日本共産党伊丹市議団のアンケートに基づく要望書を市に提出

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 日本共産党伊丹市会議員団と畠山かずお県政対策委員長、服部よしひろくらし雇用対策委員長は、2月12日、議員団が行った市民アンケートに基づく市長宛の要望書を副市長に手渡ししました。

 道路整備や危険個所の改修等、ハード面での要望は市民の声をそのまま反映したもので、市長から回答をもらうことにします。

日本共産党伊丹市会議員団のアンケートに基づく要望書はこちら(PDFファイル)

以下は、要望書の内容です。(PDFファイルと同じものです)

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2015年2月12日

伊丹市長 藤原保幸様

日本共産党伊丹市会議員団のアンケートに基づく要望書

日本共産党伊丹市議会議員団
団 長  上原 秀樹
議 員  加柴 優美
議 員  久村真知子
くらし・雇用対策委員長  服部 好廣
県政対策委員長  畠山 和雄

 日本共産党伊丹市議会議員団が昨年より取り組んだアンケート(全戸に配布)に767人から回答していただき、多くの要望が寄せられていますので、下記の通り要望します。実現に向けた施策を実施していただきますようよろしくお願いします。

1.子育て支援策、教育について

(子育て支援策について、重要だと思うものを3つ選ぶ)

○保育所を増やす 297人
○保育所保育料を引き下げる 224人
○子どもの医療費への助成  203人
○保育時間の延長      197人
○いじめ対策        196人
○お産のできる病院を増やす 195人
○30人学級など少人数学級の推進 154人
○公立幼稚園での3年保育・預かり保育の実施 154人
○その他 75人

要望事項(自由意見の主なものから抜粋)

・子どもの小さいうちは、長時間労働は子どもにとって生活リズムや食の乱れを起こし、精神的にもよくない。長時間労働をなくし、地域でゆったり子育てができ、職場に復帰できる環境を整備してほしい。

・伊丹市は保育料が高すぎる。これで住む町を比較する夫婦がいる。引き下げてほしい。

・保育所はいつまでたっても待機だし、いつまでたっても働けない。保育所をたくさんつくってほしい。

・子どもを急に預けたいときに、快く預かってくださる施設がない。認可保育所はなぜこんなに冷たいのか。改善してほしい。

・若者支援、結婚したら住宅(空きや、空き室)の提供、生活保障、市内での就労保障などの各段階に応じた支援体制を整備してほしい。

・父親が子育てに参加しやすい社会制度をつくること。

・民間における産休・育休が取りにくく、出産か退職の二択が現実。改善してほしい。

・公立幼稚園の保育料値上げや統合はやめてほしい。伊丹市は小学校のそばに幼稚園がありすばらしい環境だと思う。

・今年7月から年間97万円以上の収入のある母子家庭の医療費助成がはずされました。西宮・宝塚は今までどおりで、しかも外来も中三まで医療費が無料。母子家庭の生計は一人です。持病があれば医療費が生活を圧迫します。助成制度を元に戻し、中三まで無料にしてほしい。

・発達障害のある子どものことで、気軽に相談できる場所がわからない。

・ボール遊びがしやすく、小さい子どもも遊べる公園や広場を充実してほしい。

・母子家庭だけど何の助けももらえず大変。もう少し補助を考え、情報がほしい。金銭面では自立しているが、残業や休日返上があるので、その間子どもが見られないことに対する助けがない。対策を考えてほしい。

・子育て中の専業主婦の交流の場を充実してほしい。引越ししてきて知り合いがないので困っています。

・保育所も米飯持参ではなく、暖かい完全給食を実現してほしい。尼崎では数年前、川西市では10年も前に完全給食になっている。

・子どもをいつでもどこでも安心して出産できる病院を増やしてほしい。

・2月に4人目を出産予定。もっと育児などのサポート補助金等があっても良いと思う。

・子供が3人いるが、学費の心配がある。安心して(経済的に)子育てができるよう、多子世帯への援助があれば、もう一人くらい生みたい。

・宝塚や西宮のように、中学3年まで医療費を無料にしてほしい。

・県外の私立高校に通う子どもについて助成金がない。毎月10万円くらい費用がかかり母子家庭にはとても大変。尼崎市は助成金があり、市町でも偏りがある。県から年間3万円しか助成がない。母子手当てや医療費すべて減らされ医療費3割負担している。改善してほしい。

2.中学校給食について

(調理部門を市の直営にすることについて)

○賛成 312人  ○反対 104人  ○わからない 227人

要望事項(自由意見の主なものから抜粋)

・民間だと安全が不安。それより市民の声を聞いて、小学校とともに米飯の良い給食を提供してほしい。

・委託の業者だと儲けに走りかねない。民間は今のところ信用できない。安全性に不安がある。何かあったとき民間任せでは信用できない(責任の位置)。

・給食は学校教育の一環であり、直営方式は当然です。

3.8月、9月の集中豪雨について

(被害の有無について)

  • 被害はあった  62人
  • 被害はなかった 611人

(被害があった場所)

  • 国道171号線の新開橋の下流、約50m地点で箕面川の積み石が崩れて危険な状態。早く整備してほしい。
  • 伊丹市桜ヶ丘
  • 御願塚8丁目駐車場
  • 産業道路沿い
  • 船原、伊丹小学校北側
  • 北本町2丁目
  • 駄六川周辺
  • 荻野1~3丁目天神川沿い

(被害のあった場所は以前から危険なところでしたか)

  • 以前から改修を求めていた 19人
  • 初めて 21人

要望事項(自由意見の主なものから抜粋)

・市は以前から要望しているにもかかわらずまったく無視。

・用水路など増水しやすいところを再点検してほしい。

・他市との連携で集中豪雨など対応してほしい。

・短期集中豪雨に対しての基準を見直してほしい。

水害に合う場所は毎回同じなので、事前に対策してほしい(北本町東消防署付近)。

正木橋より北方面の整備を、全面的に早く補修整備してほしい。

阪急伊丹駅の地下駐輪場、冠水時警報を入場禁止のシャッターを。

・水の流れ込み対策を考えてほしい。短時間豪雨で毎度道路が川になる。必ず道路の両端に溝を作ること。

4.高齢者福祉、国保について

要望事項(自由意見の主なものから抜粋)

・市営住宅に入居したい。年金がないので老後が心配です。→ エレベーターのない市営住宅では、高齢者が入居するのは困難。民間住宅の空き家・空き室を利用して、家賃補助等を講じることで安価で良質な住宅を提供できる施策を行うこと。

・(一人暮らし)整骨院でのカイロプラテックで、腰椎がずれ、脊柱管狭窄症になって下半身に痛みが出てつらい。弁護士と相談中。介護認定を申請したがNOの返事が来た。痛みで辛いので早く死にたい。安楽死を認めてほしい。→ 支援策を考えてほしい。

・今後介護保険の利用者が増えると思うので、安心して利用できるように利用料を安く、内容を充実してほしい。介護職の待遇改善も。

・国保税が高い。制度を維持するとともに保険税を軽減すべき。

・後期医療になって保険料が高すぎる。高いのに医療費も3割。改善してほしい。

・養護老人ホームの施設費が高い。国民年金で入れる施設を市内に立ててほしい。

・介護施設の職員の増員と給料をアップしてあげてください。

5.障害者福祉、医療について

要望事項(自由意見の主なものから抜粋)

・引きこもりになっている若者、高齢者の実態を把握し、ケアなどの対策を考えてほしい。

・特定認定疾患病等の更新は毎年ですが、3年ごとくらいにならないか。更新時の病院の文書料が高い。考えてほしい。

・障害者に住み良いまちづくりをしてほしい。助成金を増やしてほしい。

・知的・精神障害のある方への雇用と作業所への補助金を増やしてほしい。

・無料がん検診、種類を増やしてほしい。

・親亡き後の高齢者的障害者の居場所を設置してほしい。

・長男は生まれて45年余り、障害者のため医療費は無料でした。それが4~5年前から3割負担になった。仕事もない、収入はゼロ。自治体の無策、超弱者にすることではない。生存権について疑いを持つ。考え直してほしい。

6.道路・公園整備、環境、市バスについて

要望事項(自由意見の主なものから抜粋)

