日本共産党伊丹市議団ニュース(第260号)を発行しました

6月定例市議会報告

日本共産党伊丹市議団ニュース(第260号)はこちら(画像PDFファイル)

1面

安全・安心のまちづくりを 大飯原発再稼働中止を!

 日本共産党議員団は6月議会(8日開会~29日閉会)において一般質問を行い、自然エネルギーの導入、災害時の要援護者支援、中国帰国者の高齢化対策など安心安全のまちづくりを求めて奮闘しました。また“消費税増税許すな”などの請願採択に力をつくしました。

住宅用太陽光発電設置に市の補助制度創設を かしば優美議員

 福島原発事故原因が究明されず、政府の「安全対策」さえ未実施という中での大飯原発再稼働について市長の見解を質しました。また住宅用太陽光発電設置に西宮市などが補助しており、伊丹市も補助制度の創設を求めました。

 市長は、「原発の稼働といった原子力行政は国の専管事項であると受けとめている。なお将来的には原発に依存しない社会が望ましいと考えている」と答弁。また住宅用太陽光発電設置への市補助には消極的態度です。

自主防災活動、要援護者支援のあり方を問う 上原ひでき議員

 東日本大震災を契機に、防災のあり方が問われています。自主防災組織では、地域における要援護者や人材の把握、緊急避難場所、危険箇所など日常的に把握することが必要であり、そのための「コミュニティ・ファイル」の作成への支援を求めました。

 また、障がい児が自宅にいる場合、日常的に地域や関係機関との連携をつくることで、災害時の支援に結びつけることができることから、そのための学校の役割についてただしました。

中国帰国者の高齢化対策は十分か ひさ村真知子議員

 苦難の末帰国できた残留邦人の方々はすでに高齢です。医療・介護を安心して受けるために、中国語のできる支援相談員の増員を求めました。

 市営の合葬墓の設置が各自治体で行われつつあります。帰国者には日本人としての最後の証を求める声があり、市民の声も聞く中で、今日のお墓のありようを検討すべきと質しました。

きぼう園、つつじ学園 来年度の運営費確保が急務

 障害者自立支援法の「見直し」の中で、肢体不自由児通園施設きぼう園と幼児通園施設つつじ学園の運営費に対する補助金が来年4月から減額されようとしています。また利用者負担も増えるとしています。

 日本共産党と市議団は来年度「総合福祉法」制定の中で、障害をもつ人への応益負担の廃止など求めるとともに、市の責任で障害児童施設の運営費を確保することを要望しました。

2面

子どもたちが生きいきと育つ環境づくりに全力 日本共産党議員団

伊丹児童くらぶの施設を整備

 伊丹(小学校)児童くらぶは現在、120名の児童が2室で生活。トイレも離れており、特別支援学級児童が12名在籍しています。今後小学校区の児童の推計が増加すると予測されるため、来年の3月末までに児童くらぶ2室から3室に増設することを決定しました。党議員団も以前から要望していたものです。小学校北運動場西側に、重量鉄骨造2階建ての児童くらぶ専用室3室の新設で、経費は約9700万円。

(仮称)神津認定こども園 来年4月開所へ

 神津幼稚園・保育所が「伊丹市立(仮称)神津認定子ども園」として来年4月開園予定です。幼稚園部分では新たに3歳児保育を行い、預かり保育も実施します。3歳児幼稚園保育料は月額1万800円。預かり保育の時間は、8時40分から16時30分の間で、保育料は1時間あたり200円で計算します。給食費は別途300円程度。おやつ代は預かり料に含みます。

民主(系)、自民(系)、公明の各会派 意見を述べずに請願を否決

「県立こども病院のポートアイランドへの移転に反対することを求める請願」僅差で否決

 県立こども病院移転計画に対して、「なぜ、阪神大震災の時にアクセスが途絶え、液状化をおこした人工島に移すのか」との疑問の声。同様の機能を持つ病院であれば、分散配置するのがリスク管理の基本です。党議員団は可決を求めて奮闘し、委員会では可決。しかし本会議で、賛成12、反対14、棄権1で否決されました。

消費税増税許すな!

 おりしも国会では26日に衆院で強行採決という状況の下、党議員団は新日本婦人の会伊丹支部から出されていた「消費税増税に反対する意見書の提出を求める請願」の採択に力を尽くしました。残念ながら賛成少数で否決されましたが、民主・自民(系)と公明党の会派はまったく意見を述べずに反対するという無責任な態度をとりました。

『高緊急事態基本法』制定は憲法改悪がねらい

 緊急事態基本法とは、政府が緊急事態と認定すれば、憲法が保障する基本的人権を制約できるようにすることがねらいであり、2004年5月に自民・公明・民主が合意したもの(その後国民の反対で制定できず)。党議員団は質疑・討論を通じて、「緊急事態を口実にして憲法改正のねらいが背後にあるもの」と指摘し反対しました。

2012年7月:上原ひでき 社会福祉協議会予算、特定疾患医療費助成廃止、生活習慣病予防事業

2012年7月6日
日本共産党伊丹市会議員団 上原 秀樹

文教福祉常任委員協議会の報告

 7月5日に開催された文教福祉常任委員協議会は、①社会福祉協議会・社会福祉事業団の予算、②特定疾患医療費助成制度を廃止することについて、③伊丹市とフィットネス事業者との連携による生活習慣病予防事業について、の3点について協議を行いました。

