに、大企業にその社会的責任を果たさせていく政治的指導責任も、自覚的に取り組む必要がある。その対象は、ルネサスだけではなく三菱電機も。

① 従って、今回のリストラに関しては、リストラによって被害をこうむるであろう地域住民や業者、自治体に対して、十分な説明責任と補償責任を取るよう要求するとともに、地域経済への影響について当該企業が積極的に協力するよう求めていく必要がある。

 この点についての見解を伺う。

② 家族の事情等で転勤できない人に対して、「工場閉鎖のための従業者の出向・移籍による労働移動の支援」を県とも協力して進めると答弁。もともと企業には、従業員の雇用と家族の生活を守る責務があり、それこそが企業の社会的責任の核心をなす問題。

・そもそもルネサスは、答弁でもあったとおり、半導体産業の国内での規模縮小の中、三菱電機等がその部分を切り離して設立したもの。方や三菱電機は、売り上げも営業利益も内部留保も大きく伸ばしている。労働移動の支援に関して、その設立母体の三菱電機の社会的責任も問われなければならない。

・そこで、先ほどの答弁に関して、「出向・移籍による労働移動の支援」という点では、三菱電機に対する働きかけも必要と考えるが、見解を伺う。

「3.公共施設の再配置計画-保健センターと職員会館機能について」はこちら

2014年6月議会一般質問:上原ひでき 公共施設の再配置計画-保健センターと職員会館機能について

2014年6月11日

日本共産党議員団 上原秀樹

「1.生活困窮者自立支援法に伴う諸問題」はこちら

「2.ルネサスエレクトロニクスのリストラから雇用と地域経済を守るために」はこちら

3.市役所南館の解体を目前にして公共施設の再配置計画での残された課題整理を-保健センターと職員会館機能について

 2007年5月に示された「公共施設再配置計画」に関しては、様々な議論を経ながらも、(仮称)児童発達支援センターの建設のための市役所南館の解体が間近に迫り、「計画」の実現に向けて後残された課題もわずかとなってきました。

 現在の南館は、保健センター機能とともに、児童発達支援センターの一部機能、職員会館機能として活用されており、その機能の移転先の決定が急がれています。

 そこで、

1) 保健センターの事務所をどう確保されようとしているのかお伺いします。

2) 職員会館機能については、防災センターを旧図書館に設置する際に議論があり、新たにできる防災センター内に入ることも踏まえて検討するとされていました。そこで、そもそもどんな機能を残すことを想定していたのか、また、現在はどんな機能が必要と考えるのか、さらに、もともと防災センターの場所にその機能を持ってくる計画であったのに今の防災センターが完成した後、なぜそこに移転しなかったのか、防災センター以外の別の場所を想定されているのかについて見解をお伺いします。

【2回目】

3.公共施設再配置

○昼食時の休憩室機能

・現在本庁舎地下と南館に確保していると。しかし南館の3室は机とイスが置かれているだけ、地下は一般の来庁舎の目に止まる場所でもあり、休憩室として十分とはいいがたいと感じた。

・答弁で、労働安全衛生法の規定を引用され、職員の健康確保と疲労回復のための施設、設備の整備は雇用主の責務と考えていると。ならば、監査委員会からの指摘があるとおり、十分休憩ができ、リラックスできるスペースを確保することが大切。

このことが精神面での疲労回復やメンタルヘルス対策の重要な要素となる。

・答弁ではこの趣旨を踏まえ、検討されているとのことなので、検討結果を待ちたい。

いずれにしても、行政需要の変化と施設再配置によって庁舎内全体の見直しも必要になっていると思うので、効率的な配置に勤めていただきたい。

2014年度兵庫県・阪神地域合同防災訓練への米軍参加の中止を求める申し入れ

2014年5月14日

伊丹市長藤原保幸様

日本共産党伊丹市議会議員団
団長 上原秀樹 
議員 加柴優美 
議員 久村真知子
事務局長 服部好廣 

2014年度兵庫県・阪神地域合同防災訓練への米軍参加の中止を求める申し入れ

 8月31日に南芦屋浜を中心に兵庫県と阪神8市町の主催で実施する合同防災訓練に、米軍の参加を兵庫県が要請していることが明らかとなっています。

 そもそも防災訓練は、甚大な被害をもたらした阪神淡路大震災や東日本大震災の教訓を生かし、今後想定される南海トラフ巨大地震・津波などから住民の生命と安全、財産を守る取り組みの一環としてきわめて重要なものです。

 ところが、兵庫県は、今年度の防災訓練に自衛隊姫路基地を通じ、在日米軍の参加を要請しています。また、去る4月23日付神戸新聞は「在日米軍が始めて参加することが取材でわかった」「オスプレイの投入も調整中だが、今回は見送られる見通し」と報じています。兵庫県は、米軍の参加の理由を、南海トラフ巨大地震では広域災害が想定され、多方面からの応援が必要としています。