・自転車の通る道を増やし、あわせて歩道の確保をしてほしい。

・天神川の整備をしてほしい。川の中がゴミの山です。

伊丹緑道の下、北本町付近では、落ち葉が多く毎日掃除をしている。ゴミ袋の提供など市からの支援はないのか。何とかしてほしい。

裏が落ち葉で困っている。紅葉は美しいのですが、家の「トユ」にたまり、掃除ができない、屋根に登れない。

ラスタホールの横側の道路、片側にガードレールがないのでいつも車がすれすれで怖い。

・近畿中央病院から帰りのバスが、昼までしか伊丹駅行きがなく不便。

伊丹スポーツセンターの天神川周辺は、自転車で飛び込みそうで夜は特に怖い。手で開けられるガード板など、対策を考えてほしい。

雪印工場の横の道の整備を。通学路なのに片側歩道で、自転車も多く、ビバホームができてからは車も増え、危険を感じる。夜間は街灯が暗く不安。

産業道路の阪急バス伊丹営業所の信号は、押しても無反応。

新幹線から北、堀池のバスどおりをよく利用するが歩道がなく狭くて危険。考えてほしい。

・街路樹は何のためにあるのか。伊丹市はいつも樹木を丸裸にする。考えてほしい。

梅ノ木4丁目の道路が、アスファルト部分や端のほうのコンクリートなどが崩れている。整備してほしい。

・足が弱くなって杖で歩いているが、歩道が大きく車道に傾いていて、段差が斜めになっていて滑りそう。改善してほしい。

山本団地付近、公園が古くて汚いので子どもを遊ばせる気がしない。改善してほしい。自衛隊の土地を有効利用してほしい。

「王たるキリスト教会」側から阪急新伊丹駅に向かう歩道がでこぼこが多く、非常に歩きにくい。改善してほしい。

・飛行機・ヘリコプターの騒音が10年前に比べてひどくなった。豊中よりうるさい気がする。対策を考えてほしい。

飛行機の飛行路が、最近早く南西に回っているので、緑ヶ丘地区の騒音がひどくなっている。改善を要望してほしい。

寺本交差点、寺本東バス停(JR行き)への横断歩道がない。地下道は怖い。対策を考えてほしい。

・R171の自動車騒音と排ガスで困っている。生活地域だけでも道路のカプセル化をお願いする。

イオンモール伊丹の南側の甲武橋に歩道をつけてほしい。

電灯が少なく、遅い時に北伊丹駅から自宅に帰る時間が怖い。街灯を設置してほしい。

中野墓地のトイレが汚い。新設してきれいにしてほしい。

昆陽池公園のトイレが汚い。きれいにしてほしい。

札場の辻から塚口方面の県道は、歩道もなく車も多いので危険。道幅が広くなるそうだが、それまででも早急に改善してほしい。

7.その他

要望事項(自由意見の主なものから抜粋)

・市の日本語サークルに参加していたが、中国人用のテキストはあるが、白人国用のテキストが全くなくてやめた。もっと充実してほしい。

・外国人に優しい環境が整っていない。市役所での英語対応ができる人が1人(?)しかいない。改善してほしい。

・労働者が不利益をこうむらないように企業に規制をかけてほしい。

・伊丹市のホームページで、ごみの関係のところが見難いので改善を。

・水道使用量が減ってもライフラインであれば水道料金を上げないでほしい。

 アンケートに寄せられた主な要望事項は以上です。なお、下線部分については、文書で回答をお願いします。

ルネサスエレクトロニクス北伊丹事業所閉鎖の問題で、伊丹市に要請

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 2月4日、ルネサスエレクトロニクス北伊丹事業所閉鎖の問題で、伊丹市に要請をしました。
 「連絡会」から、上原ひでき・かしば優美市会議員、服部よしひろ くらし・雇用対策委員長、山本「連絡会」事務局長、藤田尼崎労連議長が参加し、伊丹市から、松村都市活力部長、谷口産業振興室長、牧村商工労働課長が対応しました。

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2015年2月4日

ルネサスのリストラから雇用と地域経済を守る連絡会

ルネサスのリストラから雇用と地域経済を守るための要請にあたって

 ルネサス・エレクトロニクスは北伊丹事業所・玉川事業所・相模原事業所を閉鎖し、関東・武蔵事業所への転勤者を対象に「早期退職募集」(期間12月10日から12月19日迄)という名で1,800人削減を強行しました。

 ルネサスが12月24日発表した「早期退職」結果報告によると、1,725名が「早期退職」募集に応募したとしています。

 北伊丹事業所では、武蔵事業への転勤対象者1,000人(本体400名、関連企業600名)のうち、約半数近くの労働者が「退職」を余儀なくされたとの情報提供を受けています。 いま、退職に追い込まれた労働者はもちろん、単身赴任等で転勤する労働者と家族は、これからの雇用と生活不安の真っただ中にあります。

 私たちは、ルネサス北伊丹事業所閉鎖に伴う1800人削減にあたって、雇用と地域経済を守るため、伊丹市に対し、昨年11月26日に二回目の要請を行いました。

 12月議会では12月9日、上原ひでき議員がルネサス北伊丹事業所閉鎖と武蔵事業所への転勤問題に関する質問を行いました。

 今回は、その後のルネサス北伊丹事業所での退職者の実態と伊丹市の対応、及び、県・労働局と連携した対応についてお伺いしたうえで、「退職者」の雇用確保問題についてあらためて要請したい。

1、リストラによる「退職者」の実態についてお聞きしたい。

  • ルネサス本体での退職者数と関連企業での退職者数について
  • 「退職強要」の実態について

2、12月市議会(12月8日)後の伊丹市の対応について

(1)12月議会では「県内の雇用をゆるがす大きな問題である」として危機感をもつて受け止め、兵庫県・伊丹市・及び雇用・失業問題の担当部署である労働局が密に連携をとりあって対処していく」答弁されたが、今回武蔵事業所への異動にあたって、どう実態を把握し、対応されてきたのか。

(2)市長は9月議会本会議でかしば議員の質問に対し、「今後、関東への集約・異動がすすんで退職者が多くでることが見込まれる場合には、改めて(三菱電機へ)受け入れをお願いしたい」と答弁、12月議会では上原議員の質問に対し、「県と連携して必要に応じて対応したい」と答弁されたが、どう対応されたのか。

(3)ルネサスは、いま再就職支援会社3社と契約をして、「再就職が決まるまで仲介を支援する」、「再就職率は高い」と松村部長は答弁されたが、実態・実績は把握されていなかった。それ以降、ルネサスの対応についてどう把握され、対応されているのか。昨年9月末で高崎事業所への異動で退職された89名の再就職活動の実態と再就職の実績についても伺いたい。

備考・情報提供

ルネサス本体全社での退職者数は689名である。事業所別にみると北伊丹事業所で170名(退職163、解職2、移籍5※)、玉川事業所で193(退職192、解職1)、武蔵事業所で188名(退職183、移籍5)、高崎事業所で36名、日本ビル(本社)で102名となっている。(1月20日情報提供)

・関連企業の退職者は、応募した1,725名から、ルネサス本体応募者689名を差し引けば、1,036名となる。

・北伊丹事業所ルネサス本体の転勤対象者400名のうち退職者数170名(42.5%)、関連企業の転勤対象者600名の退職者数は現在つかめてないが、仮に本体の退職比率で計算すると255名となり、あわせると425名となる。昨年9月末(高崎事業所への異動時)での退職者89名を含むと500名を超える。

 別紙の要請書(↓下に掲載)を手渡した上で、以上のことについて当局と懇談を行った。

 「連絡会」として、正規社員、関連企業含めて半数近くが退職に追い込まれ、再就職先がないという実態を話し、三菱電機に対する再度の要請と伊丹市・兵庫県・労働局が連携して対応することの必要性を訴えた。これらのことに対して当局から以下の趣旨が述べられた。

部長)ルネサスとして配置転換を行っていることは理解している。何度か面談が行われ、再就職については期待している。ルネサスからの市に対する報告は、特段の問題がないとのことで報告はなし。多くの退職者が出ていることは聞いている。三菱へは前回以降行っていないが、近いうちに意向を聞く。ハローワークとの連携は取っている。

課長)ハローワークから退職者の人数は聞いている。ハローワークも危機感を持っている。ハローワークに対する会社からの要請はないとのこと。失業給付の説明会には多くの人の参加があったと聞く。今週中(2月6日まで)にはルネサスに行く予定。