①社会福祉協議会・社会福祉事業団の予算

 社会福祉協議会については、歳末たすけあい募金の有効配分の実施に関する問題、アイ愛センターの災害時における対応について、伊丹市福祉権利擁護センターについて。

 社会福祉事業団については、今年度の介護報酬の改定の影響などについてただしました。

②特定疾患医療費助成制度を廃止することについて

 国の難病対策は、56疾患に限定、県は3疾患を上乗せして医療費助成をしている。伊丹市は、県の3疾患を含めて16疾患を上乗せし、難病患者に対して独自に医療費助成(入・通院費を月額上限3万9千円助成)を行ってきている。当局は、この助成制度は福祉の観点から意義ある制度であるとしながらも、16疾患以外の疾患患者との整合性がなく、公平性に欠けること、国が定める認定基準や専門的知識を有するものからなる審査機関がなく、設置することも困難であること、このことから財政負担を考慮して積極的に周知をしてこなかったことなどから、経過措置をとって廃止するとの報告。

③伊丹市とフィットネス事業者との連携による生活習慣病予防事業について

 当局の説明資料→伊丹市とフィットネス事業者との連携による生活習慣病予防事業について

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以下①②の詳報

1.社会福祉協議会・社会福祉事業団の予算について

【社会福祉協議会予算】

○歳末たすけあい募金の有効配分の実施に関して、昨年から「見舞金」を廃止して、申請方式による年末年始の地域福祉事業に配分することにしたが、地域組織に対する連絡が遅く、約1ヶ月間しか申請期間に猶予がなかった。このことから、早く組織に知らせるとともに、予算を話し合う段階から周知すべきではないかと質した。答弁では、今年は約2ヶ月の猶予を考えていること、募集する段階から地域に有効に配分されることを周知することで、地域の募金活動にも有意義となると考えるとのこと。

○障がい者デイサービスセンターのあるアイ愛センターの災害時における対応について、昨年の予算で福祉避難所としての設備を設置するとしていたが、どうされたのかと質したところ、予算がつかず整備されなかったとの答弁。福祉避難所自体が足らなくて、増やすことも求められている。せめて避難所に指定しているところは、きちんと整備することを強く要望した。また、デイサービスに通所している人たちの災害時対応として、職員の対応は当然のこととして、自宅にいる場合、地域や関係機関との連携を日常的にとっておく必要性についても強調した。

○「伊丹市福祉権利擁護センター」が8つの福祉法人と共同で設立がされ、社会福祉協議会が事務局を担当している。地域福祉を担当する社協が事務局を担当することから、高齢者の虐待や施設利用者の権利擁護等あらゆる権利擁護を受け持つのか、との質問に、この「権利擁護センター」は「市民後見人」制度を扱う協議の権利擁護としたとの答弁。「センター」として各地域で「何でも相談会」を行うとされているが、日常的なあらゆる権利擁護の相談に関しては、「センター」として扱わないとのこと。社会福祉協議会が事務局を担当する「センター」として適切なのか疑問が残るところ。もちろん、あらゆる権利用語に対応するためには、それなりのスタッフが必要で、現状のままでは対応できないというのが実情のようだ。

【社会福祉事業団】

○今年度の介護報酬改定は1.2%となったが、介護職員の処遇改善交付金を廃止し、介護報酬に組み込んだことから、実質的にはマイナス改定。このことがどう影響するのか質したところ、始まったところで具体的な影響は不明、積極的に事業展開(サービス拡大)することで、介護報酬をプラスにするという予算を組んだとの答弁。今回の改定で生活援助が縮小されている問題を挙げ、このことでサービスを低下させないこと、総合的な事業所として全体でカバーできるようにすることを要望。

○予算の「基本方針」の中で、組織体制の整備・強化について、組織活性化に向けた人事給与制度の見直しに着手するとしているが、その具体的内容について質問。答弁では具体的には決まっていないこと、これから考えをまとめるとのこと、給与を引き下げるという単純な考えではないとのこと。

2.特定疾患医療費助成事業について

○国の難病対策は、56疾患に限定、県は3疾患を上乗せして医療費助成をしている。伊丹市は、県の3疾患を含めて16疾患を上乗せし、難病患者に対して独自に医療費助成(入・通院費を月額上限3万9千円助成)を行ってきている。当局は、この助成制度は福祉の観点から意義ある制度であるとしながらも、16疾患以外の疾患患者との整合性がなく、公平性に欠けること、国が定める認定基準や専門的知識を有するものからなる審査機関がなく、設置することも困難であること、このことから財政負担を考慮して積極的に周知をしてこなかったことなどから、経過措置をとって廃止するとの報告。

○検討委員会でも、伊丹市の助成制度のうち76%を占めるリウマチ患者に関して、生物学的製剤の投与で費用は高額だが後遺症もなく非常によい状態に進んでいること、助成制度の廃止で治療を止めなければならなくなることが予測される、との意見が出されているとおり、助成制度を受けてきた患者にとっては死活問題。特に助成されている所得階層が200万以下とする人が67%を占めていることから、廃止は問題ありと指摘。答弁では、3年間の経過措置があり、その間に医療機関と相談していただくと。しかし、相談しても安価の生物学的製剤の投与はできる展望はない。

○不公正というなら、都道府県間でも独自の上乗せに違いがある(兵庫県では3疾患、東京都は22疾患)。本来は5千から7千あるとされるすべての難病患者が安心して医療を受けることができるようにするため、国の制度を拡充することが大事。伊丹市だけが独自助成を行ってきた経過から、兵庫県と国に対して制度拡充を強く求めることを要求(特に国が、「社会保障と税の一体改革」で、難病対策の充実を議論しながら、消費税増税だけ決めて、医療費助成は何も決めていないことを批判して)。答弁では、いままでも行ってきたが、これからも国に対しては制度充実を要望していくと。