 しかし、これは、日本政府と米軍の意向に沿ったものです。すなわち、2013年7月6日付沖縄タイムスは、小野寺五典防衛相が、在日米海兵隊を統括するグラック海兵隊中隊と会談し、「今週にも南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震を想定した日米合同の防災実動訓練を実施することで一致した。MVオスプレイも始めて投入する」と報じていること、また、今年10月の防災訓練への在日米軍の参加を受け入れた和歌山県知事は、「防衛省から在日米軍の協力を得てよいかという打診があり」、オスプレイの活用の打診もあったことを述べていることからも明らかです。先の神戸新聞でも、東日本大震災での米軍による「トモダチ作戦」を踏まえて、米軍は自治体との関係構築をさらに広げる狙いがあると指摘しています。

 兵庫県が必要としていることよりも、震災支援を利用して日米同盟の「深化」を図ろうとする米軍と日本政府の意向に沿ったものといわざるを得ません。

 さらに、どんな被害想定でどんな訓練を行うかも明確になっていない段階で、参加要請の形を取っているのは「米軍参加ありき」と指摘せざるを得ません。

 このような米軍の防災訓練への参加は、県民・市民の厳しい批判をまねがれないものです。

よって、以下のことを強く申し入れるものです。

1.2014年度の県・阪神地域の合同防災訓練への米軍参加は取りやめること。

2.兵庫県、阪神8市町が行うべきは、自治体と住民、消防、警察など関係機関が協力して、震災発生直後の人命の救出と救助、消防等の訓練を積み上げることであり、関係機関や住民の意向も踏まえた防災訓練とすること。
以上

2014年3月議会:上原ひでき 意見書に対する討論

 3月27日(木)、日本共産党伊丹市会議員団の2014年3月議会に提案した意見書に対する討論は以下の通りです。

 介護保険制度改正に関する意見書、「ブラック企業」根絶へ実効ある施策を求める意見書、集団的自衛権に道を開く憲法解釈は 行わないことを求める意見書、原発の再稼働はやめ、再生可能エネルギー政策に転換することを求める意見書(以上は賛成)、

 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた環境整備及び地域における取り組みへの支援を求める意見書(反対)

2014年3月議会 本会議 意見書討論

日本共産党議員団 上原秀樹

上程となりました意見書案のうち、意見書案第2号から5号までは賛成の立場から、意見書案第6号には反対の立場から意見を述べます。

はじめに意見書案第2号「介護保険制度改正に関する意見書(案)」に対してです。

安倍内閣がすすめる介護保険改定の一つが、「要支援1・2」と認定された人が受ける訪問・通所介護サービスを、ボランティアなどを活用して市町村が行う「総合事業」に移すとともに、要介護認定を省こうとしている問題です。要支援者が受けているサービスは、「訪問介護」と「通所介護」が6割を占め、これらのサービスが市町村の事業になれば、自治体の財政状況によって左右され、どこでも平等に介護サービスを受けられる権利を奪うものです。二つには、年金収入280万円以上の単身高齢者などのサービス利用料を1割負担から2割負担に引き上げることです。三つには、特別養護老人ホームの入所を「要介護3」以上に限定することです。伊丹市でも、昨年8月現在で111名が待機されており、入所を待ち続ける高齢者・家族にとってあまりにも過酷です。このことで、安倍内閣が自ら「介護難民」を増やすことになるものです。

この改定の狙いは、「軽度者」の利用を削減・抑制して、公的介護保険にかかるお金を押さえ込むことにあり、しかしその結果、サービスから締め出された「軽度者」の重度化は、公的費用を更に膨張させることになります。

よって、本意見書案が、拙速な介護保険制度改正を行わないよう求めていることから、賛成とするものです。

次に意見書案第3号「『ブラック企業』根絶へ実効ある施策を求める意見書(案)」についてです。

本意見書案は、不当な雇用管理を行う「ブラック企業」が社会問題となっている現在、労働者や若者を使い捨てにする雇用のあり方を改めるため、相談窓口の設置・拡充と若者への就労支援拡充、「ブラック企業」名の公表、労働行政における監視・指導体制の強化を国に求めるものです。

日本共産党は、国会に「ブラック企業」規制法案を提出しました。その理由は、一つに、若者を「使い捨て」「使いつぶす」働かせ方を放置することはできないからです。いわゆるブラック企業では、採用した労働者を過重な労働に駆り立て、次々に離職に追い込むという、大量採用、大量離職・解雇を前提にした経営が行われ、多くの若者が心と身体の健康を壊して退職に追い込まれていきます。どんな企業であれ、そこで働く人たちの生活と権利、人間としての尊厳が踏みにじられているときに、それを是正することは政治の責任です。二つには、ブラック企業を放置すれば、日本全体の労働条件の悪化をもたらし、日本の企業経営とそこで働くすべての人たちの生活に、大きな被害をもたらすものであり、その規制は日本社会と経済にとっても急務となっています。

よって本意見書案に賛成とするものです。

次に意見書案第4号「集団的自衛権行使に道をひらく憲法解釈は行わないことを求める意見書(案)」についてです。

安倍政権が狙っている「戦争する国づくり」の核心部分が、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認です。政府の「安保法制懇」は、4月にも報告書を提出して6月中にも閣議決定する考えです。