次長)タワージャズジャパンの場合は、会社そのものがなくなることで、全員が解雇というものなので、兵庫県としても危機感を持って取り組んだ。ルネサスの場合は当初どれくらいの退職者が出るかわからない状況にあった。しかし多くの退職者が出ている状況なので、市・県・労働局の連携が必要となっている。

 改めてルネサス、三菱電機の様子を聞いたうえで報告を受けることにした。

要請書(要請書のPDFファイルはこちら)

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伊丹市長
藤原 保幸 様

2015年2月4日
ルネサスのリストラから雇用と地域経済を守る連絡会 代表  津川 知久
日本共産党兵庫県会議員団 団長 練木 恵子
日本共産党伊丹市会議員団 団長 上原 秀樹

ルネサスのリストラから雇用と地域経済を守るための要請書

 ルネサスエレクトロニクスは北伊丹事業所・玉川事業所・相模原事業所を閉鎖し、関東・武蔵事業所への転勤者を対象に「早期退職募集」(期間12月10日から12月19日迄)という名で1,800人削減を強行しました。

 ルネサスが12月24日発表した「早期退職」結果報告によると、1,725名が「早期退職」募集に応募したとしています。

 北伊丹事業所では、武蔵事業への転勤対象者1,000人(本体400名、関連企業600名)のうち、約半数近くの労働者が「退職」を余儀なくされたとの情報提供を受けています。 いま、退職に追い込まれた労働者はもちろん、単身赴任等で転勤する労働者と家族は、これからの雇用と生活不安の真っただ中にあります。

 以上の点から、下記のとおり申し入れるものです。

1、誘致自治体の政治責任として、再就職を求める労働者の雇用確保でルネサスと設立母体である三菱電機に企業の社会的責任を果たさせること。

1、雇用確保にあたっては、パソナなど再就職支援会社だけに任せるのでなく、県・市・労働局が連携して、県内の三菱電機7事業所を含む、広く地元の雇用を優先させ、企業の社会的責任を果たさせること。

1、伊丹市として、改めて「退職者」の再雇用を三菱電機に要請すること。

以上

ルネサスは雇用と地域経済を守れ、退職強要はやめよ

ルネサスは雇用と地域経済を守れ、退職強要はやめよ

「連絡会」が伊丹市に要請

 来年9月末まで5,400人の人員削減をすすめるルネサスは、北伊丹事業所、玉川事業所などを閉鎖し、東京都小平市の武蔵事業所へ事業の集約に伴う転勤対象者(北伊丹は1,000人)に「早期退職」(12月10日~19日)を募り、新たに1,800人削減するとしています。

 「ルネサスのリストラから雇用と地域経済を守る連絡会」はll月26日、ルネサスのリストラから雇用と地域経済を守るため、伊丹市に要請しました。要請の内容は、①ルネサス北伊丹事業所に対し、事業所の閉鎖をやめさせ、雇用と地域経済を守るよう申し入れること。②「早期退職」の募集にあたっては、「退職強要」をやめさせるよう申し入れること。③三菱電機に対し、雇用と地域経済をまもる企業の社会的責任を果たすため、武蔵事業所に転勤できないルネサス労働者の受け入れを申し入れることです。日本共産党の上原秀樹伊丹市議が同席しました。

「雇用と地域経済を守る連絡会」ニュースNo.9 2014年12月8日
連絡会現地事務所 伊丹市千僧6丁目218革新会館内 Tel O72-772-4165

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伊丹市長
藤原保幸様

2014年11月26日

ルネサスのリストラから雇用と地域経済を守る連絡会 代表 津川知久
日本共産党兵庫県会識員団 団長 練木恵子
日本共産党伊丹市会議員団 団長 上原秀樹

ルネサスのリストラから雇用と地域経済を守るための要請書

 半導体大手メーカ、ルネサスエレクトロニクス(以下ルネサス)は、2015年9月末までに、5,400人の人員削減をすすめるため、11月から新たに個人面談を開始し、「早期退職」募集で1,800人を削減すると発表しました。

 北伊丹事業所では、12月10日から19日の間に、関東・武蔵事業所への転勤対象者1,000人に「早期退職」を募る予定で、労働者に転勤か退職かを迫り、応じられない人を退職に追い込もうとしています。しかも、会社は人員削減の対象を「転勤困難者及び当該施策に沿えないと考える者」としており、転勤可能な人にも「退職強要」を迫っています。

 今回の「早期退職」募集では、家庭の事情などで、遠方へ転勤できず、やむなく退職に追い込まれる労働者が相当数にのぼることが予測されます。

 職場からは、「家のローン返済がまだ残っている。転職は年齢的にも困難、単身赴任しかない、幼い子供たちと妻を残して、行くか辞めるか決断できなくて迷っている」、「家族手当も無くなり単身赴任の二重生活は成り立たない』、「三菱が引き取ってくれて、残れるものなら残りたい」と深刻な声があがっています。

 伊丹市が誘致した企業が一方的に事業所を閉鎖し、労働者を犠牲にし地域住民にしわよせする行動は絶対に許されません。ご承知のとおり、ルネサス北伊丹事業所の前身である三菱電機北伊丹事業所は、「伊丹市の瑞ヶ池の一部を埋め立て、付近の畑を買収して、合わせて3万坪にも達する広大な敷地をもつ工場」として建設され、インフラ整備や税制など自治体のさまざまな優遇策を受けてきた伊丹市の藤致企業です。しかも、ルネサス北伊丹事業所を設立したのも三菱電機であり、社員の大半は元三菱電機の社員であることから、職場だけでなく地域からも「転勤出来ない人は三菱電機が引き受けよ」の声があがるのは当然です。

 三菱電機は県内だけでも伊丹、尼崎、三田、神戸、姫路、赤穂市などに8つの事業所をもっており、いずれも多忙で人手不足となっています。三菱電機の内部留保は1兆5,596億円であり、その一部を活用すれば転勤出来ない労働者を引き受け、雇用に対する企業の社会的責任を果たすことができます。

 以上の点から、下記のとおり申し入れるものです。

1、ルネサス北伊丹事業所に対し、事業所の閉鎖をやめさせ、雇用と地域経済を守るよう申し入れること。

1、三菱懲機に対し、雇用と地域経済をまもる企業の社会的責任を果たすため、武蔵事業所に転勤出来ないルネサス労働者の受け入れを申し入れること。

1、ルネサス北伊丹事業所に対し、「退職強要」をやめさせるよう申し入れること。

以上

市長に2015年度予算編成に当たっての重点要望を手交

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11月14日、日本共産党伊丹市会議員団は2015年度予算にあたって重要要望項目を市長に手渡しました。提出した内容は次のとおりです。

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2014年11月14日

伊丹市長 藤原保幸様

日本共産党伊丹市議会議員団
団長 上原秀樹 
議員 加柴優美 
議員 久村真知子

2015年度予算編成に当たっての重点要望

はじめに

 国会で多数を占める安倍自公政権は、「亡国」とも言える暴走をしています。とりわけ安倍政権は、二つの点で民主主義と相容れない体質を持っていることがあらわになっています。一つは、集団的自衛権、消費税増税、原発再稼働、沖縄新基地建設一どれも国民の5割から7割が反対していることに、一切耳を貸さない強権的体質です。二つには、新に大臣に就任した二人が政治とカネ」の問題でそろって辞任に追い込まれ、後任の大臣も同様の疑惑が広がっているように、カネの力で政治をゆがめる古い金権体質があることです。

 この政権の下で、国民の暮らしと経済は大変な危機に陥っています。消費税増税によって、4月から6月期のGDPは年率7.1%の減少、特に消費支出はマイナス19.5%と年来最大の落ち込みです。働く人の実質賃金は前年対比で15ヶ月連続マイナス、円安による物価高、消費税増税と、「アベノミクス」が悪循環になっています。

 日本共産党は、くらしと経済を立て直すためには、消費税10%増税をキッパリ中止し、285億円に膨れ上がった内部留保の一部を活用して大幅賃上げと安定した雇用を増やすこと、社会保障の切捨てから充実へと抜本的転換を図ること、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革によって財源を確保することを提案しています。

 このような安倍政権の暴走と市民をめぐる状況を踏まえ、目本共産党市会議員団は、伊丹市が自治体本来の役割を果たし、市民の暮らしや福祉、教育を最優先にした予算編成をされること強く求めます。