○改めて、今回の特定疾患医療費助成制度廃止は納得いかない、と強調した。

2012年6月議会:上原ひでき 議会改革特別委員会の報告

6月29日議会改革特別委員会の報告

上原ひでき議員

執行機関の付属機関への議員の就任について

 ・都市計画審議会、民生委員推薦会、青少年問題協議会の3つについては、法律に議員の参加が明記されていることから、引き続き参画する。…前回確認済み。

・市長の諮問に基づいて審議する、環境審議会、交通・災害共済審議会、福祉対策審議会、労働問題審議会、中小企業対策委員会の5つについては参画しないこと。…前回確認済み。

・今回議論されたのが、必ずしも市長の諮問に基づき審議するものではない3つの付属機関。

 公設卸売市場運営委員会は、議員が必ずしも参画しなくてもよい。

 奨学生選考等委員会は、議員1名が入っており、選考委員長に就任しているが、選考過程で利害関係も出てくるもので、参画しないほうがよい。

 国民健康保険運営協議会は、いままで議員が4人参加しており、審議過程で議員が果たしている役割が大きい。このことから議員が突然いなくなると審議に支障をきたすのではないか、との危惧から、次回の運営委員の改選時(来年9月)に半減し、その2年後に参画しないという段階的措置をとる。以上の結論になりました。

「市民」分科会で議論されてきたことで、実施が決まったこと

・6月議会報告の「議会だより」(8月中旬ごろ発行予定)から、一般質問発言者の顔写真を掲載する。

・本会議における議員の質問で、議長の許可を得て配布された資料を、議会ホームページに掲載するかどうかでは、議長が許可しているので掲載可能ではないか、という意見と、著作権の問題が出てくるのではないか、という意見が出されました。

 本会議で議員に配布する資料は、議事録に掲載することができないため、このような提案がされたものです。

 9月議会からインタ-ネット配信が始まることから、発言通告時に掲載すべきとの意見に対して、著作権問題がクリアーされているかどうかの判断がつきにくい場合困難な場合が生じます。しかし、この問題が生じなければ、基本的に掲載する方向となりました。

2012年6月議会本会議:上原ひでき 緊急事態基本法の制定を求める意見書案 反対討論

意見書案第3号に対して賛成、意見書案第4号に対して反対の立場からの討論

2012年6月29日
日本共産党議員団 上原 秀樹

 日本共産党議員団を代表して、議題となりました意見書案のうち、意見書案第3号「県立こども病院のポートアイランドへの移転計画の中止を求める意見書」(案)に対して賛成、意見書案第4号「「緊急事態基本法」の早期制定を求める意見書」(案)に対して反対の立場からの意見を述べます。

 はじめに意見書案第3号についてです。

(意見書案第3号「県立こども病院のポートアイランドへの移転計画の中止を求める意見書」(案)に対して賛成の討論はこちら)

 次に意見書案第4号についてです。本意見書案は、いつ起きるかわからない自然災害と、予測ができ外交上などの措置が検討できる武力攻撃とを一緒くたに「緊急事態」とする、緊急事態基本法の制定を求めています。

 そもそも突発的な自然災害への対応は、現行法でも充分可能であり、基本法制定など必要ありません。意見書案では、現在の憲法は平時を想定した内容となっており、非常事態事項が明記されてなく、大規模自然災害へ対応できないかのように言っていますが、これは現行法の規定をわきまえない理論です。

 震災と津波被害への対応や、原発事故による放射能被害への対応については、憲法のもとに「災害対策基本法」「大規模地震対策特別措置法」「原子力災害対策特別措置法」など、対処すべき法律が制定されています。災害対策基本法の第8章では、大規模な非常災害が発生し、その災害が国の経済や公共の福祉に重大な影響を及ぼす激甚なものであり、災害応急対策を推進するため特別に必要があるときは、首相が「災害緊急事態」を布告し、緊急災害対策本部を設置するとされています。そしてそのもとに、必要ならば国民の行動に一定の制約が認められることも国会で明らかにされています。

 今回の大震災の初動の遅れに関しては、法整備の問題ではなく、政府の初動対応の遅れこそが被害を拡大したことも、国会の議論等ですでに明らかとなっています。その被災地ではいま、復興への懸命の努力が続けられている最中であり、その震災を利用して基本法制定を企てるなど、全く理解できません。

 同時に、この法制定を突破口にして、憲法改定のねらいが背後にあることも重大です。

 2004年5月に、自民・公明・民主が合意した緊急事態基本法とは、政府が緊急事態と認定したら、憲法が保障する基本的人権を制約できるようにするものです。
 日本国憲法は、戦前、基本的人権を抑圧してきた政治体制が、無謀な戦争を引き起こしたという深い反省の上に立ってつくられ、そこには、政治の責任で、あのような惨禍を再び起こさせてはならないという決意がこめられています。それを踏みにじって、「必要最小限」を口実に、基本的人権を制限しようとすることなど認めるわけにはいきません。

 また、意見書案には、中国漁船尖閣事件や、ロシア閣僚の北方領土訪問、北朝鮮核ミサイル脅威などが列挙されています。中国漁船衝突事件に関しては、尖閣諸島が日本の領土であり、その領海内で外国漁船が不法な操業をしていたのを海上保安庁が取り締まるのは当然のことです。これら領土問題などを含めた国際的な紛争解決に関しては、憲法九条で、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とされているとおり、平和的外交政策を粘り強く推進していくことであり、決して武力などで対処することではありません。そしてこのことは、いまや国際的ルールとなっています。

 したがって、いまやるべきは、憲法をないがしろにする緊急事態基本法の制定ではなく、大震災や原発事故など多くの苦難のなかから学んだ教訓と、基本的人権と生存権の保障を明記した憲法を生かし、震災の復旧・復興に全力を上げることです。