しかし、第1次安倍政権を含む歴代政権は「自衛のための必要最小限を超えるので集団的自衛権を行使できない」との立場を堅持してきました。今の安倍政権がこれを否定すれば自己否定になってしまいます。このため安倍首相は、集団的自衛権行使に関して、自衛権には必要最小限の実力行使の制約があり、その中に入るものがあるかどうか検討しているとしています。しかし内閣法制局は「集団的自衛権は、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処するものではなく、他国に加えられた武力攻撃を武力で阻止することを内容とする」もので、「国民の生命等が危機に直面している状況下で個別的自衛権を行使する場合とは異なる」と説明している通り、集団的自衛権はどう考えても、海外での戦闘参加を可能にするもので、現憲法の下では行使できません。

また、安倍首相は、中国との尖閣諸島の領有権問題や北朝鮮の核・ミサイル開発などを念頭に、解釈改憲の必要性を強調しています。日本が個別的自衛権を行使できることは自明のことです。「安保法制懇」で示された集団的自衛権行使の事例はいずれも「個別的自衛権で対応できる」、米国向けミサイル迎撃は「技術的に不可能」、「政府が自由に憲法解釈を変更できる性質のものではない」との批判が相次いでいます。

では、なぜ、何のための集団自衛権行使容認なのか。安倍首相は何一つ合理的な理由を示していません。

日本政府は1981年5月の政府答弁書で、集団的自衛権の定義を「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力を持って阻止する権利」と規定、いわば「他衛権」といわれ、戦後米国の発案でソ連も賛成して、国連憲章第51条に書き込まれたものです。しかし、国際的には国内法が優先することは常識となっています。

そしてその後、米国、旧ソ連などの軍事大国は、他国に軍事介入するときに「集団的自衛権」の行使を主張してきました。たとえば、2001年からの米国によるアフガニスタン・対テロ戦争には、NATO諸国が集団的自衛権の行使で参戦、79年から89年の旧ソ連によるアフガニスタン侵攻、アメリカのベトナム戦争では、集団的自衛権行使で参戦した韓国は5000人近い死者を出しています。

すなわち、日本政府が集団的自衛権を行使すれば、自国への攻撃がなくても、米国の要請があれば海外で武力行使できることになります。自衛隊が海外で人を殺し、殺されることにもなります。

したがって、集団的自衛権行使容認は、憲法のもとでは許されるものではなく、ましてや、解釈によって憲法を変えることなどできるものではなく、立憲主義を否定するものです。

よって本意見書案に賛成するものです。

次に、意見書案第5号「原発の再稼働はやめ、再生可能エネルギー推進政策に転換することを求める意見書(案)」についてです。

本意見書案は、福島第1原子力発電所の事故によって、いまだに多数の人が避難生活を余儀なくされ、放射能被害が広がっている現状から、安倍政権による原発再稼働をやめ、再生可能エネルギー政策に転換することを求めています。

一方、安倍内閣は、財界と一体になって、原発の再稼働への暴走を開始し、原発輸出の「トップセールス」に奔走し、「成長戦略」に「原発の活用」を明記、そして「エネルギー基本計画案」では、原発を重要なベースロード電源と位置づけ、原子力規制委員会の「規制基準」の7月施行を受けて、泊、柏崎刈羽、高浜、大飯などの各原発の再稼働をねらっています。しかし、どの世論調査でも再稼働反対が多数で、国民の願いを無視して、危険な原発の再稼働を強行することは許されません。

原発による低レベル放射性廃棄物に関しても、すべての原発を今廃炉にした場合にも、49万6000㎥以上になることが明らかにされ、その処分地さえ決まっていません。また、高レベル廃棄物でも、技術自体が確立されておらず、政府が計画する「地層処分」も、めどが立っていません。まさに「トイレなきマンション」といわれるとおりで、原発の再稼働はさらにこれらを増やすことになり、無謀でしかありません。莫大な費用が必要にもなります。

原発事故から3年間の体験は、原発と人類は両立できないことを示しました。原発の危険から国民と地球環境を守るという点からも、国民合意という点からも、どの原発も再稼働する条件はありません。すべての原発の稼働がストップしている今、「即時原発ゼロ」を決断し、ただちに廃炉のプロセスに入ることが、最も現実的な道です。

原発にたよらず、省エネ・節電の徹底と、再生可能エネルギーの大幅導入への抜本的転換の計画を立てて、実行していくことです。エネルギー確保のためには、当面、5~10年程度の期間は、過渡的な措置として、火力による電力の確保が必要になりますが、その間に、再生可能エネルギーの大規模な普及と低エネルギー社会への移行をすすめます。原発推進派は「自然エネルギーは供給が不安定」などとしますが、多様なエネルギーである太陽光・熱、小水力、風力、バイオマス、地熱、潮力などを組み合わせて普及すれば、安定します。

よって、本意見書案に賛成とするものです。

次に、意見書案第6号「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた環境整備及び地域における取り組みへの支援を求める意見書(案)」についてです。