1.地方財源の保障を国に求め、医療・介護の充実、障害者・子育て支援など、市民の暮らしを守る仕事を最優先にすること。

 伊丹市が、市民の暮らしを守る「防波堤」としての役割を果たすため、国の社会保障制度改悪に反対し、国に財源を求め、以下のことを求めます。

1) 地方財政の重要な柱である地方交付税に関して、制度本来の財源の保障・調整機能の充実により、住民の福祉と教育、くらしを保障する総額の確保を国に求めること、消費税10%増税をストップすることを国に主張されることを求めます。

2) 子育て一番の伊丹市にするために

① 子どもの医療費は通院も中学卒業まで無料にすること。

② 保育の市場化に反対し、安心して子育てができるよう公的責任で保育を行うこと。保育所待機児童解消は認可保育所増設で行うこと。

③ 経済的理由で妊婦健診を受けられないことがないよう、全国平均(14回、11万円)を上回る補助をすること。

3) 医療・介護の充実で安心できる伊丹市を

① 国民健康保険に関して、2013年度に「予算はがし」をした法定外繰り入れと剰余金で高すぎる国保税を引き下げること。

② 国保税における多子世帯・母子世帯・障害者など困難な世帯に対する条例減免を拡充しホームページや広報で周知すること。

③ 国保滞納者は生活困窮の場合が多いことから、生活支援課とは常時連携をとるとともに、滞納処分に関わる諸通知等情報を共有すること。

④ 後期高齢者医療制度の保険料の独自減免を設けるとともに、短期保険証・資格証明書は発行しないこと。また、後期高齢者医療制度に加入しなかった70歳から74歳までの方で、福祉医療を利用した場合の償還払いをやめ、現物給付にすること。

⑤ 介護保険に関して、直近の要支援者の訪問介護・通所介護利用者数及び実態を明らかにし、これらの利用者のサービスを第6期以降においても継続すること。要支援者の訪問介護・通所介護については、希望するすべての現行のサービスを提供できるようにすること。

⑥ 第6期介護保険事業計画策定に当たっては「日常生活圏域部会」を設置し、中学校区ごとの調査を踏まえて日常圏域ごとの計画を策定すること。また、地域包括支援センターも日常生活圏域に1ヵ所設置すること。

⑦ 施設入所待機者をなくすために、特別養護老人ホームなど施設・居住系サービスを大幅に拡充すること。

4)障害者福祉の充実を

① 障害者の自立と社会参加を保障するために、地域生活事業である移動支援(重度視覚障害者は同行援護)の利用量の上限をなくすこと。入院時、緊急時にもホームヘルパー・ガイドヘルパー、手話通訳等が利用できるようにし、通学・通所にガイドヘルパーを利用できるようにすること。

② 窓口負担のない重度障害者医療費助成制度にもどすとともに、重度障害者医療費助成制度の対象を身体障害者3級までとするなど対象者を拡大すること。

2.すべての子供に基礎学力を保障し、一人ひとりが大切にされる教育を進め、教育環境の整備に力を尽くすこと。

 子どもにかかわる問題では、格差と貧困の拡大のもとで希望を失いかけている子どもたちに必要なのは、人をばらばらにする競争教育ではなく、人と人との間で生きる連帯です。そのために教育委員会に対して以下のことを求めます。

1) 教育条件の整備でどの子も伸びる教育を

① 中学3年生まで35人学級を実現するため、県教育委員会に要望するとともに、市独自に小学校5年生以上に拡大すること。

② 中学校給食は調理部門を直営で行い、安心・安全でおいしい給食を提供すること。

③ 公立幼稚園の統廃合はやめ、3年保育と預かり保育を実施すること。

2) 子どもの貧困対策の充実を

① 生活保護基準の引き下げにより、今まで就学援助を受給していた世帯が対象からはずされないようにし、さらに拡大すること。すべての児童・生徒が義務教育を円滑に受けることができるよう、所得が認定基準額を超える場合でも生活実態を考慮して判断すること。国が財政措置している「生徒会会費」「PTA会費」「クラブ活動」を項目に追加すること。新入学児童生徒に対する学用品費は、入学前に支給すること。

3) 学力の一部に過ぎない「学力テスト」の結果そのものを目標とすることが、教育をゆがめることになっていることから、「全国学力テスト」への参加も伊丹市独自の「学力テスト」もやめること。全国的な傾向を知るためには、数年に一度抽出調査に限定すべき。

3.中小・零細業者への支援を強め、人間らしく暮らせる地域社会・経済を築くこと。

1) 地域経済の主役は中小企業であることを深く認識し、「農業基本条例」だけではなく、農業振興策も含めた地域産業活性化のための基本条例を策定することを求めます。

2) 住宅リフォーム助成制度の創設並びに公契約条例を制定すること。

3) 伊丹市では二つの超大型店とともに、数店の大型商業施設が建設されました。このことで市内の商店・商店街が廃業に追い込まれ、歩いて買い物ができる住みよい住環境を破壊するとともに、地域経済も大きな打撃を被っています。伊丹市はそのためのあらゆる対策を講じることを求めます。

4) 労働法制の「規制緩和」で、特に若者の非正規社員、ワーキングプアが大きな開題となっています。この不安定雇用、低賃金の急速な広がりに対して、伊丹市としても若者の雇用対策に力を尽くすとともに、ブラック企業・ブラックバイトなど不法・不当な格差や差別をなくすなど非正規雇用の問題に積極的に取り組むことを求めます。

5) ルネサスエレクトロニクス(株)北伊丹事業所閉鎖に伴う労働者の関東移転に関して、12月から面談が始まり本格化します。移転できない労働者の雇用を守るため、県・労働局と連携して雇用確保に努めるとともに、県内の三菱電機(株)などに「受け入れ」の要請を行うことを求めます。

4.同和行政終結宣言を行い、憲法と「まちづくり基本条例」を生かした民主主義の発展と平和、基本的人権が保障される市政を行うこと。

1) 来年度こそ、「同和住宅」募集枠の制限を撤廃し、すべての同和行政を終結し、改めて同和行政終結宣言を行うことを求めます。

2) 「まちづくり基本条例」に基づき、「住民こそ主人公」の立場で、徹底した情報公開と民主主義の発展を保障する条件整備を行い、市民の知恵と力が行政に積極的に生かされるようにすることを求めます。

3) 安倍自公政権は、「戦争する国づくり」を進めていますが、市民の生命と財産を守るため、憲法9条を守り、あらゆる戦争準備の策動に反対するとともに、伊丹市として「平和条例」(仮称)を制定することを求めます。

5.「大阪国際空港撤去宣言」の精神を堅持し、環境基準の達成に向けた不断の努力と安全性を確保すること。

 大阪空港に関しては、空港の機能のフル活用としてジェット枠の拡大が実施されるとともに、近距離国際便の就航等が議論されています。また、コンセッション実施に向けた具体かも進められています。

 航空機に係る環境基準が達成されていないもとで、空港近隣住民の立場に立ち、ジェット枠拡大等の空港運用規制緩和はやめ、存続協定を守り、国の責任で安全性の確保と環境基準達成への不断の努力を、国と新関西国際空港株式会社に要望することを求めます。

6.公的部門の民営化はやめ、市民本位で効率的な行政を行い、伊丹市が責任を持って市民の暮らしと人権を守ること。

 公的部門の民営化路線は、自治体の本来の役割である「住民の福祉の増進」(地方自治法第1条)という役割と住民の権利保障を形骸化させ、住民福祉の後退やサービス水準の低下、安全性の低下をまねくことになります。また、この「路線」は全体の奉仕者としての公務員の役割をも形骸化し、公務員削減を進めました。目本共産党は、「民営化万能論」の押しつけ・推進でなく、市民の安全と利益を最優先にした市民本位の効率的な行政の努力を求めます。

7.「地域主権改革」の名による国の責任放棄に反対し、憲法と地方自治法に基づき、福祉・教育充実のための地方財政を保障することを国に求めるとともに、「道州制」に反対すること。

 いま進めている「地域主権改革」は、福祉などの最低基準を定めた「義務付け・枠付け」の見直しによって、国の社会保障などへの責任を放棄し、地方自治体としての機能と役割をさらに弱めるとともに、「道州制1を視野に入れたさらなる自治体の広域化の推進や「地方政府基本法の制定」による「二元代表制」の否定で地方議会の形骸化、住民自治の破壊・縮小に導くものです。