 よって本意見書案は、到底賛同できるものではなく、反対とするものであります。

 以上、議員各位のご賛同をお願いしまして、討論とします。

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資料

「緊急事態基本法」の早期制定を求める意見書提出に関する請願

請願者 伊丹市南鈴原二-一三二 隅田敏生氏  
紹介議員 加藤光博(新政会) 山内寛(公明党)  
川上八郎(伊丹市民連合)      
 新内竜一郎(躍進会)杉一(蒼翠会) 
相崎佐和子(無所属)         

請願の要点
  今回の東日本大震災や原発事故において、国の取り組みには甘さを感じる。更に言えばわが国の憲法は平時を想定した文面になっており、外部からの武力攻撃、 テロや大規模自然災害を想定した「非常事態条項」が明記されていない。そこで2004年に自・公・民三党で合意した「緊急事態基本法」を早急に制定するよ う要望する意見書を提出頂きたい。

2012年6月議会本会議:上原ひでき 県立こども病院のポートアイランドへの移転計画の中止を求める意見書案 賛成討論

意見書案第3号に対して賛成、意見書案第4号に対して反対の立場からの討論

2012年6月29日
日本共産党議員団 上原 秀樹

 日本共産党議員団を代表して、議題となりました意見書案のうち、意見書案第3号「県立こども病院のポートアイランドへの移転計画の中止を求める意見書」(案)に対して賛成、意見書案第4号「「緊急事態基本法」の早期制定を求める意見書」(案)に対して反対の立場からの意見を述べます。

 はじめに意見書案第3号についてです。本意見書案は、兵庫県が、神戸市須磨区にある県立こども病院を、神戸市中央区のポートアイランドに移転しようとしていることに対して、その計画を中止することを求めています。

 この移転計画に対して、多くの県民・医師・患者から、「なぜ、阪神・淡路大震災の時にアクセスが途絶え、液状化をおこした人口島に移すのか」「東日本大震災での大津波の教訓はどうなっているのか」という疑問の声が上がっています。

 県立こども病院移転する問題点の第1は、県当局は医師等関係者の声を聞かないまま移転先を決定したことです。パブリックコメントを行った基本構想には当該地への移転計画はでていません。また、移転先を決めた総合事業等審査会には医師は一人も入っていません。このような経過から、神戸市医師会や兵庫県医師会などは、明確にポートアイランドへの移転には反対と意見表明されています。

 第2は、医師会が反対の理由とされている移転候補地の災害リスクの問題です。ポートアイランドは、東南海・南海地震と津波により甚大な被害をこうむる危険があり、県が行った災害シミュレーションではポートアイランドは孤立するとされています。同様の機能を持つ病院であれば、分散配置するのがリスク管理の基本であります。また、ポートアイランドには先端医療センターを中心に、高度専門病院群、医療研究施設があり、災害時のバイオハザードの危険もあります。

 県立こども病院は、1970年に小児総合病院として開設されて以降、新施設を次々と開設し、いまや地域医療になくてはならない役割を果たしており、阪神北広域こども急病センターからも、08年から11年の4年間に、24人の子どもが3次救急として後送されています。このこども病院を、あえて災害リスクにさらすことは許されません。本館が築40年を越えることから老朽化対策が求められていますが、設計専門家による調査で、現地建て替えが可能であることが判明しているところでもあります。

 よって、本意見書案が、兵庫県に対し、移転計画を中止し、改めて医師等専門家の意見を聞き、計画の再考を求めていることは妥当であり、賛成とするものであります。

(意見書案第4号「「緊急事態基本法」の早期制定を求める意見書」(案)に対して反対の討論はこちら)

2012年6月議会:かしば優美 消費税増税に反対する意見書求める請願 賛成討論

3請願の討論(消費税、緊急事態、県立こども病院)

2012年6月29日
かしば優美 議員

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して上程された請願のうち1号と3号に賛成し、2号には反対の立場から討論を行います。

 はじめに請願第3号「消費税増税に反対する意見書の提出を求める請願」についてであります。

 国会では26日、民主、自民、公明3党は、消費税率を10%に引き上げ、社会保障の大改悪を押し付ける「一体改革」関連法案の衆院本会議採決を強行し、賛成多数で可決しました。3党が密室談合で決めた修正・新法案の八つを、わずか13時間余りの審議で国民の声を聞く公聴会も開かず強行したものです。3党で合意したからと国会会期末にいきなり提出し、国会での審議をほとんど行わずに採決というのは、議会制民主主義を破壊する前代未聞の暴挙であります。またマスコミの世論調査でも消費税増税法案を「今国会で成立させるべきだ」という人は17%にとどまっています。増税法案は国民の意思とかけはなれたものであり、廃案にする以外にありません。

 請願趣旨は「この不況下で増税すれば・・・全国の地域経済は大打撃を受けます。」と述べています。ただでさえ国民の所得も消費も落ち込んでいるときに、13.5兆円もの消費税の大増税をかぶせたら、日本経済の6割を占める個人消費、日本の雇用の7割をささえる中小企業に大打撃を与えます。そんなことをすれば、日本経済をどん底に突き落とすことは火を見るよりも明らかです。

 また消費税をいくらふやしても、経済が悪くなれば財政は悪化するばかりです。

 1997年に自民党・橋本内閣が消費税を5%に引き上げましたが、その影響による景気の悪化と大企業・大金持ち減税によって税収は逆に14兆円も減り、逆に借金は増えました。このように、“消費税頼み”の道では未来がありません。

 日本共産党は消費税に頼らない別の道を提案しています。それは二つの改革を同時並行で進めることにより、財政危機からぬけだすことができるという内容です。

 一つは、聖域のないムダの削減です。民主党の「事業仕分け」には、さまざまな「聖域」があり、財源はほとんど生まれませんでした。ダム建設など不要不急の大型公共事業の見直し、米軍思いやり予算など軍事費の削減、原発推進予算の大幅削減などムダと浪費にメスをいれることです。また財政危機のもとでも、富裕層や大企業には減税がくりかえされてきました。 所得が1億円をこえると税負担が軽くなる 大企業は手厚い優遇税制で実質税負担は10%台――こんな不公平をただし、税制の本来のあり方を取り戻すことです。