日本共産党は、もともと、オリンピックの東京への招致に関して、石原都政以来、オリンピックを利用して大規模な開発を進めようとしてきた経過があり招致に反対してきました。

しかし、IOCの総会で決まった以上、これを尊重し、スポーツを通じて国際平和と友好を促進するというオリンピック精神の実現に努めるという立場を明らかにしています。同時に、東京招致には内外から様々な不安と疑問の声が出されており、無条件の信任ではありません。

したがって、国立競技場の建て替えに3000億円かけるという話もありますが、オリンピックを口実とした大規模開発はやめるべきであり、今後もしっかりとした監視が必要と考えます。あくまでも、国民生活の向上を図りながら、東京大会を成功させるという見地が大切であり、国民・都民の生活や環境と調和の取れた簡素で無理のない取り組みにすることが大事です。

一方、本意見書案では、国に要望する項目のうち、4項目目に「国際空港機能拡充やアクセス強化に向けた交通インフラの整備」など、「社会基盤整備」を促進する項目があります。このことは、国会の「東京五輪成功決議」にもない項目であり、大規模開発に道をひらくものと言わざるをえません。

したがって本意見書案には反対とするものです。

なお、バリアフリー環境の促進やスポーツ基本法に基づく国民のスポーツ権を保障するための環境整備は、オリンピックに関係なく進められるべきであることはいうまでもありません。今後、オリンピックの準備に向けて、オリンピック憲章の精神と国民・都民の利益を守り、スポーツの民主的発展を促進するために、力をつくしていきたいと思います。

以上、それぞれの意見書案に対する意見とします。議員各位のご賛同をお願いし、討論を終わります。

2014年3月議会 本会議:上原ひでき 特定秘密保護法に関する請願書に対する賛成討論

請願第2号 国に対して「「特定秘密の保護に関する法律」を改めて慎重に審議することを求める意見書」を提出することを求める請願書 に対する賛成討論

2014年3月27日

日本共産党議員団 上原秀樹

 日本共産党議員団を代表して、請願第2号 国に対して「『特定秘密の保護に関する法律』を改めて慎重に審議することを求める意見書」を提出することを求める請願書 に対して賛成の立場から討論を行います。

 この法律は、政府が勝手に特定秘密を指定し、その漏洩に厳罰を科すもので、国民の知る権利を侵害し、言論・表現の自由など国民の基本的人権を破壊し、国家安全保障会議設立と一体で戦争への道を推し進める稀代の悪法です。何よりも、国民主権、基本的人権、平和主義という憲法の基本原則を踏みにじる点で、明らかに憲法違反です。

 この法律に反対する声は、わずか1ヶ月の審議期間でしたが大きく盛り上がり、今も広がっています。呼びかけ人に山田洋次監督ら5人が名を連ねた「反対する映画人の会」には、映画監督の宮崎駿さんや女優の大竹しのぶさん、脚本家の山田太一さんらが名を連ねています。また、ノーベル賞を受賞した白川英樹さん、益川敏英さんなど著名な学者が呼びかけた「反対する学者の会」は、賛同者が約4000人となり、さらに広がっています。

 安全保障上、秘密保護法は必要という声があります。しかし、国家・国民の安全を守るためにはスパイ防止法のようなものがあっていいと主張する小林節慶応大学教授は、「第三チェックをかたくなに拒むところに言い知れぬ不安を感じる。法のつくり方を見ても秘密の対象を列挙した後、その他がついてくるのは対象を恣意的に広げられる」と批判しています。

 情報の漏洩の脅威が高まっているともいわれますが、それには、憲法違反の法律をつくることで対応することではありません。情報漏えいの脅威は、「高度情報通信ネットワーク社会の発展」に起因するもので、これに対処するためには、公的情報の管理の合理化と、情報保全システムの適正化で対応すべきであって、処罰で対応する問題ではありません。伊丹市民にも大いに関係があります。特定秘密を取り扱う自衛隊などの公務員や軍事産業関係の民間事業所で働く従業員は、適正審査が行われ、本人だけではなく家族、親戚友人まで及び、プライバシーが侵害されます。

 このような法律が成立したことで、国連人権高等弁務官事務所は、日本の特定秘密保護法に関して深刻な懸念を表明しました。たとえば「ジャーナリストや市民社会の代表を含め、それが公益にかなうという信念から機密情報を受け取った場合、差し迫った状況に個人が陥ることがない限り、法的制裁から守られるべき」とするとともに、「当局が秘密保護の必要性を確認できる例外的な場合でも、当局の決定を独立機関が審査することは不可欠」としています。日本の場合、特定秘密の指定・監視・検証の機関はすべて内閣総理大臣のもとに置かれており、自分で秘密をきめて自分でチェックするというというものです。

 また、国家の秘密保護には、安全保障と情報へのアクセス権とを調和させた国際的にきめられたガイドライン、すなわち「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」通称ツワネ原則が存在しますが、その作成を率いた財団が「日本の秘密保護法は国際基準を大きく下回る。米国からの圧力は理由にならない」と緊急声明を発表しています。まさに国際的に見ても異常な法律であることがわかります。