 このような動きに対して、伊丹市として、憲法と地方自治法の精神に立って社会保障等に関する最低基準は国が責任を持って定めること、その財源を国が保障することを求めることが必要です。

8.いますぐ原発をゼロにすることを決断し、自然エネルギーに転換することを国に求めること。

 東日本大震災から3年9ヶ月が経過しようとしています。しかし福島県では、今も県内外への避難者は12万6千人に及び、放射能も拡散し続けています。原発事故でひとたび放射能物質が大量に放出されると、人類はその被害を防止する手段を持っていません。さらに、使用済み核燃料=「核のゴミ」を安全に処理する技術もありません。したがって、再稼動すれば、処理方法のない「核のゴミ」は増え続けます。

 このような現状を踏まえ、市長は国に対して次の点を主張されることを求めます。

1) すべての原発からただちに撤退する政治決断を行い、「即時原発ゼロ」の実現を図ること。

2) 原発再稼動方針を撤回し、すべての原発を停止したままで、廃炉のプロセスに入ること。

3) 福島第一原発において、きわめて危険な事態に至っている放射能汚染水の危機打開を図るために全力をつくすこと。

4) 原発から再生可能エネルギーへの転換で、日本経済の持続可能な成長を図ること。

2014年9月議会:上原ひでき 国民健康保険特別会計決算の認定に同意できない

報告第7号「平成25年度伊丹市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算」の認定に同意できない立場からの討論

(2014.10.9)

日本共産党伊丹市会議員団 上原秀樹

 日本共産党議員団を代表して、報告第7号「平成25年度伊丹市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算」に対して、認定に同意できない立場から意見を述べます。

 本会計は、当初予算で国保税条例を改定し、国民健康保険税における基礎課税分(医療分)の均等割額25,200円を28,500円に、また平等割額23,600円を23,800円に、さらに所得割税率8.21%を9.10%に増税したものです。

 伊丹市の国民健康保険に加入されている世帯は、平均所得が約90万円、所得なしの世帯が23.1%、また所得200万円未満の世帯が74.8%を占めています。この改定によって、これらの世帯に新たに2.9億円の負担を求めることになりました。

 具体的には、年所得200万円の夫婦子ども3人世帯の国保税は、それまでの353,000円から7.1%引きあがって378,000円となり、所得の約19%を国保税が占めることになりました。このことで、生活保護基準以下の生活を余儀なくされることになり、まさに国保が貧困をさらに広げる事態となったと言わざるを得ません。

 一方、歳入歳出決算では、実質収支が3億1,630万円、単年度収支も1億8,954万円の黒字となりました。しかしこの黒字額は、当初予算で計上されていた一般会計からの法定外繰り入れ額5億4,796万円を、全額更正減とし、一般会計の財政調整基金に積み立てたことによるもので、本来なら実質収支は8億6,400万円、単年度収支も7億3,800万円となるべきものです。基金に積み立てた金額は赤字になったときに国保のために使うとしていますが、国保税引き下げをしないとの宣言でもあります。

 もともとこの法定外繰り出しに関しては、事務費超過分や福祉医療波及分は、被保険者の責めに帰さないものとして繰り入れたものであり、税未収額の2分の1もまじめに納税している被保険者に未収部分を税に転嫁させないようにとその2分の1を繰り入れるもので、黒字になったからと言って別会計の基金に積み立てる理由にはなりません。

 よって本会歳入歳出決算の認定に同意できません。

 なお、来年度予算に対する要望として、一つは、国は、国民健康保険に関しても、憲法第25条の国民の生存権と国の社会保障義務に基づく責任を果たしていません。引き続き国に対して強く補助金の増額を求めていただきたいと思います。二つには、国保税が貧困を広げる要素となっていることを認識していただき、8億6,400万円の黒字分を使って、国保税を引き下げることを強く求めるものです。

 以上、報告第7号に対し、その決算の認定に同意できない立場からの討論とします。

2014年9月議会:上原ひでき 本会議 家庭的保育事業・放課後児童健全育成事業条例 討論

2014年9月26日

日本共産党議員団 上原秀樹

 議長より発言の許可を得ましたので、日本共産党議員団を代表して、議案第98号並びに議案第99号に対して、修正案に賛成し、原案に反対する立場から討論します。

 はじめに、議案第98号 伊丹市家庭的保育事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定についてです。本条例案は、子ども・子育て支援新制度施行に伴い、家庭的保育事業並びに小規模保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業の設備、運営に関する基準を定めるものです。

 保育事業において重要な要素である家庭的保育事業等における保育従業者の配置基準については、現在の保育水準を低下させない、保育に格差はつくらないという観点が必要です。この点では、第23条以下で、家庭的保育事業並びに小規模保育事業C型、居宅訪問型保育事業における保育士の配置に関しては、国の基準に上乗せし、家庭的保育事業並びに小規模保育事業C型は2分の1以上、居宅訪問型保育事業は保育士とする提案がされていることは評価するものです。しかし、認可保育所と同様に認可される小規模保育事業B型並びにC型において保育士の配置を半数以上としたことは問題があるといわざるを得ません。

 修正案において、小規模保育事業を行う者は、原則として小規模保育事業A型とすることで、現在の認可保育所と同様に保育従業者すべてを保育士とすることができ、保育に格差をつくらせないこととすることができます。

 よって、議案第98号は、修正案に賛成、原案に反対とするものです。

  次に議案第99号 伊丹市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定についてです。本条例案は、子ども・子育て支援新制度施行に伴い、放課後児童健全育成事業に関して、国のガイドラインに基づき事業の設備、運営に関する基準を条例で定めるものです。

 本条例においても、現在の「児童くらぶ」の水準を低下させないことが求められます。一方、「放課後児童支援員」の配置数は、第11条第2項において、支援の単位ごとに2人を配置するとされていますが、「ただし書」において、そのうち1人を除き「支援員」の資格要件のない「補助員」に代えることができるとされています。このことは現在の「児童くらぶ」の指導員がすべて資格を有する人によるとされていることから、その水準が低下することになりかねません。

 なお、委員会の中で当局は、「経過措置」の中で、支援員はこの条例の施行の日から平成32年3月31日までの間、知事が行う研修を終了するとされていることから、研修の間の代替に資格のない「補助員」が必要と説明されています。しかし現在でも指導員以外に資格を有する待機指導員が60名おられ、指導員に欠員が出た場合に代替としての役割を果たしています。したがって伊丹市においては資格のない「補助員」は必要ありません。

 修正案において、この「補助員」の項目を削除するとしていますが、このことが現在の水準を低下させないことになります。

 よって、議案第99号は、修正案に賛成、原案に反対とするものです。

2014年9月議会:上原ひでき 子ども・子育て支援新制度に関する議案質疑

日本共産党議員団 上原秀樹

 議案第96号から99号の4議案に対して質疑を行います。これらの議案は、来年4月から始まる子ども・子育て支援新制度に関する議案であり、保育所、幼稚園、児童くらぶなど子育てに関わる制度を根幹から変えるものです。私は昨年12月議会でこの問題を取り上げ、子ども・子育ての基本理念は、子どもの権利条約第3条「子どもの最善の利益が第一次的に考慮される」こと、また児童福祉法第2条「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」、そして第3条で「この原理は、すべての児童に関する法令の施行にあたっては、常に尊重されなければならない」との規定に基づいて行うべきであると主張し、この立場からの実施を求めました。 今回、実施主体である伊丹市が定める教育・保育施設と運営基準が提案されていますので、以下の点でお聞きします。

1.議案第96号 伊丹市子ども・子育て支援法施行条例の制定について

○ 第2条は、子ども・子育て支援法第19条第1項第2号の内閣府令で定める事由、すなわち支給認定における保育の必要性の認定にかかる事由のうち、小学校就学前子どもの保護者の就労時間の下限を定めるもので、64時間が提案されています。

 一方、国の施行規則では、48時間から64時間の範囲内で月を単位に市町村が定めるとされています。下限時間を定めるに当たっては、伊丹市における保護者の就労状況や待機児童数等様々な観点から、子どもの最善の利益第一に検討がされていると思いますが、64時間を提案された理由についてお聞きします。また、現在の就労時間の下限を何時間とされているのか、この下限時間が変わることで、待機児童数にどのような影響が出ると考えておられるのかお尋ねします。