 もう一つは、「所得をふやして経済を立て直す」ことです。国民の所得がへり、経済成長も止まったままでは、社会保障の財源づくりも財政危機の打開もできません。経済が冷えこんでいるのは、国民が生み出した富が大企業の内部に溜め込まれ“死に金”になっているからです。いま必要なのは、国民のくらしと権利を守るル-ルをつくり国民の所得をふやす経済改革です。この改革により大企業の260兆円もの内部留保を、日本経済を成長させるために使うことが可能となります。税収を増やし社会保障の財源をつくることも、財政危機を打開する道もひらくことができます。

 以上、“消費税に頼らない別の道”を述べましたが、「消費税は社会保障や財政再建の財源としてふさわしくない」とする願意は妥当であり、よって請願第3号に賛成するものです。

 なお請願第1号「県立こども病院のポ-トアイランドへの移転計画の中止を求める意見書提出についての請願」に賛成し、請願第2号「『緊急事態基本法』の早期制定を求める意見書提出に関する請願」に反対する理由は、さきほど意見書案の討論で述べたとおりであります。

 以上議員各位のご賛同をお願いし討論とします。

日本共産党伊丹市議員団ニュース臨時号 憲法踏みにじる「緊急事態基本法」意見書提出請願

2012年6月28日
発行:日本共産党伊丹市会議員団

日本共産党伊丹市会議員団ニュース臨時号はこちら(PDFファイル)

伊丹市6月議会
憲法の国民主権、基本的人権踏みにじる「緊急事態基本法」制定求める意見書提出請願

日本共産党以外の会派と一部無所属議員の賛成で可決、本会議に意見書上程

 6月25日開催の二つの常任委員会で、3本の請願が審議されました。

 日本共産党市会議員団紹介の「県立こども病院のポートアイランド移設に関する意見書」は僅差で可決されましたが、「消費税増税反対に反対する意見書の提出を求める請願」は、わが党委員以外の委員は反対理由を一言も述べることなく、否決しました。

 他党会派及び一部無所属議員の紹介による「緊急事態基本法早期制定請願」は、わが党委員の道理を尽くした質問にまともに答えることができない中で、わが党委員以外の賛成多数で可決されました。なお、これにより上程された二つの意見書が本会議で採決されますが、「県立こども病院」意見書の可否の状況は微妙です。

「東日本大震災」「福島原発事故」を口実にすることは許せない

 日本共産党 かしば優美議員の請願質疑により、次のことが明らかになりました。

①「緊急事態基本法」を制定しなくても、現存する法律(災害対策基本法、大規模地震対策特別措置法、原子力災害対策特別措置法等)で今後の大規模災害への対応は可能なこと。

②「緊急事態」として中国漁船尖閣事件を例証しているが、尖閣列島は日本の領土であり、その領海内での外国漁船の不法行為については、海上保安庁が取り締まることで対応できること。

③「原発事故への初動対応の遅れ」を指摘しているが、これは現行の法律・制度が本来予定していた組織・機能が準備不足などにより適切に働かなかったこと。

④今回制定を求めている「緊急事態基本法」は、2004年5月に自民・民主・公明党3党により合意した骨子案と同じであること。そしてその内容には、憲法で保障された国民の基本的人権を制限する内容が含まれていること。

「緊急事態基本法」とは

 大震災や外国からの侵略行為(尖閣問題やロシア閣僚の千島訪問も含まれる)があった場合、内閣に「超法規的権限」を付与し、国民の基本的人権を制限したり、「前衛部隊(自衛隊・警察・消防)」等に私有物の撤去、土地の収用等の行動の自由を付与するという内容で、2004年5月に自・公・民3党が談合し上程を準備しましたが、国民の強い反対にあい提出出来ていません

委員会傍聴者の談話

 賛成討論の中で、ある議員は「決断できない首相の背中を押す法律が必要」と述べました。歴代の首相の顔を思い出して下さい。これらの首相に、憲法が保障している人権を制約出来る権限を与えたらどのような事態が生じるか、想像して下さい。もの言えない戦前の暗黒社会に逆戻りです。29日(金)の本会議を多くの市民が傍聴頂くことを念願します。

本会議傍聴で、市民の安心と憲法を守る立場に伊丹市議会を立たせましょう。

市議会本会議の審議(6 月29日[金]AM10 時から)を傍聴しましょう!

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県立こども病院のポートアイランドへの移転計画の中止を求める意見書提出についての請願

請願者 兵庫県保険医協会 理事長 池内春樹氏 外一名
紹介議員 上原秀樹 (日本共産党)          

請願の要点

 兵庫県は、県立こども病院の老朽化に伴う建替えは現地で可能との結論を翻し、ポートアイランド内に同一機能を持つ神戸市中央病院の隣接地に並べて建設する計画を突如持ち出した。

 今回の東日本大震災でも明らかなように沿岸地に拠点病院を建設することは防災上避けるべきであり、伊丹市としてもこの移転計画中止の意見書を提出頂きたい。

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「緊急事態基本法」の早期制定を求める意見書提出に関する請願

請願者 伊丹市南鈴原二-一三二 隅田敏生氏  
紹介議員 加藤光博(新政会) 山内寛(公明党)  
川上八郎(伊丹市民連合)      
 新内竜一郎(躍進会)杉一(蒼翠会) 
相崎佐和子(無所属)         