 そもそも特定秘密保護法を繰り返し求めてきたのは国民ではなく、米国です。2005年には、日米両国の部隊から首脳レベルまであらゆる範囲で軍事戦略や情報を共有することを日本は約束しました。その際、「秘密保護の追加的措置」、つまり米国の情報が日本から漏れないよう、対策強化を要求されています。

 そして、安倍首相がオバマ米大統領との会談で、特定秘密保護法案は「日米同盟強化を見据えたもの」と説明したとおり、海外で米国と一体に「軍事行動をする国」へ日本を作り変える構想との一環として出てきたものです。日本の国土を守ることとはまったく関係のない集団的自衛権行使の具体的要件等を定める国家安全保障基本法のもとに、国家安全保障会議設置法と特定秘密保護法が位置づけられていることからも、この法律の目的は明らかです。このような憲法にかかわる重大な法律を、わずかな期間で、しかも審議を打ち切って急いで強行採決したことは、異常という以外にありません。法案が可決された後も、請願書に書かれているとおり、共同通信社の世論調査で「廃止する」「修正する」は74.8%を占めており、このまま施行すべきではありません。

 日本共産党はこの特定秘密保護法を廃止することを求めています。しかし、多くの国民が不安に思っている法律を改めて慎重に審議することは、国民に改めてその全容を明らかにすることで、法律の是非も含めた判断を問うことにつながります。よって本請願の願意は妥当と考え、賛成とするものです。

2014年3月議会代表質問:上原ひでき 介護保険制度について

2014.3.7. 上原ひでき議員

6.介護保険制度について

1)安倍内閣による介護保険改定法案について

安倍内閣は介護保険改定法案を国会に提案しました。改定の一つが、「要支援1・2」と認定された人が受ける訪問・通所介護サービスを、ボランティアなどを活用して市町村が行う「総合事業」に移す方針です。「総合事業」では、ヘルパーなど専門家によるサービスは一部に限定され、その大半がNPOやボランティアに丸投げされることになります。しかも、要介護認定を省こうとしているのが、この「総合事業」の対象者です。市町村の窓口で、どんなサービスを使うのかを申請者と相談し、「総合事業」だけを利用する場合は認定を省くことを可能にするものです。現在要支援者が受けているサービスは、ヘルパーによる「訪問介護」とデイサービスなどの「通所介護」が6割を占めています。これらの人が受けるサービスが市町村の事業になれば、自治体の財政状況によって左右され、どこでも平等に介護サービスを受けられる権利を奪うものです。

二つには、年金収入280万円以上の単身高齢者などのサービス利用料を1割負担から2割負担に引き上げることです。対象者は5人に1人に上ります。月々の保険料で収入による負担を求められた上、サービスを利用するときまで収入で差をつけられえることは、保険の建前に反します。

三つには、特別養護老人ホームの入所を「要介護3」以上に限定することです。全国的には待機者が40万人を超え、そのうち13万人は「要介護1・2」です。伊丹市でも、昨年8月現在で111名とされていました。入所を待ち続ける高齢者・家族にとってあまりにも過酷です。今、高齢者の貧困化や施設不足の中で、介護の担い手を見つけられない人が増え、マスコミでも「介護難民」「老人漂流社会」などと呼ぶ状況が広がっています。安倍内閣は自ら「難民」を増やそうとしています。

この改定の狙いは、「軽度者」の利用を削減・抑制して、公的介護保険にかかるお金を押さえ込むことです。しかし、サービスから締め出された「軽度者」の重度化は、公的費用を更に膨張させることになります。全日本民主医療機関連合会の調査では、訪問介護を利用する要支援者の81.4%、通所介護を利用する要支援者の87.7%が何らかの認知症を抱えていました。これらの人が介護保険からはずされれば、初期の認知証の人への支援が大幅に切り下げられ、家族の負担がいっそう深刻になるとともに、重度化を加速しかねません。

総務省「就業構造基本調査」によれば、家族の介護のために離職する人は毎年8万から10万人とされています。介護を苦にした心中・殺人など、痛ましい事件も後を絶ちません。

伊丹市として、国に対して、このような改定はやめ、介護保険制度を、抜本的に立て直すことを求めるべきではないでしょうか、見解を伺います。

2)地域包括支援センターについて

第5期介護保険事業計画では、現在地域包括支援センターは1ヶ所で、9ヶ所の介護支援センターがその機能を補完しているが、仕組みとして介護支援センター内で支援が完結できなかったり、チームアプローチができなかったりという理由から、高齢者の多様な生活課題に対して対応しきれなくなっていること、このことから第5期では、高齢化率の高い圏域から優先的に、地域包括支援センターを新に設置するとされました。来年度が第5期の最終年度に当たりますが、どのような計画をお持ちなのかお伺いします。

2014年3月議会代表質問:上原ひでき 公立幼稚園の統廃合について

2014.3.7. 上原ひでき議員

5.子ども・子育て支援新制度について

来年度予算で、地方版子ども・子育て会議の開催及び子ども・子育て支援事業計画の策定を計上され、教育、保育及び子育て支援事業の供給体制の確保等を主なものとする5年を1期とする事業計画を策定しようとされています。この新制度に関し、幼児教育について質問をします。