2.議案第97号 伊丹市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の制定について

○ 第7条第1項では、特定教育・保育施設は、保護者から申し込みを受けたときには、正当な事由がなければ、これを拒んではならない、とされています。この規定は当然ですが、一方で、第3項では、認定こども園と保育所は、利用定員の総数を超える利用申し込みがあった場合、「選考する」と規定されています。しかし、保育所の場合、児童福祉法第24条第1項により、市が申し込みを受けて選考し、保育所に委託することになっており、保育所が「選考する」ことにはならないのではないかと思いますが、第3項を規定された理由をお聞きします。

○ 第14条では「利用者負担額の受領」が規定されています。その第3項では、特定教育・保育施設は、特定教育・保育の質の向上を図る上で必要と認められる対価について、保護者から支払いを受けることができる、とされていますが、どういうものを想定されているのでしょうか。さらに、第4項では、日用品、文具等5項目に渡って費用の額の支払いを受けることができるとされています。

  これら上乗せ徴収や実費徴収に関しては、現在どのようにされているのか。また、保育所の場合、その入所先は保護者の希望も出せるが主に空きのある保育所において市が決定しているという現状があることから、保護者には選択の余地があまりなく、低所得者にとって負担がより重くなる可能性も出てくると考えられます。自治体がこれらを助成する制度が新設されたと聞いていますが、その活用をどう考えておられるのか、お尋ねします。

3.議案第98号 伊丹市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について

◎ 今回、待機児童の多い3歳未満児の保育を増やすことを目的として、家庭的保育事業等の地域型保育が新設されました。これら地域型保育は、定員20人未満の小規模保育やいわゆる保育ママなどのことで、認可外保育施設からの移行やビルの1室などでの保育が想定されています。小規模保育事業C型や家庭的保育事業では、保育士がゼロでも運営ができ、国は企業などの参入を見込んでいるといわれています。

 この点では、昨年12月議会で、伊丹市としての基本的な考えとして、一つは、保育が必要な子どもの保育は認可保育所の整備で行うこと、認可保育所の整備が追いつかない場合、地域型保育事業で対応せざるを得ない場合も保育条件は認可保育所と同等の基準で行うなど保育の「多様化」によって伊丹市の保育実施責任が形骸化したり、保育の格差を生み出したりするような実施計画にならないようにするべきと求めました。

 条例の提案に当たっていくつか質疑を行いたいと思います。

○ 第7条「保育所等との連携」についてです。国は新制度で認可外保育施設を認可へ移行させることを基本として、これら地域型保育事業を新設しました。

 その移行の際、3歳未満児の保育が終了した後、満3歳以上の児童に対する継続的な教育・保育を提供するため、集団保育の体験や事業者に対する相談等の支援、代替保育などを行う連携施設を適切に確保しなければならないとされています。確保できなければ認可へ移行することが困難になりかねません。その確保は各施設任せで可能と考えるのでしょうか。

 また連携施設の確保における公立保育所と市の役割は重要と思いますが、どう考えておられるのかお聞きします。

○ 第16条、17条「食事の提供」についてです。

 食事の提供は、第16条で施設内での調理により行わなければならないとされています。一方、第17条では、その特例として搬入する方法により行うことができるとされています。保育に格差をつくらないという観点から、自園調理と調理員の配置が基本と考えますが、認可保育所や小規模保育事業等への移行対象である現在の認可外保育所では、施設内で調理を行っているところ、施設整備可能なところ、不可能なところ等、どのような実態にあるのでしょうか。

○ 第23条以下、家庭的保育事業等における保育従業者の配置基準についてです。

 家庭的保育事業並びに小規模保育事業C型、居宅訪問型保育事業における保育士の配置に関しては、国の基準に上乗せし、家庭的保育事業並びに小規模保育事業C型は2分の1以上、居宅訪問型保育事業は保育士とする提案がされていることは評価するものです。しかし、保育に格差をつくらないという観点からするならば、認可保育所と同様に認可される小規模保育事業B型並びにC型、家庭的保育事業、事業所内保育事業において保育士の配置を半数以上としたことは保育に格差をつくることになるといわざるを得ません。

 なぜすべて保育士を配置するとしなかったのか、また、現在の認可外保育施設の保育士配置の実態についてお尋ねします。

4.議案第99号 伊丹市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について

◎ 放課後児童健全育成事業は、新制度において、地域子ども・子育て支援事業の一つに位置づけられ、対象児童を小学校6年まで拡大するとともに、国のガイドラインに基づき事業の設備、運営に関する基準を条例で定めることになりました。

 この基準についても、第1条「心身ともに健やかに育成されることを保障する」、第5条「発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるよう、当該児童の自主性、社会性及び創造性の向上、基本的な生活習慣の確立等を図」るための条件整備が必要であるとともに、保育と同様、現在の伊丹市で実施されている「児童くらぶ」の水準を下回らない条例の制定が求められています。

○ 第5条、第1項において「家庭地域との連携の下」、第3項「地域社会との交流及び連携を図り」とされた意図はどこにあるのでしょうか。また現状ではどのようにされているのかお尋ねします。

○ 第10条「設備の基準」についてです。

 第2項の専用区画面積に関しては、小学校6年まで拡大するに当たって、そもそも児童一人当たり1.65平方メートルでは狭すぎるのではないでしょうか。この面積で、第1項中の「遊びおよび生活の場としての機能ならびに静養するための機能を備えた区画」の設置は可能なのかどうか、また、現状において、専用区画要件も含めて、本条例の規定に違反することとなる「児童くらぶ」はどの程度生じるのでしょうか。さらに来年度から毎年1学年ずつ増えることになりますが、その年度ごとの状況についてもお尋ねします。

○ 第11条「職員」についてです。

 現在伊丹市にける指導員の資格要件は、保育士の資格若しくは教員となる資格を有する人となっています。しかし今回提案されている「放課後児童支援員」の要件は、第3項の各号の通り、現在の要件を大幅に緩和するものとなっています。さらに、第2項では、「放課後児童支援員」の数を、支援の単位ごとに2人を配置するが、そのうち1人を除き「支援員」の資格要件のない「補助員」に代えることができると、ここでも緩和されています。なぜ現在の水準を下げる条例提案をされたのか、その理由をお聞きします。

 次に、第4項「一の支援の単位を構成する児童の数は、おおむね40人以下とする」としている点についてですが、現在の配置基準との差はないのでしょうか。また、付則において、3年を経過するまでの間は、「60人」とするとされていますが、その間、第1条並びに第5条に規定された事業の目的を達成することは可能と考えるのか、3年後、どのような解消が考えられるのかお尋ねします。

(2回目)

議案第98号 伊丹市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について

○第16条、17条の「食事の提供」については、現在14園中6園が自園調理であると。認可外保育所が家庭的保育事業等として認定しようとする場合、さらに調理設備が可能なところがあるとするならば、約半数は自園調理という条件にしたとしても問題は生じないことになる。

○第23条以降の家庭保育事業等における保育士の配置基準に関しては、現在の認可外保育所において、3分の2以上が保育士であると。さらに100%保育士を配置しているところもあるとのこと。とすれば、保育士配置の基準をすべて100%とした場合でも認可の条件はあるということに。

○保育士の配置基準をなぜ100%にしなかったのかとの質問に、待機児童の早期解消、保育士の確保が困難であることの答弁。待機児童の早期解消は重要な課題であることは事実だが、かといって現在の認可保育所の基準を低下させていいわけではない。

 認可外保育所が、認可保育所か、小規模保育所か、また家庭的保育所かに移行するかどうかは、その事業所の判断であり、自園調理も含めて現在の認可保育所と同じ条件で、同じ水準で保育を受けることができるという条件とすることが必要であり、それは可能ではないでしょうか。

議案第99号 伊丹市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について

○第11条の職員の資格基準について、民間の事業者が参入することを前提として、省令の基準どおりにしたと。

 では、伊丹市で行っている公立の「児童くらぶ」事業における職員の資格基準関しては、条例どおり緩和されるのか、今後どうされようとしているのでしょうか。

 また、民間の事業者が参入してくる場合でも、どの事業所に児童が通っても、同じ条件・水準で児童の放課後の生活の場が保障されることが必要ではないでしょうか。

2014年9月議会:上原ひでき 教育委制度、子どもの貧困対策

2014年9月議会 個人質問

日本共産党議員団 上原秀樹

1.教育委員会制度改定に伴う問題について

「教育再生」を掲げる安倍政権が提出した、教育委員会改革法である「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」は、6月13日成立、来年4月1日に施行されます。