請願の要点
 今回の東日本大震災や原発事故において、国の取り組みには甘さを感じる。更に言えばわが国の憲法は平時を想定した文面になっており、外部からの武力攻撃、テロや大規模自然災害を想定した「非常事態条項」が明記されていない。そこで2004年に自・公・民三党で合意した「緊急事態基本法」を早急に制定するよう要望する意見書を提出頂きたい。

伊丹市6月議会 憲法と民主主義、基本的人権踏みにじる「緊急事態基本法」

伊丹市6月議会 憲法と民主主義、基本的人権踏みにじる「緊急事態基本法」

 日本共産党以外の会派と一部無所属議員の紹介で請願提出

2012年6月23日
日本共産党伊丹市会議員団

議員団ニュース(憲法と民主主義、基本的人権踏みにじる「緊急事態基本法」請願提出)はこちら

「東日本大震災」と「福島原発事故」を口実にした憲法ふみにじる悪法制定促進請願は許せない!

 伊丹市6月議会には3本の請願が出されています。週明けの25、26の両日、市議会常任委員会で審議されます。

 日本共産党議員団の紹介で「県立こども病院のポートアイランドへの移転計画の中止を求める意見書提出についての請願」と「消費税増税に反対する意見書の堤出を求める請願」の2本が提出されています。

 これ以外に、その他の会派と無所属議員の紹介で「『緊急事態基本法』の早期制定を求める意見書提出に関する請願」が出されており、共産党以外の賛成多数で可決される恐れがあります。

 「緊急事態基本法」促進請願は「東日本大震災」への政府の対応不足を口実にして、憲法に保障された国民の基本権の制限を求める内容の法制定を求めていますが、東日本大震災の復興、原発事故対策から見えることは「憲法が現実政治に生かされてこなかった」という事実です。

 憲法13条「幸福追求権」25条「生存権」を生かした復興が求められています。

 政府の震災対応が不十分だったのは憲法の規定のせいではなく、現行法や制度が適切に働かず「権限」が有効・適切に行使されなかったからです。

 戦前、議会閉会中の緊急勅令で治安維持法に死刑が加えられたように、緊急事態宣言により、政府が民主主義破壊に暴走する危険が有ります。このような悪法の促進に伊丹市議会が手を貸してはなりません。

 「緊急事態基本法」とは大震災や外国からの侵略行為(尖閣問題やロシア閣僚の千島訪問も含まれる)があった場合、内閣に「超法規的権限」を付与し、「前衛部隊(自衛隊・警察・消防)」等に私有物の撤去、土地の収用等の行動の自由を付与するという内容で、H16年5月に民・自・公3党が上程を準備しましたが、国民の強い反対にあい提出出来ていません

市議会(委員会)6月25日(月)AM10時からの審議を傍聴しましょう!

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「緊急事態基本法」の早期制定を求める意見書提出に関する請願

請願者 伊丹市南鈴原二-一三二 隅田敏生氏  
紹介議員 加藤光博(新政会) 山内寛(公明党)  
川上八郎(伊丹市民連合)      
 新内竜一郎(躍進会)杉一(蒼翠会) 
相崎佐和子(無所属)         

請願の要点
 今回の東日本大震災や原発事故において、国の取り組みには甘さを感じる。更に言えばわが国の憲法は平時を想定した文面になって おり、外部からの武力攻撃、テロや大規模自然災害を想定した「非常事態条項」が明記されていない。そこで2004年に自・公・民三党で合意した「緊急事態 基本法」を早急に制定するよう要望する意見書を提出頂きたい。

2012年6月市議会:ひさ村真知子 中国帰国者の高齢化対策、市営の合葬墓に関して

2012年6月19日
ひさ村真知子

1、中国帰国者の高齢化対策について

 中国残留邦人、帰国者支援に関しての質問を数回させていただいていますが、今回もその続きとなっています。

① 残留孤児である帰国者一世は、第二次世界大戦後も帰国できず、1972年日中国交回復した後、大変苦労の末母国日本に帰国されました。しかしその後今日まで、生活習慣の違いや言葉の壁のため、生活面、就労で多くの苦労を重ねて来られています。

 2007年の「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立に関する改正支援法」で、生活費の面では、老齢基礎年金の支給が行われ、自治体には帰国者の立場を理解した支援員の配置が義務付けられました。伊丹でも中国語で相談できる支援員の体制ができており、帰国者が安心して相談できる状況が進んでいると思います。そのような中少しは日本での生活に慣れてこられているでしょうか。

 先日、帰国者の方の体験談を聞く機会がありました。幼い時何軒もの中国人の方の家を廻され育てられた話し。日本では言葉が十分通じない中での職場で、日本語を一生懸命練習しているとうるさいと灰皿を投げられたという就労時の苦労、まだ自分の実の親がはっきりしないという悲しい体験を涙ながらに話されていました。

 自分の親に育てられず、自分が何人かも分からず、幼いときには、いろいろといじめられたたがその理由さえ分からなかった。居住している地域では、「中国人」といわれなかなか受け入れてもらえない。

 なぜこのような悲しい人生を帰国者は歩まなければならないのか。私たちはきちんと知っていなければならないと思います。満州事変後(1936年)国策ので旧満州へ「満蒙開拓団」として、「大陸の花嫁として」「義勇隊」として大陸へ渡りましたが、多くの命が戦争の犠牲になりました。その中で幼い子どもたちは命だけでも助かればと、置きざりにされて形で中国人に育てられ、肉親に会いたい日本に帰りたい一心で今日を迎えられています。

 市内の帰国者のこのような過去の戦争での体験を私たち市民はどれだけ知っているのでしょうか。体験談を聞く中で一刻も早く地域での疎外感を取り除き安心した生活を保障しなければならないと痛感します。伊丹在住の帰国者の方も、日本に来て何年もなっています。しかし、日本語は思うようにしゃべれません。近所付き合いのできる友達が来ている状況ともみられません。が時間は過ぎていきます。