幼児教育については、今まで、公立幼稚園の1小学校区1幼稚園を守ることの意義や公立幼稚園における3年保育と預かり保育を実現することについて、また公立幼稚園を幼稚園型認定こども園とすることを視野に入れることも提案してきました。

そこで現在、今後の幼児教育のあり方について学校教育審議会で審議がなされており、その素案も明らかになってきていることから、改めて教育長に見解をお聞きします。

第1に、1クラスの人数は20人以上が望ましいとの議論がなされていることについてです。

この根拠を社団法人全国幼児教育研究会による研究結果に求めておられ、そこでは、教員が望む1学級の幼児数は、3歳児が20人以下、4,5歳児は20人以上とされています。しかし、その結論に到る研究の中で、「個に応じた援助」と「協同性の援助」のそれぞれの得点の平均値を求めていますが、それによると、3歳児は11人から20人、4,5歳児は16人から25人の間がそれぞれの特性が拮抗することになっています。これらの特性がどのような形で調和されるのかは、調査においてもかなりの幅があり、地域性によって異なることや、調査結果はあくまでも一つの傾向であり、絶対化できるものではありません。また、発達や学びの状況に関しては、おおむね学級の人数がすくないほうが肯定的に捉えていると書かれています。したがって、このことを持って統廃合の基準とすることには、無理があるのではないでしょうか。

第2に、4,5歳児とも複数の学級があることが望ましいとの議論についてです。

しかし、さきほどの研究では、複数学級に関してはまったく問題になってはいません。審議会で議論のあった「集団内での子どもの役割の固定化」などの懸念は、先ほどの研究結果での「協同性の育ち」を重視した場合の得点を見ると、3歳児で16人から20人も、36人以上もほぼ変わらず、4,5歳児でも同様の結果です。したがって、幼児教育における「協同性の育ち」ということを考えた場合、単学級が続くことを持って統廃合の基準とすることも無理があります。

第3に、3歳児保育を実施することは難しいという議論についてです。

今まで私立幼稚園との役割分担として、3歳児保育は私立が担ってきました。しかし、新制度では、どの子も等しく受けられる権利として幼稚園の三歳児保育が位置づけられました。全国的には、3歳児で保育所にも幼稚園にも行っていない子どもは、20.2%となっており、伊丹市では約40%と比較的高くなっています。伊丹市の場合、認可外保育所等も含まれている可能性があるので、若干低くなりますが、今後は3歳児の利用率は上がると見込まれます。今後増加する需要をすべて私立が担うのか、3歳以上のすべての子どもに幼児教育を保障する観点からみた場合、公立が受け入れをしなくてもいいのか、疑問が残ります。さらに、公立で3歳児を受け入れた場合、施設不足の可能性があるとの議論がありますが、定員をどうするのかは議論の余地はあります。

第4に、預かり保育を実施することは望ましいとの議論は評価できます。

預かり保育は、議論でも出されている通り、「家庭や地域における幼児期の教育の支援となる」ものです。一方で、子どもの育ちを保障する上で、保育内容を充実させるため、給食室整備等が必要になりますが、幼稚園型認定こども園を展望する議論にはならないのでしょうか。

第5に、2010年(平成22年)の答申に基づいて、すずはら幼稚園を民間による幼保連携型認定こども園とする方針が出されながら、公立幼稚園への信頼性等の議論がなされ、結果として地域や保護者の理解が得られないまま、整備計画の一部修正を行ったという問題に関して、その教訓をどう汲み取るのかについても十分議論したうえで、統廃合の議論がなされなければ、単に公立幼稚園を減らすだけの結論となり、関係者から反発されるのは目に見えています。

以上5点に関しての教育長の見解を伺います。

2014年3月議会代表質問:上原ひでき いじめ防止の基本方針、国の教育委員会制度「改革」

2014.3.7. 上原ひでき議員

4.教育の課題について

1)いじめ防止等のための基本的な方針(案)について

私は昨年6月議会で、国においていじめ問題にかかる法制化の議論が進められている中での問題点を指摘して、教育委員会の見解をお聞きしました。

その後「いじめ防止対策推進法」が成立し、国による「いじめ防止基本方針」が策定されました。問題点は残されているものの、いじめ問題の克服の課題を子どもの権利の視点で捉えなおし、地域、父母、教職員、子どもたちが力を合わせて解決していこうとする方向を見出すこともできます。たとえば、いじめられている子どもに寄り添った対応が強調されるとともに、いじめた子どもに対しても、すべてが厳しい指導を要する場合とは限らないとしていること、いじめの理解では、加害・被害という二者関係だけで捉えるのではなく、学級や部活動の構造、「観衆」「傍観者」の存在も加えて、四者構造の考慮も求めています。これらは今後に生かすべきことだと思います。そこで、いじめ防止等のための基本的な方針(案)について、昨年6月の質問とも関連してお伺いします。