この問題では今年3月議会で、国会での法案審議の途中ではありましたが、その内容で危惧する問題に対する見解をお聞きしました。

法律が来年4月1日施行ということもあり、改めて次の問題における見解をお聞きします。

1)教育長の権限の拡大とチェック機能について

教育長と教育委員長を統合した、新教育長の職務は、法第13条第1項で教育委員会の会務を総理し、教育委員会を代表するとされています。会務を総理するとは、現教育委員長の職務である教育委員会の会議を主宰するとともに、現在の教育長の職務である、教育委員会の権限のすべてをつかさどり、事務局の事務を統括し、所属の職員を指揮監督することを意味するものとされているとおり、教育行政に大きな権限と責任を有することになります。

一方、改正前の教育長は、教育委員会の指揮監督のもとに教育委員会の事務を取り扱うとされていたところ、改正法では指揮監督権は規定されていません。教育長の権限に対するチェック機能を強化することが国会で議論されましたが、改正法では、教育委員会への事務の執行状況に関する報告をしなければならないとされただけです。どのようなチェック機能体制が取られるのでしょうか。

2)「大綱」の策定と首長の政治介入について

今まで教育長は教育委員会が任命していましたが、新法では議会の同意の下に市長が任命することになります。新教育長は教育委員会の構成員ではあるが、教育委員ではなく、教育委員会による罷免もできなくなります。このことによって、新教育長が市長の意向で独走できる体制ができるのではないかと危惧が広がりました。

さらにこの体制の下で、首長が「教育、学術及び文化の振興に関する総合的な大綱」をつくることが義務付けられました。その策定の際、教育委員会と「協議」「調整」するため総合教育会議が設けられますが、「調整」がつかない項目も首長は書き込むことができます。そして教育長と教育委員会はその「大綱」に即して教育行政を行わなければならない仕組みとなります(法第11条第8項)。

このような「大綱」作成の仕組みが、首長の政治介入に対する危惧となっていますが、そうならないと言う保障は法整備の中でつくられたのでしょうか。

3)来年4月からの法施行と伊丹市の場合の過渡期の問題について

新法は来年4月1日に施行されます。しかし、伊丹市の場合、教育長の教育委員としての任期も教育委員長の任期も残ることになりますので、法律が変わっても教育長と教育委員長は並存することになり、現行法の規定が効力を有することになります。

では現行法の効力はどこまで残されるのでしょうか。現在教育長は教育委員会の指揮監督のもとにありますが、この規定も残されるのかどうか、仮に残るとすれば、「大綱」作成における教育長と市長の関係はどうなるのでしょうか。

2.子どもの貧困対策について

日本では近年の社会状況を反映して、貧困問題が深刻化しています。政府の統計では、2012年における子どもの貧困率が過去最悪の16.3%に達し、OECD35か国中9番目、GDPの高い20か国中4番目に貧困率が高い国となりました。そのことが、就学援助の増加、学校納付金の未納、給食だけがまともな食事の子ども、病気になっても病院に行けない子どもなどの問題として顕在化しています。

この背景には、政府と財界が一体に進めてきた「雇用の弾力化・流動化」政策があり、この結果、非正規労働者が全体の4割に迫るとともに、ブラック企業の増加や精神障害の労災請求件数が過去最多を更新するなど、雇用の劣化と親の労働・生活問題の深刻化が強い関連性を持って現れています。

こうした中で、昨年6月、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が議員立法として提出され、全会一致で成立しました。法律の第1条では、「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることがないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図る」ことを目的とするとしています。そのためには、何よりも安倍政権が進める労働法制の改悪はやめ、安定した雇用を確保するとともに、教育行政の分野で、実質的平等をいかに保障するか、子育て支援をいかに充実していくのかが重要であることは言うまでもありません。

そこで、次の二つの問題で見解を伺います。

1)就学援助制度について

就学援助制度は、学校教育法に基づき、小・中学生のいる家庭で、親の収入によって「教育の機会均等」が損なわれないためにと、入学準備、学用品、給食、修学旅行などの費用を補助する制度です。 2012年度は、全国で約155万人が利用しました。伊丹市においても、「決算に関する報告書」によると、2013年度、小学生1740人(15.41%)、中学生1100人(19.96%)が利用し、保護者の低賃金や失業などで貧困が拡大する中、子どもの教育を支える大切な役割を果たしています。

ところが、安倍政権による生活保護基準の引き下げが昨年8月から始まったことにより、今年の4月から複数の自治体で、就学援助の対象を縮小する動きがありました。安倍政権は3年かけて保護費の支給基準を6.5%削減する計画であり、多くの自治体が要保護基準を生活保護基準の1.3%未満と定めているため、これに連動する動きが出てきているものです。このようなことが進むと、収入が増えないのに基準が下げられたため、前年まで使えた就学援助の対象からはずされてしまう世帯が続出することも避けられません。消費税増税によって必要最低限の学用品をそろえるだけでも負担は増えるのに、頼みにしていた就学援助が受けられなくなる・・・こんな理不尽なことはありません。逆に、子どもの貧困が大きな問題となっている今、対象の拡大と充実こそ必要と考えますが、伊丹市教育委員会の見解をお伺いします。

また、保護基準引き下げに反対する国民の声が広がる中、安倍政権の閣僚は「他制度に影響させない仕組みをつくる」と繰り返していました。しかし、地方自治体に財政的な裏づけもない「要請」しかしていないため、このような就学援助縮小という動きをもたらしています。準用保護の費用は一般財源化されていることから、国による「他制度に影響させない仕組みをつくる」ための財政措置が必要と考えますが、その動きに関してもお伺いします。

2)子どもの医療費助成の拡大について

子どもの医療費助成に関しては、伊丹市として一定の努力をされてきましたが、県下の自治体では中学校卒業まで、入院も通院も無料とする制度が広がってきました。伊丹市では、決算の報告書によると、2013年度は28万3千件に対して4億7千万円の助成をされ、子どもの命と健康を守る上で大きな貢献をしています。

私は、歯科医療現場から見える子どもの貧困について話を聞く機会がありました。そこでは、経済的事情から医療機関にかかれず、口の中がぼろぼろになっている状態、すなわち「口腔崩壊」の事例が紹介され、格差と貧困の「見える化」として問題が顕在化している様子が明らかになりました。堤未果氏は、歯と貧困には深い関係があるとして、「他の病気と違い、歯には自然治癒と言うものがな」く「放置すればするほど虫歯は悪化し、口内で他の健康も侵食していく」と述べています。貧困であるが故に歯の治療が行われず、健康を損なう、また、貧困が親から子へと引き継がれる要因も指摘されています。歯の治療に関しては、別立ての助成が必要と考えますが、今回は歯に関わらず、お金の心配なく医療を受けることができるように、医療費助成全般に関してその拡充を求めたいと思います。

一つは、現在入院医療費は中学卒業まで無料とされていますが、この制度に上乗せして中学校卒業まで通院の医療費を無料にするにはどれだけの費用が必要なのでしょうか。

二つには、伊丹市におけるこどもの医療費助成の拡充を求めるものですが、見解をお伺いします。

自民党・佐藤市議の市庁舎内における「しんぶん赤旗」販売等の質問に対する見解

憲法で保障された正当な政治活動の自由、職員の思想・信条の自由、新聞購読の自由は侵害することはできない

自民党・佐藤市議の市庁舎内における「しんぶん赤旗」販売等の質問に対する見解

2014年6月30日

日本共産党伊丹市議会議員団

団長 上原秀樹

(1) 伊丹市議会において、6月12日、佐藤良憲議員(自民党)が「政党機関紙『しんぶん赤旗』を市庁舎内で勧誘・配布・販売することの是非」と題する一般質問を行いました。同議員は質問の冒頭で、小坪慎也福岡県行橋市議が、全国の議会にその実態を問う「文書」(陳情)を送付していることを紹介しましたが、今回の質問は、ある全国日刊紙の意図的なキャンペーンも背景にしながら、各地で右翼的な議員が行っている『しんぶん赤旗』攻撃の一環です。