 3年前同じ様な質問をさせていただいています。

 そのとき市長は「すべての市民の皆様方が、その地域の中で安全に安心して暮らせるまちづくり、暖かい地域社会つくりをいっている当然その中には、市民の一部として残留邦人の方もいらっしゃる。われわれ迎える側としては温かい思いやりで、できるだけの配慮をしていくべきものと考えております。」と市長は応えていいただいています。
 いま帰国者の方々が市長の言われたような状況となっているのかきになるところです。支援相談員さんは配置され大変皆さんから信頼されておられ様々な相談も持ち込まれているようです。

 しかしすでに皆さん当然高齢のために様々な病気が発生し、介護の問題があり、病院に頻繁にいかなければならない状況となっています。高齢化対策を急がなくてはならないと思います。その一つとして、医療に関しての対応にかんしての質問も以前もいたしました。病院に行っても自分の症状をきちんと伝えるのが本当に難しいです。中国語の通じる病院があるときいて市外の病院に行かれているとも聞いていますし、中国語で症状を話せると安心するが、日本語では文字を書いてもらったりするが医療用語は分かりににくい。といわれています。

 介護に関しても同じです制度の理解や当然ヘルパーや施設での言葉の通じる介護が必要です。このようの言葉の壁が依然として安心して医療にかかることができない要因ともなっています。当然介護施設でも話ができないため寂しさを感じておられます。今後ますますこのような要望は多くなります。医療関係や緊急時の対応は自立支援通訳を設置し緊急時も対応できるように支援していくという方向ですが、ますます増えていくのではないかという現状で安心して医療を受けるための今後の対策はいかがでしょうか。御伺い致します。

答弁

 「中国残留邦人」といいますのは、昭和20年当時に、開拓団等で中国に多く居住していた日本人の方々が、ソ連軍の対日参戦により、戦闘に巻き込まれたり、避難中の飢餓や疾病で犠牲となり、このような状況で肉親と離別して孤児となり、中国の養父母に育てられたり、やむなく中語に残ることになった方々です。筆舌に尽くせないご苦労をされ、ようやく日本に帰国された時は、高齢のため、言葉も不自由なため就労も思うようにいかず、地域にも溶け込めず苦労をされてこられた。

 安心して医療を受けるための対策」については、新たな支援策の一つである「地域社会における生活支援」のなかで日常生活の相談、医療機関受診時の通訳を行うため、自立支援通訳を派遣している。その利用者は増加してきている。医療通訳の研修会にも参加しスキルアップに努めている。今後も安心して慰留機関を受診できるよう、支援を行っていく。

②点目、支援員の増員について、帰国者の高齢化のため相談内容も複雑となり、帰国者だけでは解決できないことも今まで以上に多くなるのではないでしょうか。

 先日残留邦人の方のご主人がなくなられました。お葬式の仕方に関しても日本の習慣が分かりづらく式場の方とも中々話しが通じません。私たち第3者に対して式場の方が相談される状況でした。その後家族の方からの相談なども声をかけられました。

 このようなことから、もっと生活に関しての相談内容が複雑になり、多くなってくるのではないかと思います。スムーズに相談に乗り解決していくためには、支援員の増員も必要ではないでしょうか。医療関係や先ほども出しましたが、介護関係への対策への支援員も必要と思います。いかがお考えでしょうか。

答弁

 平成20年8月より1名配置し、週3日では業務が困難になったため常勤配置としている。いる。医療、介護、についても、支援・相談員が必要に応じ、医療、介護機関等と連絡を行いながら、適切に対応を行っている。

③点目として、実態調査のアンケートについて、伊丹市では、帰国者のみなさんの生活への不満点、不安などの状況の把握はどの様にされているのでしょうか。新支援法から4年目となっていますが、帰国者の方は今日の生活の中で様々な問題を抱えておられると思います。安心して生活するためにその問題をつかみ解決していくことをしなければなりませんが、現状はどうなのでしょうか。

 近所との交流ができていない、トラブルがある、このようなことは中々言い出せない相談ではないでしょうか。生活状況の把握や要望などをアンケート等で聞き取り調査を行うことも必要と思いますが、いかがお考えでしょうか。お聞きいたします

答弁

 支援・相談員活動の中で、帰国者の家庭訪問をし、様々な話しを聞いているため、市内の中国残留邦人の要望などについては一定の把握をしているため、改めてアンケート調査の必要性については低いものと考えている。市得に関しては、今後も引き続き、国の支援策に基づき、市内の支援団体とも連携を行いながら実施していく。

④聞き取りの記録に関して、帰国者の永年の体験話は大変貴重なものだと思います。物心付いたときには自分を守ってくれる親族、親はいない。知らない中国の人にもらわれ、預けられ、育てられるが、なぜなのか理由が分からず周りからはいじめられる、自分が日本人と分かり、自分の親の元へ帰りたい。しかし1972年の日中国交回復までは、その手立てもかないません。どの方の話を聞いても切なる思いがあふれています。

 このような状況の中でやっと日本に帰れたと思っても、そこからがまた苦難の始まりとなっていいます。このような悲しい歴史を二度と繰り返さないためにも、また、帰国者の皆さんが帰って来てよかったと思えるように、市民との交流がスムーズに行われ、安心して住んでいただけるような環境をつくっていかなくてはなないと思います。

 そのためには、このような体験を多くの市民に知っていただくことが必要ではないでしょうか。

 地域のかたに時々残留孤児についての話をしましても、国策としての満蒙開拓団、義勇軍などで多くの子どもが犠牲になったことをご存じない方も多くおられます。これからますますこのようなことを語れる人もいなくなります。