第1に、「Ⅱ基本姿勢」の「1基本的な方向性」で、「いじめはどの子どもにもどの学校でも起こりうるものであるとともに、人権にかかわる問題であり」としながらも、いじめを「しない、させない、許さない」という姿勢を大人が共有するとしています。書かれているとおり、いじめは人権にかかわる問題です。だとしたら、いじめは人権侵害であることを前面に押し出し、憲法や子どもの権利条約の条文やそれらの精神を踏まえ、豊かに安心して生きる権利が子どもたちにはあること、いじめはその権利を侵害すること、そして大人が共有するのは、「しない、させない、許さない」という姿勢よりも、その権利を守るのは大人社会、学校、教師の義務であることを明確にすべきではないかと考えます。見解を伺います。

第2に、教育委員会が実施する施策で、「学校の教育活動全体を通じて道徳教育を推進する」とされていることについてです。私たちは市民道徳の教育を重視しておりますが、それは教員、子供、保護者が自主的、自発的に進めてこそ実を結ぶものであり、上から押しつけるやり方は逆効果になります。大津いじめ自殺事件が起きた中学校は、市内唯一の道徳教育推進指定校でした。

180ページに及ぶ報告書も作成されていて、事件の起きた2年生は、1年生のとき「ルールを守ろう」などの規範教育に取り組んでいました。深刻ないじめはその半年後に起きています。大津市の「第三者調査委員会」の「調査報告」は、「いじめ防止教育(道徳教育)の限界」と題し、「それ自体の意味を否定しないが、道徳教育や命の教育の限界についても認識を持ち、学校の現場で教員が一体となった様々な実践こそが必要」とかかれています。さらに報告書では、「子どものいじめは社会のあり方と根深いところでつながっているが故に、いじめ発生の土壌が存在するとともに、いじめ解決の困難さが理解される」とも書かれています。現代の子どもたちは、学校だけではなく、家庭環境やそれとつながる社会の中で、苛立ちや孤独感にさいなまれており、その生の現実と向きあっていくことがいじめの防止につながるものと思います。

大津市の教訓から、道徳教育をどう考えるのか、見解を伺います。

第3に、「学校が実施すべき施策」の中の「児童、保護者への指導」で、加害者への指導について書かれている点です。ここでは、加害者が抱える問題等に目を向け、健全な人格の発達と教育的な配慮のもとに特別な指導を行うほか、「出席停止や警察との連携による措置も含め、毅然とした対応をする」とされました。

いじめの解決は、いじめている子どもがいじめをやめることが欠かせません。それは、自らのいじめ行為に向き合い、相手の痛みに共感できるようになり、心からの謝罪を通じて、人間として更正することを含んでいます。問題は、いじめをやめることと人間的な更正がどうしたらできるかです。

そこで論点となるのは、出席停止と警察との関係です。出席停止については、書かれているような「毅然とした対応」として行うものなのかどうか、懲戒として行うものかどうかです。いじめにはいじめる子どもに耐えがたいストレス、つらい背景があることは知られています。そこに共感し、その子どもの抱える悩みを解決することに着手してこそ、被害者の痛みに共感することができ、いじめをやめる方向に進むことができます。なお、いじめを行う子どもに対する出席停止措置は、懲戒としてではなく、子どもの安全のための緊急避難としてありうる選択です。しかしその間、子どもの心のケアや学習の保障がないまま停止すれば、その子どもの屈折した心はさらにねじれ、人間的更正の道から排除されることにもなります。

警察との関係ですが、この間伊丹市においても数回にわたって警察への通報が行われています。

もちろん、恐喝や傷害事件などが起きたとき、被害届を出して、家庭裁判所での審判に基づく更正という道を選択する場合もあります。大津の事件の際、警察が捜査を開始し、その過程でのべ30時間以上にも渡って事情を聞かれた子どももいたといわれ、かなりのショックを受けたことが推測されます。警察は犯罪を立件することが目的の捜査機関であり、子どもをケアし更正するための機関ではありません。子どもの安全、更正、成長という目的に沿って、慎重に判断すべきであり、この問題も毅然とした対応で行う懲戒であってはならないと考えます。

以上の件に対する見解を伺います。

2)国における教育委員会のあり方の議論について

自民党は、19日、文部科学部会を開き、安倍政権が進める教育委員会制度「改革」案を了承しました。「改革」案は、憲法にそくして教育の自主性を守るためにつくられた教育委員会制度の根幹を改変し、国・首長という政治権力による教育支配を歯止めなしに拡大しようという、きわめて危険な内容となっています。

一つは、「改革」案は、首長に、教育行政全体についての「大綱的な方針」を定める権限を与えるとともに、これまで教育委員会の権限とされてきた公立学校の設置・廃止、教職員定数等、教育行政の中心的内容を、首長に与えるとしています。これでは教育委員会は、首長の下請け機関となり、首長がその気になればどこまでも政治介入できるということになってしまいます。

二つには、「改革」案は、新に規定する(仮称)新教育長について、首長が直接任命・罷免するとしています。現行法では、教育長は、教育委員会が任命し罷免もできますが、この仕組みを変え、教育長を首長の直属の部下にしようというのです。