 全国に「文書」を送った行橋市議が、自身のブログで「市議1議席で、日本共産党(政党全体)を振り回してガタガタにして見せます。河野談話の検証・憲法解釈の変更に際し、左翼勢力からの攻撃に対して、敵戦力を分散させることで側面支援してみます」などと述べています。このことからも、この攻撃は、「自共対決」のもとで、憲法をないがしろにする集団的自衛権行使容認や特定秘密保護法、教育委員会改革など、安倍内閣の暴走に真正面から対決し、運動の先頭に立っている日本共産党と『しんぶん赤旗』を攻撃し、安倍内閣の暴走を擁護するという性格を持っています。

 そしてその発言は、憲法で保障された個人の思想・信条の自由、政党の政治活動の自由を根本から侵害するものとなっています。地方議会という言論の府で、憲法で保障された正当な政治活動を、自治体当局を使って規制・抑制・否定しようとすることは、議員としてあるまじき行為といわざるを得ません。

(2) 佐藤議員が質問した主な内容と当局答弁は次の通りです。いずれも職員が「しんぶん赤旗」を購読していることへの攻撃ですが、答弁で法律や条例によって規制されるものではないとされ、その意図は打ち砕かれました。

 第1に、同議員は、幹部職員から聞き取り調査をしたとして(このことは「思想調査」であり問題)、議員が職員に勧誘を行うことは心理的圧迫感を与えるのではないか、また、幹部職員が購読することが他の職員への心理的威圧感を与えているのではないかという質問をしています。

 答弁では、機関紙を購読することは個人の意思にゆだねられており、心理的強制があったかは、個々の職員の感覚によるもの、幹部職員の購読による影響は特段全庁的な対応が必要であるとは捉えていないとしました。この答弁は、職員が勧誘によって新聞を購読することに心理的圧迫感があるとは言えず、購読は自由であるとの立場を明らかにしたものです。

 第2に、庁舎内での政党機関紙の販売という政治活動は、庁舎管理規定上問題はないのか、政党機関紙を庁舎内で勧誘・配布・集金を黙認することは、特定政党の政治活動を支援し、結果として政治献金を行っていることになるのではないか、と質問をしています。
答弁では、機関紙の販売代金は契約によって配達された対価であり、「政治献金」には該当しないし、管理規則上問題はないとするとともに、職場での購読・集金等は個人の利便性で判断したことであり禁止されるものではないとしました。

 第3に、機関紙の購読が、地方公務員法第36条の「職員の政治的行為の制限」並びに同法に基づく服務分限条例における「政治的目的のために職命、職権の影響力を利用すること」に該当しないのかと質問。

 答弁では、単に機関紙の購読を持って本規定に抵触するものではない、政党機関紙を個人的に購続することについて、一般的に政治的目的を有する行為であるとは言い難く、制限されるものではないとされました。

 このように、職員が庁舎内でどの政党の機関紙を購読しようが自由であり、一般に新聞の報道は業務にかかわって必要になることもありえるものです。その場合は、勤務時間中に読むことが業務の一環ともなります。同議員は「行政の中立性」について言及しましたが、このことは、職員が住民に対して「公正・中立」の立場で行政に携わることであって、個々の職員がどんな新聞を購読しているか、どんな思想を持っているかは関係ないことです。

(3) 佐藤議員の発言に先行して行われた行橋市議会や鎌倉市議会でも同様です。

 行橋市議会に関しては、問題の市議が、昨年の12月議会で「日曜版配布後の職場は『赤旗』まみれ」などと取り上げ、3月議会でも「『赤旗』の庁舎内の販売(配布・徴収)について」質問しました。しかし、総務部長は、「前回12月議会での指摘を受けて、私自身、庁舎内を点検・巡回したが、ご指摘のような事実は認められなかった」と答弁したため、同市議は質問を続行できず、次のテーマに移って終わったという状況です。

 また、鎌倉市については、産経新聞が4月5日付で、「『赤旗』の勧誘市庁舎内禁止鎌倉市『職務の中立性重視』」という記事を載せていますが、日本共産党鎌倉市議団の見解のとおり、12月議会で市長が政治活動の規制の検討を表明したものの、憲法に反する規制は行うことができず、個人情報を取り扱う執務室内の規制にとどまらざるを得なかったのが事実です。

 このように、他の議会でも同様の質問がされていますが、いずれも憲法で保障された正当な政治活動の自由、職員の思想・信条の自由、新聞購読の自由は、侵害することはできないということが改めて確認されたというのが実態です。

(4) 答弁で、勧誘行為への厳格な対応、配達集金活動における公務執行上並びに情報管理上の改善策が必要とされたことに対する見解は次の通りです。

 第1に、勧誘行為への厳格な対応についてですが、まず前提として、どの政党機関紙であろうが、政党機関紙を広範な市民に勧めることは憲法が保障する正当な政治活動です。そして、政党に所属する議員が自治体の幹部職員等に機関紙の購読を呼びかけることも同様であり、購読する職員にとっては、個人の思想・信条の自由、内心の問題です。これに制限を設けることは許されません。ただし、その行為が職員の公務執行の妨げや情報管理上の問題を生じさせることがないように、自ら戒めなければなりません。

 第2に、配達集金活動への対応ですが、答弁の通り、公務執行上並びに情報管理上の必要があれば、自らも改善を図りたいと思います。

 日本共産党伊丹市会議員団は、今後とも、安倍政権の暴走と正面から対決し、憲法で保障された権利、思想・信条の自由を守るために、そして市民の暮らしと福祉、教育を守るためにみなさんと力を合わせてがんばります。

2014年6月議会:上原ひでき 公務・公共サービスの充実を求める請願に賛成

請願第3号「住民の安全・安心を支える公務・公共サービスの体制・機能の充実を求める請願書」に対する賛成討論

2014年6月14日

日本共産党議員団 上原秀樹

 請願第3号「住民の安全・安心を支える公務・公共サービスの体制・機能の充実を求める請願書」に対する賛成の立場から討論をします。

 本請願は、政府が「道州制」の導入に向け、「道州制推進法案」を提出しようとしていることに関して、「道州制」が、憲法が定める基本的人権を保障する国の役割を放棄することになるという問題点を指摘し、国に対して、「道州制」の導入を行わないこと、国と自治体の人員・体制の充実、国の出先機関の存続・充実で地方自治体と協力して国民の安全・安心を確保することを求めるものです。

 自民党などが推進しようとしている「道州制」は、全国を10程度の地域に分割し、「関西州」などといった「広域自治体」を作る構想で、同時に現在約1700ある市町村の合併をさらに進め、将来300程度の「基礎自治体」への再編を強いることをもくろんでいます。
この構想は、何より国のやるべき仕事を外交・防衛など非常に狭い分野に限定し、医療・介護・教育などの仕事は「権限委譲」の名のもとに、道・州や基礎自治体に押し付ける国家の大リストラです。こうした国の「出先機関」を原則廃止する「権限委譲」は、地方の財政力で左右される福祉・教育の格差をもたらすもので、住民福祉の向上・増進に国が責任を持つことを定めた憲法25条の理念を放棄し、「地域分権」などではなく地方自治体の変質・破壊を招くことになります。

 こうした動きに対して、全国町村会が、大都市圏への人口集中や、自治体と住民の距離が遠くなることに危機感を表明し、住民自治が衰退し、ひいては国の後退につながる、と反対しているのは当然のことです。

 また、道州制を念頭においた、国の出先機関を府県でつくる広域連合に移管する「出先機関改革」には、東日本大震災で国の地方整備局の対応が大きな役割をはたしたことから、全国市長会が強く反対しています。

 さらに、国と地方自治体の人員・体制の充実に関しては、国民の安全・安心を支え、住民の福祉増進に必要な人員・体制は当然必要です。しかし、現実を見る限り、必要数を満たしているという認識に立つことはできません。しかも、日本の公務員数は、国際的に見て、OECD諸国との比較でも4番目に少ないという現実も直視する必要があります。

 請願趣旨にも書かれている通り、南海トラフ巨大地震が確実視される中、国民の命を守り安全・安心を確保するとともに、住民福祉の増進を推進するためには、「道州制」によるのではなく、国と地方それぞれの責任と役割を強化することが必要です。

 よって、本請願は願意妥当と考え賛成するものです。