 伊丹におられる帰国者の方やその関係者の方の中国での体験、帰国してからの体験を記録し、多くの市民に伝えていくことが帰国者が地域に受け入れられることにも大きくつながると思いますし、理解をしてもらうためにはその歴史的な経過を知ってもらうことはどうしても必要ではないでしょうか。このようなことを後世に伝えることが平和を保つためにも大きな役割を果たすことと思います。そのための資料として話を聞き、伊丹市での記録を残してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

 また先日帰国者関係の問題を学ぶために資料をお借りしようとしましたが、平和問題に関して様々ありましたが、残念ながら満蒙開拓団、義勇軍、大陸の花嫁の問題などの関係の視聴覚材料がありませんでした。「大地の子」だけありましたが、長編のため使えません。

 地域の方との交流を深め理解していただくためには、説明材料が必要です。帰国者への聞き取りなど行うなかで、その説明材料として、なぜ残留孤児となったのかなどの関係資料を今後そろえていただきたいとも思います。地域の方や中高生にも理解してもらえるようにそろえていただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうかお聞きいたします。

答弁

 筆舌に尽くせない長年のご苦労を語り継ぎ、二度とこのような惨事を引き起こさないための取り組みの充実・拡大の必要性を感じているところです。啓発事業につきましては、人権啓発センターで啓発映画の上映を行ったり、講演会として中国帰国者体験談のお話しを聞く会を設けたりし市民の皆さんに対して、中国帰国者の問題を提起する中で平和意識の高揚に努めております。

 しかし、帰国者で語り継ぐことに抵抗感をもたれている方もあり、行政が中心となって記録資料作りをするといったことは、困難な状況にあります。市として対応できることは、関係者と連絡調整しながら、状況に応じた適切な対応もすることも必要であると考えております。

 市民団体との連携をしながら、民間団体が発行されている記録集やDⅤDなどを視聴覚教材として活用できる方向で検討したいと考えている。

2、市営での合葬墓にかんして

 今日お墓のあり方に関しては色々問題があり結構悩めるところです。新しく作る墓は大変な金額となりますし、子どもがいなければお墓の世話ができないため作ることはできません。お葬式のあり方も家族葬などや簡素にされる形が増えてきています。同時にお墓のあり方も様々な問題から様変わりしています。

 共同墓や合葬式の墓への関心が高くなっています。各自治体での設置も増えています。伊丹市でも必要ではないかと思います。

 ある新聞報道では2007年以降に合葬式の墓を設置した自治体は大阪市や神戸市など少なくとも18市となっています。大阪市平野区の市営霊園の合葬墓では、使用料5万円別に5万円を追加すれば10年間、10万円なら20年間遺骨が個別保管されるそうです。合葬墓の申し込み数は、現在、生前予約を含め約850体あるということです。一般墓地の区画使用料は、安いもので80万となっています。墓石を立てれば中々経済的には大変です。また空きはないため募集は停止されているそうです。奈良県橿原市では、6000万円かけて約5000体収容できる合葬墓を建設しています。基本使用料5万円で、4月から募集を始めています。

 資金の問題や墓の後を見る人がいないなど、今日的問題が問われ要望が強いため、各自治体が設置してきているようです。大阪市が2006年に行った40歳以上の市民アンケートでは、合葬式を「使用したい」「関心がある」との回答が35%で、奈良県橿原市も400人のアンケートでは「必要」とする人は55%であったそうです。伊丹でも同じように考えている市民は多いのではないでしょうか。伊丹市内にもすでに共同のお墓があります。ある運動団体が墓地内に立てています。

 すでに43人の方が眠り、生前予約が100人となっているそうです。生前予約は5万円なくなれば5万で名前(俗名)が刻まれます。ここでもおまいりする方がおられるのできっと眠っている方はさみしくないのではないでしょうか。お隣の宝塚市も検討中とされています、伊丹でも必要とされている方も多いのではないでしょうか。是非色々研究を重ねて設置していただきたいと思います。

 見解を御伺い致します。

答弁

 「合葬墓」が近隣市に市営墓地に整備や計画され、話題となっている。希望する方が増える傾向にあるものの、全体からみてまだ少数と感じている。今後としては、継続してその傾向を見定める必要性を感じている。しかし新たな墓地造成は困難と思われるが、市民の皆さんからの要望も踏まえながら調査研究を進めてまいりたい。

 先ほど述べた、中国帰国者の老後の安心を支えるために、この問題はどうしても避けて通れません。「日本人としてやっと帰国できても人生の最後がどうなるかの見通しがないと安心はできない。」という声がありますが、日本人としての最後の証としての要望をかなえることを伊丹市として必ず実現していただきたいと思います。

 様々な思いを胸に秘め親がいない幼いときの中国での生活、やっと帰ってきても心場細い生活です。二世三世となる子どもたちとともに日本に移り住んで20年30年となります。中国には帰れない状況です。切なる思いで、母国での生活を終えようとされる、帰国者のみなさんの胸のうちを聞いていただき、要望に沿っての形に近づけての墓の設置を実現していただきたいと思います。

 難しい面があるともいますが、どのような要望があるのかを早急に聞いていただく機会を持っていただき、ともに墓のあり方、設置の仕方を考えていくという大切な時期でないでしょうか。帰国者のみなさんの声に是非耳を傾けお墓作りの検討課題のひとつにいれていただきたいと思います。ご見解をお伺いいたします。

答弁

 市営墓地の空きが出れば募集を行う。全国には帰国者の専用霊園や共同墓が関係者の方々の協力で整備されている。帰国者の方々の要望を聞き、墓地のあり方については、調査研究をすすめていきます。