安倍政権が当初ねらっていた「教育委員会廃止」論は、教育関係者などからの強い批判もあって採用できませんでした。しかし、自民党「改革」案は、教育委員会から実質的権限を奪い、それを形骸化させるものにほかなりません。それは、1976年の最高裁学力テスト問題の判決に示された、「教育内容に対する権力的介入は抑制的であるべき」とする日本国憲法の要請を踏みにじり、教育への無制限の権力的介入・支配への道を開くものとなっています。

こうした内容が具体化されれば、首長がかわるたびに、その一存で教育現場がふりまわされるという混乱が起こり、子どもたちがその最大の被害者となってしまいます。

この件に関して、中央教育審議会は昨年8月、首長・教育長のアンケート調査結果を報告しています。現在の教育委員会が「首長部局から独立していることが首長にとって制約になっている」かどうかを尋ねたところ、半数を超える首長・教育長が「そうは思わない」とし、「合議制の執行機関としての教育委員会を存続しつつ制度的改善を図る」方向に、首長の57%、教育長の67%が「賛成」としています。従って、教育委員会は、現在伊丹市教育委員会が努力されている通り、子ども、保護者、住民、教職員の声をきちんと受け止め、それを教育行政に反映させる機能を強化していくことこそが求められており、教育委員会制度を変える必要はありません。

市長並びに教育長の見解をお伺いします。

2014年3月議会代表質問:上原ひでき 住宅リフォーム助成制度、農業振興基本条例について

2014.3.7. 上原ひでき議員

3.地域経済の活性化について

第5次伊丹市基本計画における「活力地域産業の振興と創出」では、地域内経済循環に視点をおいた産業活性化の方策を検討する、「農」を生かしたまちづくりを進めるなどとし、そのもとで、「伊丹市産業振興プラン」と「伊丹市「農」の振興プラン」に基づき、それぞれ施策を進めておられると思います。

一方、「平成25年度伊丹市市民意識調査」によると、市の施策の満足度における加重平均の下位5項目に、すなわち満足度の低い位置に「地域産業の振興」「商業の振興」「働きやすいまちづくり」「農業の振興」が入っていることは大変気になるところです。しかし、住民が地域に暮らし続けるためには、その地域において製造業も建設業も商店も農業も生産活動が持続的に行われ、雇用と所得が再生産されることが必要です。通勤・通学にも、買い物にも便利で、地域で経済が循環する仕組みをつくらなければなりません。そこで、次の点をお伺いします。

1)住宅リフォーム助成制度について

何度も何度も制度創設を求めて質問していますが、2012年3月議会での答弁は、経済的効果は一定あると理解しているが、個人財産への助成であること、特定業種のみへの助成であること、資金が調達できる人に限定されることで制度創設は考えていないとのことです。しかし全国では、昨年5月現在で6県、556市区町村、合計562自治体で実施されています。

一方、国土交通省は住宅リフォーム推進事業を創設し、2013年度と14年度予算合わせて50億6,900万円を予算化し、約7,000戸を対象予定にしています。「長期優良化リフォーム推進事業」という名称で、劣化対策、耐震性能、維持管理・更新、省エネ性能、バリアフリーを行う住宅について国の助成を行うというものです。一歩前進と考えますが、国は「先導的な取り組み」とされ、全国の自治体で実施されているものとは違ったハードルの高いものになっています。しかし、当局ができない理由とされた三つの点は国の制度でクリアーされたのではないでしょうか。改めて伊丹市でも独自に制度を創設することを求めるものですが、見解をお伺いします。

2)農業振興基本条例はどうなったかについて

2012年9月議会での答弁は、「農」の振興プランに条例制定を盛り込んだが、様々な課題があることから引き続き慎重に検討する、(仮称)伊丹市農業の振興プラン推進会議を設置してできるだけ早く制定の議論に入りたいとのことでした。どうなったのでしょうか。

伊丹市は大規模な集積した農地があるわけではありませんが、振興プランに書かれているように、農地は、新鮮で安全・安心な農産物の供給基地としての役割に加え、防災空間、緑地、ヒートアイランドの緩和、遊水機能、市民農園利用など多面的機能を持っています。この貴重な都市部に存在する農地を生かし、農業振興を図ることには意義があります。

さらにそのときの質問で、工業、商業も含めた伊丹市の産業全体を網羅した産業振興条例とすることも提案しています。

以前の答弁では、産業界からの気運の盛り上がりがない、他市の条例は理念規定条例で中小企業基本法にも理念が書いてある、条例自体に実効性がなく別の計画が必要との理由で、条例は考えていないとされています。

しかし、農政懇話会で農業関係者から条例制定の声が上がったのに制定にブレーキをかけているのは行政です。

また、他市で制定されている条例は、その自治体の産業なりを分析し、その自治体に即した理念と目的を定め、実効性のある条例として、具体的な計画策定と合わせて効果を発揮しているものと理解しています。

伊丹市は今、企業への訪問活動をされています。その中で把握された課題を整理し、伊丹市でどんな理念による条例が必要なのか検討することができると思います。合わせと見解を伺います。